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あっぱれ!日本のサランラップ

たかがサランラップ、されどサランラップ

今日は、特にここ1、2年のことでしょうか、地味に気になって仕方がないアメリカのサランラップについて。はい、食事が盛られたお皿や器にかけたり、食材を包んだり、そのまま冷凍や電子レンジのチンもできる、あのサランラップのことです。日本にいる頃は、気にかける理由が特になかったからなのか、新商品コマーシャルの記憶こそあれ、サランラップで困った経験もなければ、積極的に「もっと〇〇だったらいいのに」なんていう期待をよせたこともなかったのが実際のところ。それがアメリカで暮らす今となっては、日本のサランラップがいかに優れものだったかを実感し、是非一筆書いておきたい、なんて思うほどに。
Yes。たかがサランラップ、されどサランラップなのです。

「サランラップ」は商品名称

当たり前のように使っている「サランラップ」という呼び名ですが、実は商品名称なんですよ。Wikipediaでも「サランラップとは食品用ラップフィルムの商品名」となっています。単なる商品名だったにもかかわらず、あまりにもそれが定着したために、食品用ラップフィルムの呼び名として使われるようになったパターンですね。アメリカで、ティッシュペーパーのことを「Kleenex (クリネックス)」と呼ぶのと同じです。
よって、アメリカでも「Saran Wrap(サランラップ)」という名前が普通に使われています。他にも「Plastic wrap (プラスティックラップ)」や「Cling wrap (クリングラップ)」などというの呼び名もあります。私の職場であるベーカリーでも、家庭用ではなく業務用の幅広サイズのサランラップは必需品。私も含め「Plastic wrap」が多数派ではありますが、「Saran Wrap」でも普通に通じます。

満足するサランラップがない!

さて、このサランラップ、どこで暮らしていようとも、普段の生活におけるその必要度合いは変わらないもの。キッチンの必需品です。でも、ここアメリカでは、使い心地がいいものがなかなかなかありません。正直、私のアメリカ生活の前半戦は全く気になりませんでした。ただ、アメリカで最初に就職した翻訳会社の日本人スタッフが「サランラップだけはダイソーで買う」と言っていたのをなぜか覚えています。当時の私としてはピンときていなかったからこそ、今でもなんとなく記憶に残っているのかもしれませんね。おそらくは、渡米してきたころは、大きな生活の変化、そして、それへの対応になんだかんだと追われていて、サランラップどころではなかったのでしょう。それが、現在住んでいるサクラメントエリアへ引っ越して、新しい仕事、そこにおける自分の立ち位置の確立、少ないながらも新しい友達を含む人間関係の構築、また、ヨガなど自分の余暇を楽しむ余裕などもでてきて、そしてなによりも「アメリカ生活に慣れなきゃ」という気負いがなくなり、アメリカに暮らす一日本人として、自分にとってより自然な生活方法を私なりに習得してきた頃から、アメリカの「サランラップ」の使い心地の悪さが、じわじわと気になり出してきたのです。
もちろん、大きな問題ではありませんが、私なりに結構いろいろなお店で、いろいろなメーカーのものを試してきました。今のところの結果は「フ~ム…」って感じ。以下、具体的によくある問題点です。

①箱の脇にある、筒の飛び出し防止用のツメを中に折り込んでも、ラップを 
 使うたびに、なぜか筒が飛び出してくる。

②刃の切れが悪い。ひどいときは、刃がある面の箱の上辺りが刃より上にき
 ていて、ラップが刃に当たりえさえしないことも。
 ブツブツいいながら、飛び出た箱の上辺り部分をカットすることに。

⓷ラップの貼り付きが異常に悪い。ラップを切って終わりではなく、切った
 後で、再度、両手でラップを引っ張っるひと手間が必要。

今のところ、使い勝手が一番いいと私が感じているのが、驚くべきかなWalmartの安価なサランラップ。日本と比べると、アメリカでは、同じ商品でもよかったり、悪かったりとムラがありがちなものですが、この商品に関しては、ほぼいつも良い。『安かろう、悪かろう』という思いを、良い意味で裏切ってくれている商品です。ちなみに、値段は張っても、その品質の良さを売りにしている、我がWhole Foodsのサランラップがタイトル上の写真もの。自社製品なので、それほど高いわけではありません(私の場合、社割も使えるし♪)。物は試しと期待して買ってみましたが、見事に裏切られてしまいました。上記の問題点①と⓷が大あり。残念。

あっぱれ、日本のサランラップ!

基本的に文句言いではないと自覚している私ですが、日本の素晴らしいサランラップの恩恵をあまりにも当たり前に受けていたせいか、アメリカのサランラップには、つい物申したくなってしまいます。しかし、基本的に文句言いだとお見受けするアメリカ人が、アメリカの「サランラップ」にいちゃもんをつけているというのは、聞いたこともない話。要は、単純に「たかがサランラップ」であって、それ以上のものは求めていないからなのでしょう。ちょっと頑張れば「されどサランラップ」の域にもなるのですが、そんなちっぽけなことは気にせず、それ以上のものを追求しない、でも文句も言わない、というのがアメリカスタイルなのかな。私の逆パターンで、日本へ引っ越したアメリカ人は、サランラップのテレビコマーシャルや、左手をクルっとまわすだけで、誰でも簡単に切れるサランラップ技術に、さぞかし驚くことでしょう。

既に存在するモノを、さらに追及し、改良を加え、納得のいく製品として仕上げていく思考回路とこだわり、そしてそれを満たす技術力は、日本が得意とするところ。それも「もの作り」の一環。
『たかがサランラップ』を『されどランラップ』の域にまで高める日本人のこだわり。アメリカのサランラップに頭をかしげるたびに、日本へと思いを馳せる私なのです。

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