見出し画像

私の極小アメリカンドリーム

先日ネットで、アメリカ生まれの中華料理ファーストフードチェーン「パンダエクスプレス」が日本に上陸しているということを知りました。現段階では、アウトレットモールやショッピングモール内に、9店舗が展開しているようです。正直、驚きました。アメリカはカリフォルニア生まれのチャイニーズフードチェーン店の、日本における魅力は何なのだろう?と。「アメリカから上陸」というのがCoolな感じなのかな、ロゴのパンダが可愛いからかな、それとも純粋に味?現在の出店場所からしても、結構おしゃれな感じで展開しているみたいで、いよいよ興味津々。というのも、ここ、カリフォルニアのパンダエクスプレスはというと、これと言って特化することもない印象。フードコートの定番で、その他に独立店舗もたくさんあります。中華バージョンのマクドナルド的存在で、アメリカ人にとっては確かに入りやすいというメリットはあるのかもしれませんが、特別安いわけでもないし(むしろ、高い。。。)、特別おいしいということもないと思います。以前一緒に働いていたアメリカ人の女の子が、パンダエクスプレスを絶賛していたことがあって、内心驚いたことはありましたが。
ウェンディーズとかバーガーキングのように、アメリカ生まれのハンバーガーファーストフード店が、日本へ出店するほうが理解できます。ハンバーガーと言ったらアメリカ、という印象は強いでしょうからね。比較が公平ではないかもしれませんが、例えば、中国生まれの寿司チェーンがアメリカに出店、または、中国生まれのハンバーガーショップが日本に出店などと同じことかな、と考えるといささか疑問を感じます。

私たちが暮らしているサクラメントエリアは、以前住んでいたベイエリアと比べると中国人はもちろん、アジア人人口がとても少ないです。それもあってか、なかなかおいしくて安い中華料理店がありません。ここでいうところの中華料理店というのは、テーブルに座ってオーダーしてみたいなおしゃれなレストランではなく、中国人ファミリー経営の、こじんまりとしたテイクアウト中心のお店のこと。ベイエリアのうちの旦那さんの実家近くの「Jasmine」というお店が、私たちの理想。店内には申し訳程度にイートインテーブルが2つほどある「Jasmine」は、知る人ぞ知る人気のチャイニーズフード店。いつも3-4人の中国人のおばちゃんたちがせっせと働いていて、オーダーするとその場で器に入れてくれますが、盛りがとにかく特大。キャベツメインで野菜ぎっちりの春巻きが最高においしい。基本的に野菜嫌いのうちの旦那さんでさえ、この春巻きの大ファンです。1メイン+2サイドを選べるセットをオーダーして、メインには焼き平打ち麺、それにサイドでお肉料理と野菜料理をつけて、更に春巻きを追加するのがいつもの私たち。とにかく盛りが豪快なので、ふたりでシェアしても食べきれないくらい。そして安い。何もかもが値上がりしている昨今、昔ほどではないものの、二人で食べて20ドルが平均だとしたら「Jasmine」なら12-15ドルという感じの安さです。「Jasmine」みたいなチャイニーズフード店、サクラメントにもないかなぁ。

さて、中華のファーストフードには、忘れてはならないものがあります。少なくとも私にとっては。私はそれを「Chinese food in THE box (あの箱に入った中華料理)」と呼んでいます。なんのことやら…ですよね。これ、アメリカへ来る前に、私が夢見ていた物のひとつだったのです。「あの箱」というのは、中華料理のテイクアウト用の縦長の箱のこと。
コレ。👇👇👇


これが憧れの「Chinese food in THE box」(笑)

日本にいるころからアメリカのドラマが好きでした。最初にハマったのは王道中の王道「Friends」。アメリカ人の生活スタイル、人間関係や考え方、ものの言いように「へぇ~」や「ふ~ん」の連発。そして「Friends」に限らず、アメリカのドラマによく登場するのが、チャイニーズのテイクアウト。手間をかけずに安く食べたいときの定番なんですね。そして、そんなチャイニーズフードは「あの箱」に入っていて、それをぎこちない箸遣いで食べる。そんな姿が、当時の私には、とてもアメリカンで、ある意味かっこよくに見えたのです。多分(笑)。少なくとも日本ではお目にかかったことがなかった「あの箱」。なもので「Chinese food in THE box (あの箱に入った中華料理)」を食べることが、私の極小アメリカンドリームだったのです。私がこのささやかな夢を語ると、冗談だと思うのか、または冗談かと思いきやそうでもない私の様子に、旦那さんはもちろん、同僚にも笑われました。アメリカ人には「あの箱」がとってもアメリカンであるという認識は全くないようですね。
実際にアメリカに来て、憧れの「Chinese food in THE box」はもちろん実現済み。チャイニーズのテイクアウトは決して安いものではない、という訂正こそ必要ですが、「あの箱」には、未だに無条件でワクワクしてしまう私です。

渡米して9年、極小のものも含む私のアメリカンドリームは、日々更新中。今となっては、当時は他に何があったのだろうと思ってしまうところもありますが、その極小度合いの割には、未だ実現していない夢(?)もあります。
それが、スカンクのスプレー。なんのこっちゃ?

アメリカには普通にリスがいるように、スカンクやポッサム(リスとタヌキの中間みたいな小動物)などを見かけることもあります。多くの場合は、車にひかれた後の姿ですが。
うちの旦那さんからはあきれられるばかりの、スカンクにまつわる私の極小アメリカンドリーム。
スカンクが、敵を威嚇するためにおしから臭いスプレーを出すのは有名ですよね。私は、これがどれほどのものなかに大変興味があるのです。それというのも、うちの旦那さんから、こんな体験談を聞いてしまったから。

なんでも、夜遅くに仕事から帰宅すると、玄関先の茂みでスカンクと思いがけない鉢合わせ。これはまず!と慌てて家の中に入ろうとしたものの、時すでに遅しで、プシュ~と一発食らったそうな。着ていたウィンドブレイカーにもふりかかるほどの近距離で。想定外の遭遇にスカンクも相当あせったのでしょうね。ギャーと言わんばかりに洗面所へ駆け込み、水でジャージャーと洗い流したそうですが、強烈なニオイは鼻だけでなくウィンドブレイカーにもこびりつき、結局捨てるしかなかったそうです。

これを聞いたら、いったいどれほどのものなのだろう?と思うじゃないですか。これまでの私の最大のスカンク経験は残り香どまり。それでも、結構臭いものですけどね。なんとも言えないニオイです。いつかスカンクのスプレー姿にお目にかかりたい、これが私の極小アメリカンドリーム。

夢にサイズは関係ない!
よく言われるところの「アメリカで一旗あげる」ことだけがアメリカンドリームではありません。生活に密着した小さな夢がたくさんあればこそ、毎日をよりルンルンと過ごすことができるのかもしれません。
「どっかにスカンクいないかな~♪」ってね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?