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生活を豊かに幸せにするようないいこと

記録、いつの間にかなんか記録をたくさんしてますね。20歳ぐらいのときから音楽を作る仕事をしていて、そのころは竹下総理が地方創生基金とかいって1億円を各地方に渡していっぱいハコモノができてね、そこに展示する映像とかが作られて、そうすると必ずそこに音楽が必要になるので、それをアルバイトでずっと作っていましたね。22歳ぐらいからかな。

たくさん作りましたね、いっぱいあったんですよ、新潟博だとかさ、松本(長野県)でもそんなのがあったし、ある地域は水産試験場の中に見学施設を作ったりとか、ゴミ処理場に見学施設を作ったりだとか。そのころ僕、レコーディングスタジオに勤めていたんで、記録をする技術はそこで全部見ていたから、自分が作った音楽は記録から全部自分でやって、でき上がったテープを納品するっていうことをしてましたね、そのころから記録が友だちだったって感じですね。

30代はほかの音楽の仕事をするようになるんだけれど、その後2011年に東北の震災があったでしょ、それから少し音楽の仕事が減ったり劇場でやっていたミュージカルの仕事がなくなったりしてね。当時ツイッターとかSNSが出てきて若いミュージシャンたちが自分で音楽を発信できるようになってたんだよね。自分だけの録音をしててもあれだなって感じてたのもあって、そういう若い音楽家たちのためのワークショップをやったりして、だんだんとその子たちの録音をしてあげるようになってきたと。それは今も続いていて、その流れで映像も撮るようになりました。いろんな人がうちのスタジオには来て、歌を歌って帰ったりしてます。昨日も来ました。そんな感じで記録をしています。

たまプラーザの音を最初に収集したのは、三角公園かな。あそこの遊具、滑り台とかブランコとか鉄棒とかジャングルジムだとか、そういうものをちょっとコンコンって叩いて、叩いた音をマイクで撮ってそれをサンプリングして、「たまプラ一座」っていう住民のイベントのために作った音楽の中にその物音を散らしました。

たまプラ一座っていうのは、「育ちあい」をテーマに地域住民が主役になって、まちなかパフォーマンスを通じて街と人、人と人をつなぐ活動なんですけど、僕はそのころ映像制作のプロボノ団体にいて、それは街にとっての5つ目の住民イベント、僕にとっては4つ目のたまプラでのイベントのご協力でしたね。えっと、ダンスのような表現活動で、団地の人たちが割とたくさん出ていて、一番年上の人は80歳を超えているような朋友会のおばさまがたも一緒に踊ってくださったりなんかして。子どもも集まって、みんなで詩を作って読んでもらったり、団地の生活をちょっとパントマイムみたいな感じで表したりとか。

そのときは僕は全部の音楽を作ったんですけど、三角公園で遊んでる子どもたちの声も音楽の中に入れたりしましたね。20分ぐらいのショーだったと思います。それをふたまわしやりました。事前にめっちゃめちゃ練習してるんですけど、でも結構当日その場に来て適当に踊って遊んでるような感じの人もいたんじゃないかな。めっちゃたくさんの人たちが、ニコニコしながら踊ったりしていて、そういうことができてよかったなーって。僕も自分のスキルを使わせてもらえてっていうのは、まあひとつうれしいよね。

たまプラの人たちとは最初はいつだろう、2016年ぐらいに、私たちの地域イベントの活動を映画にして残したいんだけどっていうご相談に来られて、プロボノの映像制作チームと一緒にたまプラに来たんです。ふたを開けてみると、僕の音楽制作スキルが生かせるシーンがたくさんあったのでやらせていただきました。中央通り商店街を手作りの楽器とか空き缶とかをカンカン叩きながらダンスして練り歩くようなイベント、駅前でのフラッシュモブ、17年にバンブーン、それでフォークダンス、なんか3年続けてやったんだよね。事前に録音物を作るところからPA、音響もやって、音を出す係もやっちゃったりなんかして。最近はなんか〝音楽ディレクター〟って呼んでもらって、今進めている企画でも音楽家として協力させていただいています。

ま、僕なんかは、たまプラーザの人間ではないわけなんですが、やっぱりイベントのせいかすごく打ち解けさせていただいて、みんな優しいなって思いますよね。あとね、才能のある人がたくさんいるね。僕、街の皆さんが作ってるイベントは魅力的だと思います。生活を豊かに幸せにするようないいことですよね。たまプラ的感覚で何かを動かしている、そういう街なのかもしれないなっていうのはあります。誰か任せじゃなくてね。

インタビュー:2021年 夏

このおはなしは2022年No.008号に収録されています。

この度、2014年から発行を続けてきた冊子「街のはなし」1号〜9号を1冊の書籍にまとめることになり、クラウドファンディングを始めました。

シンカブル(Syncable)からご寄付いただけます。

昭和のニュータウンの温故知新。
住民のまちづくりの努力の蓄積と街の成り立ちを共有したい。

100人のナラティブ・地域の変遷と社会の変化を伝える 記憶を記録する本
たまプラーザ「街のはなし」書籍化プロジェクト

すでにご寄付をいただいている方には、御礼申し上げます。とても励まされております。そして、これまでご協力・応援してくださったみなさまにも、オンラインの寄付を通して、書籍化プロジェクトの仲間になっていただけたら嬉しいです

街のはなしHPでもこれまでの活動を見れます。www.machinohanashi.com
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企画・文: 谷山恭子
写真:小池美咲

編集・校正: 谷山恭子・藤井本子・伏見学・街のはなし実行委員会

発刊:街のはなし実行委員会

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