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注目不動産テックベンチャー004スマートホームプラットフォーマー『株式会社アクセルラボ』のビジネスモデル

【新シリーズ】国内不動産テックベンチャーを紹介!
第四回は株式会社アクセルラボ。
https://accel-lab.com/jp/

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アクセルラボの代表である小暮社長は、新築ワンルームデベロッパーの株式会社インヴァランスの代表でもあり、一昨年インヴァランスは大東建託グループと資本業務提携をした。インヴァランスの97.10%の株式を取得し,、子会社化したのが2020年10月19日である。併せてアクセルラボも大東建託グループと資本業務提携を締結している。
一棟アパート、一棟マンションに強い大東建託が、区分マンション投資のインヴァランスをM&Aした理由としては、大東建託はシノケンやレオパレス同様、やはり地方に強くて都心に弱いという現状があった。
大東建託の東京23区の賃貸住宅建設は全体の3%と言われていて、東京23区に特化したデベロッパーであるインヴァランスを子会社にすることで、都心の土地仕入れを強化するのが狙いだったと予想されている。

また、かぼちゃの馬車をきっかけに金融機関のアパート建築や売買向けの融資審査が厳格化されたこともあり、大東建託も投資用区分マンション開発に参入する狙いもあったと言われている。
取得価格は公表されていないが、風の噂によると270億円だったと聞いていて、インヴァランスの2019年9月の当期純利益は10億4500万円だったことから、単純計算でPERで27倍になる。少し高いが、それだけ大東建託が真剣な状況だということが伺える。

さて、同じく大東建託と資本業務提携をしたアクセルラボに話を戻すと、こちらは元々インヴァランスのマンションがIoTを駆使したスマートホームを売りにしていて、そのスマートホームプラットフォーム「SpaceCore」をBtoBで提供している。
SpaceCoreはさまざまなIoTデバイスを統合管理できるプラットフォームであり、照明、エアコン、カーテン、給湯、床暖房、鍵など複数のデバイスに対応している。

今回は取締役の宇田川さんのインタビューをご紹介する。
(↓より詳細なインタビュー動画はこちら)
https://youtu.be/Lla2BxQcSw8

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巻口:まずは御社のサービス、【Space Core】のご紹介をお願い致します。

宇田川さん: Space Coreは主に不動産事業者さん向けのサービスで、大きく分けると3つの機能から構成されています。

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一つ目はスマートホーム。IoTデバイスを活用し、生活の利便性や快適さを向上させるサービスです。弊社は“暮らしを次のフェーズへ”というミッションを掲げていますが、このサービスは従来の生活をもう一段高く押し上げる機能です。導入頂く企業様にとって、物件の差別化という点で利点があると考えています。

二つ目はリレーション。こちらは物件を管理されている管理会社様と居住者様を繋ぐコミュニケーション機能です。不動産業界はIT化が進む現在も、手作業で行う業務が多く残っています。これまでアナログで行っていたコミュニケーションの業務をクラウド上で行うことで、業務工数削減やコスト削減に繋げます。

三つ目は生活サービス。弊社が生活に関するサービスを提供されている企業様と連携することにより、様々なサービスをSpace Coreからご利用いただけます。具体的には家事代行サービス、家具レンタル、宅配収納などを提供しています。さらに、外出中に家事代行サービスをご利用される際は、スマートホーム機能と組み合わせることで今までになかった便利な暮らしを可能にします。

巻口:スマートホームの導入は“費用負担は結局誰がする?”だったり、“オーナーさんはなかなか数万円もする商品を負担できない…”という課題があると思います。新築デベロッパーでないと、まるまるSpace Coreの機能を搭載できないという話もよく耳にするのですが…

宇田川さん:おっしゃる通りで、導入の比率で言うと、やはり新築の物件が多いです。既設の物件ですとオーナーさんや管理組合の意向だったり、導入においての障壁が高くなるので、弊社はいかに既設の物件に導入して頂けるかが課題になっています。そこで弊社はネット回線業者さんとアライアンスを組み、リテンションという目的で回線業者さんはネット回線が入っている宅内にスマートホームを自分たちのサービスとして提供しています。こういった形で既設の物件の導入が進んでいるところです。

巻口:ありがとうございます。こうしたIoTデバイスを集約して管理するサービスは、やはり国内にもライバルメーカーがいると思うのですが、Space Coreの差別化ポイントを教えてください。

宇田川さん:弊社は一切オリジナルのデバイスは有しておらず、以下の通り他社様の個別デバイスを集約し、それを一つにまとめ上げ連携することにより、住宅に新たな価値を生み出すプラットフォームを展開しています。

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スマートホームデバイスメーカーではなく、プラットフォーマーとして提供している事が差別化ポイントですね。

巻口:プラットフォーマーという立ち位置ですと、事業展開の強さはユーザーの行動データが取れることだと思うのですが、ユーザーデータを活用した次のビジネス構想もありますか?

宇田川さん:過去の行動履歴を分析することで、住人が求めていることを予測できます。いずれ、今後は家の中、すべてが完全に自動化される段階に入っていくと思います。住人だけでなく、より多くの行動データを蓄積することにより、行動パターンに合わせて住居が自動化で最適化されるイメージです。

巻口:例えば、住人がどうゆう時にどうゆう広告を見たら購入確率が高まるといったデータもおそらくあると思っていて、ユーザーの購買行動をコントロールする世界もあると思うのですが、こういう点での事業計画は立てられていますか?

宇田川さん:まさに弊社のサービスは居住者様の行動パターンに基づくことが多くあります。そのため、行動履歴にのって良いタイミングで広告を打ち出したり、そういった遡及の仕方も考えています。

巻口:なるほど、ありがとうございます。差し支えなければ、今までの導入実績をお聞かせください。

宇田川さん:現在、不動産管理会社さんをはじめ、不動産デベロッパーさんなどに導入頂いておりまして、導入地域も全国各地に広がっています。

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巻口:かなりの導入戸数ですが、御社のラウンドとしてはシリーズBのステージでしょうか?

宇田川さん:ラウンドはシリーズAですね。先日10億円の資金調達をさせて頂き、この資金で新たなデバイスを展開していったり、開発スピードを上げていったり、こういった人員リソースに投入していこうと考えています。

巻口:ありがとうございます。スマートホーム、スマートシティは世界各国で取り組まれている課題・テーマだと思っているので、こういったサービスがより広まればと、不動産テック協会としても期待しています。

(インタビュー終)
資料提供:株式会社アクセルラボ

最後に

スマートホーム統合プラットフォームは、パナソニックのHomeXやSousei株式会社のベクスなどもある。それぞれ、より良い暮らしの提案をするための機能が工夫されている為、今後ますます市場が拡大していく分野になるだろう。
富士キメラ総研によるスマートホーム市場調査2018によれば、国内スマートホーム市場は2025年に4兆2400億円に拡大すると予測されていて、5G元年をへて生活の中にさまざまなスマートデバイスが設置されるようになっている。

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(出典: https://www.fcr.co.jp/pr/18096.htm)

スマートホームではスマートロックといったスマートセキュリティーに始まり、スマートキッチンやスマートサニタリー、スマートウェルネスといったネットワークに接続することで、より利便性を向上させることができるデバイスは確実に浸透していく為、そこを統合管理できるプラットホームはより重要性を増していくことだろう。

スマートホームプラットフォーマーという立ち位置はユーザーの生活情報を統合的に取得できるという意味でさまざまな派生サービスを生むことができるというメリットを持っている。
インタビューでも少し触れたが、ユーザーがいつお風呂に入っているのか、いつトイレにいくのか、いつが留守でいつが起床時間なのか…そうしたデータを入手することによって、ユーザーの生活パターンに併せた情報提供などができるようになるということだ。
当然、ユーザーの生活情報はプライバシーとの兼ね合いも十分考慮しなければいけないが、オプトインの仕組みによってヘッジできると思われる為、上手く設計すれば魅力的なサービスを提供できる可能性が考えられる。

Space Coreが他のプラットフォームとの差別化を図っていくためには、いかにユーザーに多様なスマートデバイスを使ってもらえるか、購入してもらえるかという点も重要なポイントとなってくる為、Space Coreからユーザーに対してさまざまな提案をしていくという機能は必要だと思う。

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(資料提供:株式会社アクセルラボ)

具体的な例で言えば、スマートウェルネスの分野で健康状態を診断できる機能のトイレを利用しているユーザーに対してスマートキッチンによって健康を改善するレシピが健康状態に併せて提案されるなど、複数のデバイスを組み合わせることにより、ユーザーが得られるメリットというのをきちんと提案していく…などが考えられる。
現在各社のスマートホームプラットフォーマーが連結できるデバイスはまだセキュリティや照明機器などの限定的なジャンルにとどまっているが、今後対応デバイスをより広範なジャンルに広げていくことで、データを有効活用できる状況をいかに作っていけるかがビジネス拡大のためのポイントだと思われる。

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