モネ 空と雲
2024年の3回目の投稿はモネ。昨年は多くの展覧会に行ったり、本を読んだにも関わらず、なぜか書く気になれず年末に京都関係の投稿を連投した程度でした。投稿を再開しようと思ったきっかけは上野の森美術館で開催されているモネ展でした。
展覧会の入場料が高く、典型的なモネの作品の展示かと思って、なかなか足が向きませんでしたが、金曜日の夜にポカッと予定が空いたので行ってみました。
これは高いチケットを買うだけの価値がある展覧会です。
モネについては解説本も多いので、評論的なことは書きませんが、一番気に入っている評論は小林秀雄の「近代絵画(新潮社)」です。モネについてはこの評論に尽きるとも思っています。
モネは人気があります。金曜日の夜とはいえ、結構な鑑賞の人でした。モネに魅せられるのは人それぞれでしょうが、私がモネに惹かれるのは雲の描写です。
モネの作品の雲や光の描き方を見ていると、ヨーロッパ駐在中に日常的に見ていた実景そのものであり、モネは自身が目にしたものを描いただけなのではないかと思います。
モネがモチーフにした場所は、緯度で言えば樺太ぐらいのところに位置します。夏でも太陽の光は斜めに入ってきます。逆に冬は暗く、雪景色も日本のそれとは光の具合が違います。建物が石造りのせいか、日本の雪景色より暗く感じます。
展覧会で見た冬景色の作品からは、暗く、寒く、長い冬を思い出します。
日光の入る角度が低いせいか、雲の高さが低く感じます。モネの作品を見ていると、空と雲に懐かしい気持ちになります。ルクセンブルクの夏は短く、すぐに冬が訪れます。そのため、貴重な短い夏を思いっきり楽しもうとしていたせいか、青空と雲の記憶が鮮明に残っています。
昼間でも雲が低いように感じます。
余談ですが、ヨーロッパ上空は飛行機が縦横に行き交っており、飛行機雲が何本も交差している空を見ることができます。
この空の色と雲の低さはモネの作品に限らずアルプス以北の風景画に共通して感じる点です。
上野の森美術館での展覧会は、作品の種類と多さだけなく、懐かしさを感じ、チケットの価格を超える満足するものでした。
展覧会に行った時に感じたことを記録するためにも今年は書こうと思います。
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