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地下駐車場ー初めての出会い

そんないじめに、

1ヶ月耐えて、ついに私は学校へ行かなくなった。


両親へは行っているフリをした。


都内へ足を運び、

ボーッと何も考えずに歩く。

制服から私服に着替え、

厚化粧をして、

タバコとお酒を買う。


補導なんてされたらバレるから、

適当に見つけたマンションの地下駐車場で、

お酒とタバコに溺れた。


「明らかに未成年じゃん」

そう声をかけてきた。

「なんですか?関係ありますか?」

「いや、別に。関係ない。」

「ここのマンションの人?」

「違う。友達のマンション。その缶、空いてるなら頂戴。俺も一服したいから灰皿にする。」

「だったら、これどうぞ」

「へぇ。携帯灰皿?案外真面目じゃん。」

「変に吸殻捨てて、ここに来れなくなったら嫌なんで。」

「ふーん。んじゃ、借りるね。」


そう言うと、タバコを取り出し、吸い始めた。

「そのタバコ、美味しいの?」

「んー、美味しいっていうか…吸う?」

「吸いかけは嫌だ。1本ずつ交換しようよ」

「今火を点けたばっかなのに?笑 まぁいいか。何吸ってるの?」

「これ。」

「ピアニッシモ?!しかも1mm?!女の子って感じだね。笑 いらない、いらない。1本あげるよ。」

「いちいちうっさいなー。どーも。」

ーーー火をつける

「ゲホッ!なにこれ、煙たい!味しない!苦い!!いらない!!」

「だから一口だけあげるって言ったんだよ。絶対吸えないと思った。」

「よくそんなの吸えるね。」

「大人だからね。」

「へー。うざ。私帰るわ。」

「え?平気?家に?」

「関係ある?とりあえず、ここのマンションはお気に入りだから見逃して。」

「(笑)俺も吸っちゃったから。見逃して。気をつけてね、結構、君お酒臭いよ。笑」

「余計なお世話。」


それが初めて彼と会った日。


私はこの時、彼が何者なのか全くわかっていなかった。

この先、生涯忘れることができないことになることも、

彼が私なんかでは届くはずのない存在の人だということも。


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