見出し画像

【海外記事】文化と色の関係性2

本日もこちらの記事を読んでみます。なお、画像も以下から引用しています。

前回は記事の導入部分で、人間の色彩の認知特性についての説明がなされていました。

ただ、おそらく今日の内容だけ読んでも面白く読めると思うため、よければお付き合いください。

本日もよろしくお願いいたします。


赤はポジティブなのかネガティブなのか?

森林火災だろうと、熟したりんごやイチゴやさくらんぼだろうと、猛毒のヘビやカエルだろうと、赤を見分けることは私達が生きていくうえで必要な能力です。

赤は最も強い暖色系の色です。これはまた最も意味の差が生まれやすい色とも言えます。

西洋人にとって、赤が持つ意味はネガティブなもの捉えられる場合が多いです。下降トレンドや停止のサインなどに使われます。

例えば株式市場が下落した場合に赤が使われます。上昇した際には緑が使われます。

しかし中国では、赤は機会を表しています。上昇トレンドにおいて赤色が使用されます。

Yahooはみどりいろがポジティブな色なのに対し、上海証券においては緑はネガティブな色として扱われている

金融系のウェブサイトを見れば簡単にこれらの事実を確認することができます。アメリカ人のYahooのサイトはポジティブな数字を緑としている一方で、上海証券取引所では赤は上昇トレンドに用いられています。

行動上の意思決定に関する記事では、この減少についてより深く議論がなされています。

調査員は単に金融市場を見ているわけではなく、社会の別の側面も注視しています。

中国本土のテレビ番組では、慣習的に上昇する数字には赤色を使用し、緑色は減少する数字に使われています。しかし香港のテレビ番組では逆の使われ方をしているのです。

この研究中、参加者はビジネス提案のプレゼンテーションを見たそうです。

中国本土は緑よりも赤で示された情報のほうが消費が伸びると予測しました。対象的に香港の中国人は逆の予想をしたのです。

この中国と香港の間の相違は香港内のイギリス人の影響力によるものと説明されています。香港は中国本土よりもイギリス人の数が多いのです。

・・・

西洋では、赤はアラートに使われています。
また官能性とロマンスを表現するものとしても使われます。心も、性産業やナイトクラブでも使われています。中にはレッドカーペットを歩く人もいるでしょう。

アジアでは、赤は幸福や繁栄の色と見なされています。中国の新年行事や結婚式などの伝統的なお祭りや式典では、やはり赤が使われています。

中国に置ける主要なCTA大抵赤が使われています(上はjd.com、下はGoogle翻訳されたvmall)


色の中には他よりも高価なものがある

特定の色の意味を説明するのに良い方法として、それらがどのように印刷されるのかについて考慮してみるのもひとつです。

紫での印刷は歴史的にも高価なものとして見なされていました。それによって紫は高貴なイメージを与える色として認識されるようになりました。

古代ギリシャにおいては、紫は神の色でした。聖書においては天国は紫と金に彩られていました。また、紫はローマ帝国の役人の色であり、カトリック枢機卿が着るローブの色でもありました。

"born to the purple(紫に生まれた)"というフレーズはビザンティン帝国に由来します。これは王室の子どもたちは宮殿の紫色の部屋で生まれる、ということを表しています。最近では、私達の間で"born to the purple"は特権階級に生まれた人を表す言葉として使っています。

中国では、黄色もまたその希少性ゆえに高貴な色として認識されていました。中国の皇帝のローブの色はサフランイエローでした。

今日、私達は人工的に染料をつくることができ、比較的ローコストに紫や黄色をプリントすることができます。しかし古代においては、1,4gの紫の染料をつくるのに1200枚の紫色の貝殻が必要で、0.5kgのサフランイエローの染料を生産するには、サフランクロッカスの柱頭が15000本も必要だったのです。(ソース

そのため特定の色の貝殻を集めるのが困難になればなるほど、その色の価値が高まっていった背景があったのです。

Nihaoジュエリーは紫を使用することで高貴な印象を生み出しています


スピリチュアルなカラーって何?

西洋では、人々は瞑想を自然な状態と関連付けています。平穏と静けさは明るい青空や水の中に見つけることができます。ライトブルーと静かな透明感がアプリ上のデザインに応用させられています。

私達が西洋の瞑想やヨガやマインドフルネスアプリの流行を考慮すると、私達は青はスピリチュアルな色であると結論づけることになるでしょう。

瞑想アプリの多くに青色が使われています

しかし、人気アプリのHeadspaceではブランディングのためにオレンジが使われています。これはあまり良くないエクスペリエンス設計のように思えます。

西スコットランド大学の記事ではこのことについて触れられています。

アジアにおいてオレンジはポジティブで、スピリチュアルな啓発を示し、人生を肯定する色として認知されています。

アジアの寺院を見ると、明らかにオレンジとスピリチュアルが関連づいているのかが明確にわかります。

スコットランドの科学者はもっとも興味深いことに言及していました。

ジンバブエのショナ語とリベリアのボア語は赤とオレンジを区別する言葉を持ち合わせていません。この言語的な制限によって、人々はこれらの色を区別することができないのです。

このことは世界で一般的に思われている色彩の理解は言語に依存するということがわかります。それを表現する言語がなければ、私達はそれらを別の実体として認識することができないのです。

どれくらいの色が過剰と受け取られるのか

同じスコットランドの記事では、色彩の言語学についてさらに調査していくと別の事実も明らかになっていきました。

日照時間が多い地域に住んでいる人々は比較的明るい暖色を好む傾向がある一方で、日照時間が少ない地域では彩度の低い寒色系の色が好まれています。エスキモーは雪の状況を区別するために17種類の白色を示す言葉を持っています。

私は北欧と地中海地域の両方に住んでいます。この2つの地域は建築もファッションも全く正反対であることがわかります。フランスのNice市は家は多くの色彩で彩られ、道路もビビットな色で着色されています。アムステルダムはあらゆる家が似たレンガで建てられています。

アムステルダムの風景(Photo by Nastya Dulhiier and Ramon Kagie on Unsplash)
ウィレムスタッドの風景(Photo by Nastya Dulhiier and Ramon Kagie on Unsplash)

ドイツのアムステルダムとかつてのドイツにあったキュラソー地域の単純に比較してみると、建物は似ていることがわかります。一方で、ウィレムスタッドの建物は非常にカラフルです。

政府のウェブサイトを分析する際には色の傾向の違いがわかります。

上はカメルーン、タンザニア、モザンビーク、アイボリーコースト
下はノルウェイ、ポーランド、ドイツ、エストニア

上のイメージでは、アフリカの国々の政府のホームページのスクリーンショットです。あらゆるウェブサイトが幅広い色使いをし、アフリカの生活を彩る色彩を反映しています。

このことは彼らのファッションやデジタルデザインにおける美意識にも通じています。アフリカでは人々はカラフルな衣服を好んで着用しています。

下の4つのウェブサイトはヨーロッパの国々のものです。彼らは青やナチュラルカラーなどの最小限なデザインにまとめています。

ヨーロッパと北アメリカの美意識はアフリカに比べてミニマムな傾向にあることがわかります。

→次回に続く


感想:色の価値観は絶対的なものではない

前回は人間の心理学的な視点から、人に普遍的に備わっている色彩傾向についての議論が行われていましたが、今回は逆に人々が暮らす地域や文化圏、歴史による色彩の受け取り方の違いが述べられている非常に興味深い内容でした。

無意識的に自分はミニマムな色彩とデザインこそが至高であり、IT系は青、ユーザーフレンドリーなイメージを作りたいならオレンジやグリーン、などと杓子定規的に色と向き合ってしまう傾向がありましたが、グローバルな視点に立ったときには必ずしもその法則が適切ではない可能性があることがわかりました。

長い記事ではあるのですが、内容も面白く、説明が丁寧で非常に好感の持てるライターさんだなぁと思いながら読み進めていました。(英語も読みやすい)

次回はまた続きを読み、この記事の最後まで翻訳してみたいと思います。


【お知らせ】
2024年5月14日(火)に大阪の京橋でデザイン勉強会と交流会を開催いたします。(過去の勉強会の内容についてはこちらのnoteを参照ください)
参加費無料、交流会のみ参加も歓迎ですので、ご興味ある方は以下のページにあるお申込ボタンからお申し込みください。


個人的に気になった海外記事を週数本メモしていますので、よければフォローおねがいします

ポートフォリオ

X(noteの更新などをお伝えします)
https://twitter.com/yamashita_3

__________________________________________________________
#デザイナー   #UIデザイン  #UX  #UXデザイン  #UI  #海外記事翻訳

サポートいただいたお金は今後の発信活動に関わるものに活用させていただきます。