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UXへ理解のない会社でどう働くか【海外記事メモ】

本日はこの記事を紹介したいと思います。

・私たちはユーザーの要望をすでに知っている
・UXデザインは収益を生まない
・UXデザインはどのように我々に貢献してくれるのか?

こんな言葉が社内で聞かれることはありませんでしょうか?

おそらく比較的組織の大きな事業会社に所属しているインハウスデザイナーの方にとっては何となく思い当たる部分があるかと思います。

今日はそんな組織の中でデザイナーがどう働くべきかについてこの記事から学んでいきたいと思います。

UXはビジネスにとって大切な要素

確かにUXは直接的に収益に結びつく性質のものではないかもしれません。
しかし一般的には、良いUXはよりよい収益を上げることができます。

デザイナーの強みは共感であり、私たちはそういったUXに対して関心がない人達へも共感していく必要があります。

つまり、彼らはUXが自分たちの価値基準の中にどのような利益をもたらすのかが分かっていないのです。


認識齟齬の問題

私達デザイナーは「ユーザビリティテスト」や「ニーズ」や「カーニング」という言葉をデザイナー以外の人に使ってしまうことで、本来の意図を伝えることができないことがあります。

例えば会社の重役に対して「私達はUXにもっと投資すべきです」といったときに、彼らは「もっとグラフィックデザインにお金をかけろということ?」と受け取ってしまうことがあります。

ここに問題があります。

会社の重役たちはUXが何であるのかをきちんと理解していません。一方で私達もUXが何であるのかの十分な説明をしようとしません。

さて、私たちは何をすれば良いのでしょうか?


経営陣へUXの重要性を理解させる3つの方法

注意:しばしばこれら3つの方法は失敗するでしょう。しかし成功することがここで重要なのではありません。大事なのは最善をつくすことで、もし上手くいかなかった場合も気にせず先に進みましょう。

方法1.話す前にやる!
仕事においてすべてが承認される必要はありません。もしユーザビリティテストが重要なものであると信じるなら、まず取り組んでみてその結果を経営陣へ示してください。

一方でユーザビリティテストは非常にタフな作業であるため、20人もの人に実施する必要はありません。1~2人程度に実施してみて、そこで抽出された障害に対して対応すれば良いです。

少数のテストになるので、営業やマーケティング部門に連絡をして、ユーザーに直接被験者になってもらうことも良いでしょう。

もし重役の一人でもこちら側へ引き寄せることができるのなら、ユーザビリティテストに同席してもらうことも良い方法です。

方法2.ゆっくり着実に攻める!
一般的に会社は、デザインに関してはビジュアル面にしか関心を示しません。
そのため、あなたがビジュアルデザインの仕事を任された際には毎回必ずセカンダリーリサーチ(※官公庁や企業などによる統計調査やアンケートなどの既存資料を調べること、2次情報調査)を行い、デザインの提案の際にその結果とプロセスも一緒に提案してください。

一度社内での十分な信頼を獲得できたと思ったら、調査の範囲を拡大しましょう。インタビューやユーザビリティテストなどのプライマリーリサーチを行っていきます。

この方法は非常にゆっくりなものですが、徐々に役割を大きくしていくという意味で異議を唱えられるリスクは少なく、最も実現性の高い方法となるでしょう。


方法3.専門用語でしゃべることをやめる!
UXの核心はユーザーにとって最適なかたちでユーザーとサービスとを結びつけることです。同様に、経営層とも最適なかたちで自分自身とを結びつけることが必要になります。
つまりデザインの専門用語を使わないということです。

なぜなら、彼らは我々が話す言葉を知るための手がかりを持ち合わせていないからです。

この戦略はこれ単体ではあまり作用しませんが、前述の1や2と組み合わせることで効果を発揮します。何人かの重役があなたに信頼を寄せるかもしれません。

例えば以下のような例が考えられます。私たちはしばしばこのような言葉を使いがちです。

「私はユーザーが抱える問題を理解し、よりよい体験を生み出すためのインタビューを計画したいです」

しかし、以下のように言い直してみましょう。

「私はなぜユーザーがXXX製品を購入したいのかが知りたいです。そのため、何人かのユーザーと直接話す機会を作っても良いでしょうか?」

最初の言葉は機械的で誰にも好まれるものではありません。
しかし、2つ目の言葉は経営層が理解できる課題に対して問題提起をし、それに対しての解決を求めるような言い回しになっています。


まずは信頼を得よう!

経営層の信頼を得ようとする時、その場にいるすべての人の信頼を得ようとしてはいけません。あくまで一人一人に向けて訴えてください。
一度彼らの信頼を獲得したなら、次に自身のアイディアをぶつけてみましょう。

言うは易く行うは難しです。ぜひ実行してみてください。


感想:まずは小さく行動、まずは仲間づくり

よく海外と日本の働き方の違いがトピックとしてあがりますが、このような記事を読むと、人と人との関わりである以上仕事の根本の部分は国が違えど変わらないのだなぁと思いました。

特に、まずは小さくチャレンジして小さな成果を生んで、それをもとに自分の意見を聞いてもらうという部分や、まずは細かい言葉遣いや態度を改めて周りの信頼を得ていく、という部分は非常に大事な心構えのように感じました。

もし自分が経営層の立場であれば、たしかに知らない人間から熱意だけで知らない概念について説得されてもなかなかOKとは言いづらいところがあります。
まずは小さな成果と、誠実な人間関係の構築で、少しずつデザインの有用性を社内へ浸透させていく必要があると思いました。

かたちのみえないUXの有用性を実証し、説得するのって本当に難しい。振り返って考えてみれば、自分もUIやグラフィックなどかたちの見える仕事での成果を追ってしまっていた部分があったように感じました。

目で認識でき、かたちが見える成果物のある領域は他者へ難しい説明がなくても理解や納得を得やすいためコミュニケーションコストが低くある種楽な仕事ではあります。

しかし、UXデザイナーはコミュニケーションの山を越えて、無形の価値を創造しなくてはなりません。

襟を正されるような、素晴らしい記事でした。

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@やました
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