400字ショートショート「月のフルーツパーラー」
下弦の月は角度によっては器になる。久しぶりの宇宙旅行で降り立った星には、その器を利用したフルーツパーラーがあった。
「一人ですけど入れますか」
シニヨンの店員さんは眉尻を下げる。
「今日は既にお待ちのお客様がいらっしゃいますので」
「相席ならいいですよ」
ソファーを立った彼はスーツの似合う上品な人だった。
「いかがですか」
微笑まれて頷く私。
テーブルにつくと二人で果物盛り合わせを注文した。底が綺麗にカーブした薄い月が運ばれてくる。上には赤や緑、黄色の果実。特にマンゴーはとろ