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オタク評論家とオカルト評論家を区別できないと人生損をする

○月△日
 橘玲氏「無理ゲー社会」の続きで書いた読書感想文です。「無理ゲー社会」については、「夢を追い、自分らしく生き、巨人の足を見上げる」に書いています。
記事の時系列が前後しているのは、以前にブログへ書きためた記事を、たまにnoteへ順不同で再アップさせているからです。

「人新世の『資本論』」斎藤幸平 2020 集英社新書
 2021新書大賞のベストセラーです。今でも大書店で平積みです。最近は売れると出版社の新書カバーの上に、オリジナルのカバーが巻かれます。「無理ゲー社会」も確かそうでした。

 そのカバーに賢そうな著者の賢そうにしている写真が載っています。著者は世界的に注目を集める俊英だそうです。世界最年少でドイッチャー記念賞受賞だそうです。坂本龍一氏や旧民主党のブレーンが推薦しています。そこへ「資本論」とのことです。読む前から左眉に唾を付けたくなる布陣になっています。どこのどいつやドイッチャーって言いたくなります。

 なるほど。予想が当たりました。左も左、真っ赤っ赤の超左巻き、要は環境破壊による気候変動を止めるには、資本主義を脱して、経済成長するな、という話です。それをまあ色々と小難しく、それなりのワードを駆使してページを稼いでいました。

 あーあ。こちとら著者が生まれる前から「環境」について専門的に勉強をして、業務としても実際に関わりながらウォッチしてきた自負があり、何を今さらって感じです。
 そんなこたー、アンタがヨチヨチ歩きの頃からわかってんだ。基本的には散々書かれて議論された内容だ。晩期マルクス主義を持ってきて、イデオロギー的に大喜びしそうな層に向けての売本マーケティングでしょう。
「共産主義」とは書かずに「コミュニズム」でしれっと通しているのも小賢しい。とにかく、単純なこと、普通のことを小難しく、それらしく書けるその筆力だけは認めるよ。そのへんが俊英なのかな。
 朝日と毎日あたりが大喜びで紙面を使って後押ししたでしょう。そりゃ売れますよ。

 何を今さら感は、もう一点あります。終わらせなければならない資本主義は既に終わりつつあるでしょう。橘玲氏の「無理ゲー社会」でも、以下に取り上げる岡田斗司夫氏の著作にもその記述があります。
 社会、とりわけ経済は「評価」主義に移行しつつあります。橘氏は「評判格差社会」と称し、岡田氏は「評価経済社会」と称して、名称は定まっていないようですが、「資本」より「評価」が重要となる社会に変わりつつあるのです。

 その視点での環境問題という切り口があったら新しかったぞ。
 世界の俊英とかいう若者よ。

「オタクの息子に悩んでいます」岡田斗司夫 2012 幻冬舎新書
 その岡田氏の10年前の著作です。著者を最近ちょこちょこ動画で見かけるようになり、なかなか深い洞察があって興味を持っていたところへ、ブックオフの店員推薦コーナーにあったので買った次第です。

 朝日新聞の悩み相談のコーナーで、読者の悩みに対してどう答えるか、どう答えてきたかという内容でした。圧倒的な論理性に深い優しさがありました。これは名著です。100円で買えて幸せでした。お薦めなのに安すぎ。

 悩みにどう答えるかという目的に留まらず、問題にどう向き合うかということに対して、非常に貴重な知見を与えてくれます。これは翻訳して世界に出版してもいいかも。もちろん練り直しが要りますが。「ライトついてますか」みたいな本に匹敵する内容だと思います。例えが古いな。

 名著なのに調べると、新書大賞の候補にも上がっていなかった。新書大賞ってのは、フシアナさんたちが選んでいるのでしょうか。良い本をしっかり評価して欲しい。それにくらべて、、、

 それより最近知ったのですが、15年くらい前に一世を風靡した岡田氏の「レコーディングダイエット」って、広い概念で言えば人の無意識を活用したものだったのです。ボクが目指しているものと同じです。
 食べるものをいちいち記録していくと、食べる自分とそれを俯瞰する自分が現れて、俯瞰する自分がうまく欲求をコントロールしていくことになるらしいのです。読んでなくて何となくの理解なのですが、まさしく無意識を活用しています。うーむ。ずいぶん前に先を越されています。

 しばらく前まで岡田氏については、同じような小太りのオカルト評論家と区別できてなかったんだけど、実はスゴイ人だったんだ。もっと早くに気づきたかった。ずいぶんと人生を損してしまった。

 橘玲氏と岡田斗司夫氏は、注目すべき人物です。勉強になります。世界の俊英はどうでもいいな。それではまた。

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