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ヨルダンって、昔の日本みたい!?

ヨルダンでの暮らしが長くなるにつれて、最初は驚きに感じていたことが、いつの間にか当たり前のこととして受け入れるようになっている自分に気がつくことがある。

その中でもいまだに慣れないのが、ヨルダン人の「ゴミのポイ捨て」だ。

ゴミをポイ捨てしている瞬間をよく目撃する。
お菓子のプラスチックの袋を、道端にポーンと捨てている子どもがいたり、飲み終わった後の粉末が底に溜まっているターキッシュコーヒーの紙カップを、走行中のバスの窓から外に向かって投げ捨てるおじさんがいたり。

「あ」と思った時には、すでにポイ捨てされており、その光景を見た私の心の中にはモヤモヤが残る。

幼稚園児や小学生くらいの子どもであれば、「道にポイ捨てするんじゃなくて、ちゃんとゴミ箱に入れてきて」ということもある。

けど、そんな些細な声かけが虚しくなるくらい、ヨルダンにおいて「ゴミのポイ捨て」は日常である。


一方で、今や、清潔な国として知られる日本であっても、高度経済成長期には、ゴミのポイ捨てが当たり前だった時代があったらしい。

それにより、日本各地で発生した公害によって暮らしに大きな影響を受けたり、1964年の東京オリンピックに向けて美化運動が活発になったことによって、少しずつ日本人のゴミに対する意識が変化していったんだろうと思われる。

戦後の日本のように、生きるのに必死なうちは、環境のことなんて考える余裕なんてないのかもしれない。

人々の生活に余裕が生まれてこそ、環境であったり、自身の健康であったり、「より健康で豊かな、洗練された生活」への意識が生まれるんだと感じる。


そのように考えると、ヨルダンでの喫煙率の高さも、この考えに通じるものがあると思う。

ヨルダンでは世界的に見ても喫煙率が非常に高く、「世界の喫煙率 男性 国別ランキング・推移」の2020年のデータを見ても、日本人男性の喫煙率が28.3%(世界第69位)に対し、ヨルダン人男性の喫煙率は、なんと57.4%と世界第3位。

バスの中でタバコを吸う男性も多く、バスの中はいつも煙たい。

いつも難民キャンプまで連れていってくれるバスの運転手のおっちゃん(60歳)は、なんと一日に4箱(合計80本)ものタバコを吸っていると教えてくれた。

一箱が大体2JDなので、一日に8JD(約1500円)くらいのタバコ代がかかっている事になる。一ヶ月で約45000円となる。

ヨルダンでの平均月収は、日本と比較しても低く、難民キャンプの幼稚園で働く先生たちは月に90JD(約17000円)もらっていた。

難民キャンプ内での給与は、首都や他の都市に比べると低くなると思うが、それでもヨルダン人の平均月収は、良い人で300JD〜400JD(約55000円〜75000円)くらいだと思う。

そう考えると、いかにタバコ代が占める割合が高いのかがよく分かる。

バスのおっちゃんの家計が気になるところ。



また、男女に対する考え方も、ひと昔前の日本のよう。

ラマダン中は特に、ヨルダンのお家にお邪魔させてもらう機会が多かった。

食事を振る舞ってくれる際の、食事の準備、後片付け、食後のコーヒーの用意などは、全てその家のお母さんがやっていて、お父さんは一度も席を立たないまま、テレビを見ながらタバコを吸っている、、、というのが一般的だった。

バスの席などでは、女性が立つことは滅多になく、立っている女性がいたら、男性が積極的に女性に席を譲っている。

男は体力がある分、外で稼ぎ、家の中のことは全て女に任せる。
ヨルダンでは、そのような役割分担がはっきりと分かれているように感じる。


このように、環境や健康に対する意識の低さや、男女のはっきりとした区別(役割分担)という部分は、少なからずひと昔前の日本も通ってきた道のりだと思う。

「先進国」や「途上国」というような括り方はあまり好きではないけど、この点で考えると、ヨルダンもやはり「途上国」なのかもしれない。

ただし、物質的に豊かだからといって、精神的にも豊かなのか。
「先進国」だからといって豊かであるかどうかは、また違う話になると思う。


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