研究代表者　nisi
研究協力者　とつげき東北、みーにん

１．はじめに

下記リンク記事の続編です（前回記事のデータに言及はしてますが、特に予備知識なしで、読める作りにしてます）。

先制でリーチのみの手を門前愚形聴牌した場合に、即リーチするか、ダマにするかという問題について、前回から見てきました。

前回までで、
・ドラ赤が見えてないことによる追っかけリーチ発生率の増加
・先制より追っかけリーチのほうが打点が高い
というところまで考慮しました。それでも、だいたい愚形リーチのみ即リーチが有利でした。

今回、新たに即リーチ側に不利（になりうる）事情を見つけたので、再度先制愚形リーチのみについて考察してみます。また、点棒状況（特にトップ目の場合）で、リーチ判断が変わるかどうかを今回調べてみました。

２．先制愚形リーチのみの考察など

今回新たに目を付けたのは、「流局時供託リーチ棒の扱い」です。

前回のデータでは、局収支を算定するにあたり、「流局時供託リーチ棒本数×250」を局収支に加算する処理をしていました。これは、供託リーチ棒が4分の1の確率で自分に返ってくるという思想のもとで、このような処理になっています。とつげき東北さんの意向により、最近この処理を取り入れるようになりました（なお、『新　科学する麻雀』のデータはリーチ棒加算なしになってます）。

ただ、私（nisi）個人としては、どちらかというと、供託リーチ棒は全員に共通の資産で、自分の持ち物じゃない分、局収支に4分の1でも供託リーチ棒を加算するのはどうなのか？という意見寄りです。

このあたりは、「局収支」という概念の定義によって変わってくるんじゃないか、と思っています。

そこで、今回は、流局時供託リーチ棒の4分の1の局収支への加算をやめたらどうなるかを考えてみます。

以下の牌姿を問題局面とします（前回までの牌姿考慮なしの旧式から、今回牌姿考慮ありの新式のシミュレータに変えた）。

牌姿1　35678m（カン4m＋連続形）

牌姿2　35789m（単独カン4m）

・牌姿1（35678m）
・流局時供託リーチ棒の局収支への加算をしない
・ダマは（とりあえず）全ツの仮定
・追っかけリーチのほうが先制よりも打点高いのは織り込み済み
・ドラ赤0枚見えで、追っかけリーチ率が上昇するのは織り込まれていないので、即リーチの場合で、追っかけリーチ率補正なし（1倍）と補正あり（1.1倍）の両方のデータを取る。
以上条件でシミュレーションをした結果が下表です。

まだこの条件だと、局収支的に即リーチのほうがダマより少し高いですが、だいぶその差は詰まってきました。愚形リーチのみをダマにする余地がだいぶ出てきたように思います。

そこで、（流局時供託リーチ棒の扱いに悩まずに済むというのも込みで）、トータルポイント（主にトップ目の点棒状況）の観点で、即リーチとダマの比較をしてみたいと思います。

仮定（上記に追加）は、
・リーチ・ダマともに追っかけリーチ率補正（1.1倍）をありの場合となしの場合両方取る。
・ダマは途中押し（100%以下押し・15%以下押し・10%以下押し・5%以下押し・0%以下押しのうち、最もトータルポイントが高いものをダマの数値とする。対リーチにのみ降り移行判定をする）も考慮する。
・残り局数について、南1局～南4局の4パターン調べる。
・点棒状況について、以下5パターンを調べる。
（１）全員25000点持ち
（２）自30000・27000・23000・20000
（３）自35000・28000・22000・15000
（４）自40000・30000・20000・10000
（５）自45000・32000・18000・5000
・半荘収支と天鳳段位ptの2パターン取る。

以下のような表を作成します。

表の見方は、左上が牌姿種類による分類で、行方向が残り局数・持ち点状況による分類で、列方向がトータルポイント種類・リーチorダマ・追っかけリーチ率補正の有無による分類で、マスの中の数字が半荘収支or段位ptです。また、ダマの列に関して、即リーチ（追っかけリーチ率補正あり）時のトータルポイントよりも高い場合太字に、低い場合斜字にしています。

例えば、牌姿1・南1局・全員25000点持ちの場合、即リーチ（補正あり）の場合の半荘収支は1.42ptなのに対し、ダマの場合の半荘収支は補正なし0.65pt、補正あり1.07ptで、どちらにしても即リーチのほうが半荘収支が高く、有利と判断できます。

この形式の表が牌姿1・2について、2枚あります。以下、有料部分で表掲載と分析をしていきます。

３．点棒状況を考慮した先制愚形リーチのみリーチ判断（シミュレーション結果）

まずは、牌姿1の場合を見ていきます。下表になります。