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麻雀プロ必見!? 実力差と、Mリーグ優勝確率やリーグ戦のクラス分布の関係

研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北、みーにん

1.はじめに

今回は、麻雀の真の実力(平均順位やトップ率)と、Mリーグとか各プロ団体のリーグ戦での成績・クラスとの相関とか関係性にまつわる話です。

リーグ戦は、確率が収束するほどの試合数は行われないので、タイトルと実力がかみ合ってない」的な話はちょくちょくされると思います(とつげき東北さんの『科学する麻雀』でもそういう話がありましたし)。

二番煎じ的な要素もちょっとありますが、ちゃんと大会のルール・システムにのっとったうえで、対戦相手との直対要素実力的に「強い」相手とか「弱い」相手)も考慮しつつの、トータルポイントや大会の順位分布のシミュレーションをやってみたいと思います。

2.シミュレーション条件等

〇麻雀の「強さ」(実力)と、1試合単位の着順分布に関する仮定

まずは、1試合単位で見たときの、プレイヤー4名の「強さ」(実力)から、着順分布を求めるのを、以下の手法で仮定・設定します。

まず、直接対戦する4名のプレイヤーの「強さ」について、以下の法則が成り立つように順位分布を設定します(以下、ふわっとした説明)。
全員同じ「強さ」なら、各プレイヤーについて、ある1試合で1位になる確率~4位になる確率は25%、平均順位は2.5
・あるプレイヤーAが他3人のプレイヤーBCDより少し「強い」Aの「強さ」:+1、BCDの「強さ」:0)の場合、プレイヤーAの1試合の着順分布は、1位率:26.0%、2位率:25.3%、3位率24.7%、4位率:24.0%、平均順位:2.467となる(「強さ」パラメータがAだけ+1ポイント高い状況で、1位率が1ポイント上がり平均順位が0.033向上する)。
・プレイヤーAがさらに「強い」場合(Aの「強さ」:+2とか+3の場合)についても、線形の関係で、順位分布や平均順位が動くようにする(1人だけ「強さ」+nの場合、1位率+nポイント平均順位0.033×nだけ向上する)。
(ふわっとした説明おわり)

(以下は、ちゃんとした数式による説明。特に重要ではないので読み飛ばしてよい
プレイヤーABCDの「強さ」がTa、Tb、Tc、Tdとしたとき、1試合終了時の着順がNa、Nb、Nc、Nd(Na~Ndは1~4の重複しない値を取る。4の階乗=24通り)となる確率
=1/24+0.000556×(Ta×(5-Na×2)+ Tb×(5-Nb×2)+ Tc×(5-Nc×2)+ Td×(5-Nd×2))
(ちゃんとした数式による説明おわり)

特に、今回よく使う「強さ」と順位分布の例を以下何例か挙げていきます。
「強さ」ABCD:0 → Aの1位率25.0%、平均順位2.5
「強さ」A:+1、BCD:0 → Aの1位率26.0%、平均順位2.467
「強さ」A:+2、BCD:0 → Aの1位率27.0%、平均順位2.433
「強さ」A:0、BCD:+1 → Aの1位率24.7%、平均順位2.511
「強さ」AB:+1、CD:0 → Aの1位率25.7%、平均順位2.478
「強さ」A:+2、BC:+1、D:0 → Aの1位率26.3%、平均順位2.456

「強さ」A:+1、BCD:+1 → Aの1位率25.0%、平均順位2.5
「強さ」A:+3、BCD:+1 → Aの1位率27.0%、平均順位2.433
「強さ」A:+6、BCD:+1 → Aの1位率30.0%、平均順位2.333
「強さ」A:+7、BCD:+1 → Aの1位率31.0%、平均順位2.3
「強さ」A:+10、BCD:+1 → Aの1位率34.0%、平均順位2.2

「強さ」A:+1、BCD:+3 → Aの1位率23.0%、平均順位2.567
「強さ」A:+3、BCD:+3 → Aの1位率25.0%、平均順位2.5
「強さ」A:+6、BCD:+3 → Aの1位率28.0%、平均順位2.4
「強さ」A:+7、BCD:+3 → Aの1位率29.0%、平均順位2.367
「強さ」A:+10、BCD:+3 → Aの1位率32.0%、平均順位2.267

「強さ」A:+1、BCD:+6 → Aの1位率20.0%、平均順位2.667
「強さ」A:+3、BCD:+6 → Aの1位率22.0%、平均順位2.6
「強さ」A:+6、BCD:+6 → Aの1位率25.0%、平均順位2.5
「強さ」A:+7、BCD:+6 → Aの1位率26.0%、平均順位2.467
「強さ」A:+10、BCD:+6 → Aの1位率29.0%、平均順位2.367

次に、4者の順位が確定した後の、素点要素について、以下のように設定します。
基本の素点を1位35000点持ち(+55pt)、2位28000点持ち(+8pt)、3位22000点持ち(-18pt)、4位15000点持ち(-45pt
・基本の素点からの変動要素として、-1.0pt~+1.0ptの間の一様乱数p、qを生成し、1位のトータル半荘収支=+55.0+p、2位のトータル半荘収支=+8.0-p、3位のトータル半荘収支=-18.0+q、4位のトータル半荘収支=-45.0-qとする。

〇Mリーグのシステムでの優勝確率・ファイナル進出確率・セミファイナル敗退確率・レギュラーシリーズ敗退確率・2シーズン連続でファイナルに行けない率

2022-23シーズンのレギュレーションを元にシミュレーションを行います。

8チーム
レギュラーシリーズは各チーム94試合を行い、下位2チームが足切り(レギュラーシリーズ敗退)
・上位6チームのポイントを半減させたうえで、セミファイナルとして、各チーム20試合を行い、下位2チームが足切り(セミファイナル敗退)
・上位4チームのポイントを半減させたうえで、ファイナルとして、4チームで16試合を行い、ポイント最上位のチームが優勝
・各チームについて、2シーズン続けてファイナルに進出できなかった場合(強制メンバー入れ替え事案。メンバー入れ替え事案発生時、「ファイナル敗退」フラグは下げる。例:敗退→敗退(メンバー入れ替え)→敗退→進出の場合は、2シーズン目と3シーズン目は連続敗退とはみなさない)について、該当シーズン数をシミュレーション回数(計100000シーズン)で割ったものを「2シーズン連続でファイナルに行けない率」として算出する。
・卓組みについては、各試合について独立に、乱数で卓分けする(この仕様により、レギュラーシリーズ・セミファイナルで各相手チームとの直接対決の試合数が均等にならないケースが出てくる)。
各チーム内の「強さ」は全シーズンを通して、チームごとに一定(個人戦の想定)とする。
・シリーズ終了付近等でポイント状況などを踏まえた特殊条件は考慮しない(対戦4チームの「強さ」に応じた順位分布で、淡々と試合をこなす)。
・以上、1セットを1シーズンとして、100000シーズン分、繰り返す(あるチームの優勝確率=優勝したシーズン数÷総シーズン数、などを算出する)。

具体的には以下のような表を作成します。

表の見方は、行方向がある特定チームに関する情報(8チーム=8行分ある)で、列方向が、左から各チームの「強さ」パラメータ(入力値)、1シーズン終了時のあるチームの順位率(1位~8位)、優勝確率ファイナル進出率、セミファイナル敗退率、レギュラーシリーズ敗退率、2シーズン連続ファイナルに行けない率です。

全チームが同じ「強さ」(0)の場合、各順位率は8分の1で12.5%優勝確率も12.5%ファイナル進出率は8分の4で50%セミファイナル敗退率は8分の2で25%レギュラーシリーズ敗退率も25%で、2シーズン連続敗退率16.7%付近(6分の1)になっています。2シーズン連続の50%の確率を引く確率なので、4分の1の25%になるかと思ってましたが、メンバー入れ替え時に連続敗退フラグが下ろされる要素から、25%から少し割り引かれて16.6%になってるのかと思います。

有料部分で以下のケースについて、同様の表を作成して分析していきます。
・チーム1のみ「強さ」+1(他7チームは「強さ」0)
・チーム1のみ「強さ」+2(他7チームは「強さ」0)
・チーム1・2の「強さ」+2、チーム3~6の「強さ」+1、チーム7・8の「強さ」0

〇プロ団体のリーグ戦のクラス分布

タイトル保持者(Tier0)1名と、各クラス(Tier1~10)に20名ずつ在籍の計201名の選手が、毎期クラスの昇降級をかけて争う。
Tier1~4(A1・A2・B1・B2リーグを想定)とタイトル戦決勝1年につき1期Tier5~10(C1~D3リーグを想定)は1年につき2期行う。
タイトル戦決勝とTier5~10は1期につき5節×4半荘Tier1~4は1期につき10節×4半荘行う(同一節については、対戦相手固定で連続4半荘を行う)。
各期昇降級人数は基本5人ずつ。ただし、Tier1の昇級人数(タイトル戦決勝進出)は3人Tier4降級人数は8人Tier5の昇級人数は4人(前期でTier5→4へ昇級した選手は後期はお休み)、Tier10は降級者なし
・選手の脱退・新規加入は考慮しない
2段階昇級とか、降級点などの複雑なシステムは考慮しない
・リーグ終了付近等でポイント状況などを踏まえた特殊条件は考慮しない(対戦4選手の「強さ」に応じた順位分布で、淡々と試合をこなす)。
・201名の選手の「強さ」については、1~10、もしくは1~6の間(整数値を取る)で一様に分布させる。
・各選手のクラス分けをランダムに振り分けた後、20年分リーグ戦で昇級降級を行った後の、クラス分けを「初期Tier」として固定する。
・選手のうち1名を交代させ(当該選手を「注目選手」とする)、「初期Tier」の状態から、さらに20年分リーグ戦で昇級降級を行い、その結果を記録する。
選手の「強さ」全年度を通じて一定とする。

具体的には、以下のような表を作成します。

こちらの表は、「強さ」分布が1~10の場合(「強さ」1の選手が21名、「強さ」2~10の選手が20名ずつ)の、クラス分け(Tier分布)の推移を示したものです。行方向が各選手についての情報で、列方向について、2列目から「強さ」(入力値)、初期Tier1~20年後Tierとなります(マスの中の数字が該当年度終了時のあるプレイヤーの所属Tier)。

基本的に「強さ」が大きい選手ほど、上位Tierに所属するケースが多いですが、一時の成績の落ち込みによって、「強さ」が最上位の10の選手でも、ある年度にTier5(C1リーグ)まで落ちるケース(pl2の15年後Tier)も稀に出てくる、なんてことが読み取れます。

こちらの表は、選手1名交代後(注目選手の「強さ」を変える)について、注目選手がn年後にあるTierに在籍する確率(初期Tierからスタートして20年間のリーグ戦を1セットとして、100セット繰り返す)を表したものです。

この表の場合、注目選手の「強さ」1(他の上位プレイヤーより弱い)で、初期Tier10(最下層)からスタートの場合で、1年後(前後期の2期分)にTier10に残留している確率は69%Tier9に1階級昇級(前期か後期のいずれかで昇級)している確率が30%Tier8に2階級昇級(前期と後期両方で昇級)している確率が1%です。

以下、有料部分で、以下のケースについて、同様の表を作成して分析していきます。
・選手間の「強さ」分布1~6の場合の、注目選手「強さ」1初期Tier10の場合
・選手間の「強さ」分布1~6の場合の、注目選手「強さ」3、初期Tier10の場合
・選手間の「強さ」分布1~6の場合の、注目選手「強さ」5、初期Tier10の場合
・選手間の「強さ」分布1~6の場合の、注目選手「強さ」6、初期Tier10の場合
・選手間の「強さ」分布1~6の場合の、注目選手「強さ」6、初期Tier3の場合
・選手間の「強さ」分布1~6の場合の、注目選手「強さ」7初期Tier10の場合
・選手間の「強さ」分布1~6の場合の、注目選手「強さ」7、初期Tier3の場合

3.Mリーグのシステムでの優勝確率など(シミュレーション結果)

まずは、Mリーグのシステムで優勝確率等のシミュレーション結果を見ていきます。

まずは、「チーム1のみ「強さ」+1(他7チームは「強さ」0)」のケースについて見ていきます。下表になります。

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