見出し画像

対リーチ押し引きについて、Mリーガーとシミュレーションとの一致率

研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北、みーにん

1.はじめに

今回は、Mリーグの牌譜を使わせていただいて、牌譜上の実際打牌シミュレーション上正答との一致率をプレイヤー別に分析してみます。

なお、今回分析した牌譜は田中 航/北越せっぷ様が天鳳の牌譜エディタで作成された106試合分の牌譜(2020シーズン)を使用させていただきました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

参考記事
見た目段位別の、実際の牌譜でシミュレーションした結果と実際の打牌の正答率(聴牌VSリーチ編)

2.牌譜解析&シミュレーション条件等

・あるプレイヤー(自分)の打牌直前の局面を調査対象とする。
直前行動がチー・ポンでない。
・自分の打牌前14枚手牌のシャンテン数が0(or1)
他家にリーチ者がいる。
・以上、条件に当てはまった局面について、シミュレーションを行う。
・シミュレーションする対象打牌は、聴牌(or一向聴)化する打牌(門前聴牌ならリーチするかどうか)・シミュレーション上最も放銃率が低い牌を切ってベタオリ・牌譜上の実際打牌をして押す・牌譜上の実際打牌をしてベタオリする、のいずれかの条件に当てはまった打牌すべて。
・計算基準はMリーグルール半荘収支(素点あり、ウマ10-30、祝儀なし)
・以下のデータを収集する。自分の選手名シミュレーション正答の半荘収支と実際打牌時の半荘収支の差(この値をpt損失と定義する。)・シミュレーション上正答(最も半荘収支が高い打牌)と実際打牌が一致しているかどうかpt損失が1pt以内であるかどうか・pt損失が2pt以内であるかどうか・pt損失が3pt以内であるかどうか・シミュレーション上正答が聴牌(一向聴)維持かどうか実際打牌が聴牌(一向聴)維持かどうか
・シミュレーション回数は各打牌1万回

イメージとしてはこんな感じです。

画像1

シミュレーション上最も半荘収支が高い打7sリーチと、実際の打牌(打北ベタオリ)の半荘収支を比較して、その差分(このイメージ図だと1.5pt)が1pt以内とか2pt以内とか3pt以内かどうかで、正答率および解答精度みたいなものを測っていきます。

先に挙げた参考記事と違う点が以下の通りです。
順位点が段位ptではなく、Mリーグルールの半荘収支
Npt以内正答について、半荘収支の取りうる値の幅のほうが段位ptよりも狭いことを考慮して、1pt・3pt・5ptから1pt・2pt・3ptに変更
・聴牌VSリーチだけでなく、一向聴VSリーチのデータも取った
・ルール調整(トビ終了なし・サドンデスなし

このような形式のデータを取ります。

画像2

データ1行につきシミュレーション時間が数秒くらいかかるので、106試合の分析でも2日くらい時間がかかりました。シミュレーション回数が1万回と抑えめなのも、時間的制約の面が大きいです。正確性は犠牲にして、より多くのデータを取ることを重視します。シミュレーション回数が少ない分、乱数の出目次第でシミュレーション上の完全正答が真の値から外れることが考えられるため、完全正答率はそこまで重視しません。完全正答でなくても、例えば1pt以内正答なら実際の打牌は十分正しい(シミュレーション結果と整合している)とみなします。一方、3pt以内正答ですら実際の打牌が外しているケースはプレイヤーが大きくミスっている可能性が高い、みたいな解釈をしています。2pt以内正答はその中間くらいなイメージです。

このデータを集計して、このような表を作ります。
聴牌VSリーチ

画像3

一向聴VSリーチ

画像4

左から、
選手名(順序はエクセルの仕様上の昇順。おそらく音読み時の五十音順。)
データ件数
平均pt損失
完全正答率
1pt以内正答率
2pt以内正答率
3pt以内正答率
シミュレーション正答が聴牌(一向聴)維持かつ、実際打牌が聴牌(一向聴)維持である割合
・シミュレーション正答が聴牌(一向聴)維持かつ、実際打牌が一向聴(二向聴)戻しである割合
・シミュレーション正答が一向聴(二向聴)戻しかつ、実際打牌が聴牌(一向聴)維持である割合
・シミュレーション正答が一向聴(二向聴)戻しかつ、実際打牌が一向聴(二向聴)戻しである割合

というラインナップです。以下、有料部分にてお見せします。

3.聴牌VSリーチのプレイヤー別一致率

まずは、聴牌VSリーチから見ていきます。下表になります。

データ件数各プレイヤー、数十件程度のスケールです。データ数としては少ないので、この結果をもって、統計的にプレイヤーAとプレイヤーBの間に有意差があると言い切れるかはかなり怪しい気がします。また、最初に断っておきますが、あくまで調べているのはシミュレーションとの一致率のみで、シミュレーションが100%正解とは限らないという点は留意していただきたいです。一致率が悪いからといって、そのプレイヤーが弱いなどと中傷するような意図は持っていませんし、読者の方にもできればそのようなことはご遠慮いただきたいと思っております。目指すべき指標が微妙に異なる(シミュレーション=半荘収支、実際≒優勝確率)のもありますし。

ここから先は

3,760字 / 3画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?