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7. 家族のややこしさを乗り越える3本

プロジェクトを一緒にやってくれている大学生Yからのリクエスト。

家庭環境がややこしいので、家族と生きる術を学べる映画を知りたいです

たとえば「たかが世界の終わり」とか!というヒントをもらって、結構こじれた好みですね…!と感じたので笑、「アメリカンビューティー」とかをぶつけようかとも思ったのですが、生きる術を学ぶってことで考えると、それでも何とか前向きにとらえられるものがいいなあと。僕自身は家族のややこしさをあまり経験せずにこの年まで生きてこれたんだけど、映画を見ていると、やっぱり大変だとこんなに大変な人間関係ないよ…っていうのが、血縁なのだろうなあと思います。なんてったって、選べないからね。ある種の業として背負って向き合うか、逃げるか、2択なのかしらと思いつつも、何とかヒントがもらえるもんを見繕ってみます。

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東京物語

1953年公開
監督:小津安二郎
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尾道から東京に、子ども家族を訪ねてきた老夫婦を取り巻く、家族づきあいの息遣いを描いたお話。 丁寧で、リアルだなあと。あの、祖父母が家に来たときに距離感わからなくてすねちゃう孫たちの描写とか、すげーなと。わずらわしさと愛おしさと難しさと、そういうものが混然一体のなりつつも、何とかその距離感に折り合いをつけて向き合わないといけないのが親戚づきあいというものなのですよと言われているような気もしつつ、それが面倒だという気持ちがどちらかという勝って、今の世の中のこのような状態が起こっているような気もするし。なにしろ小津さんの目線が、冷徹というか、すごく引きで眺めているというか、それがなんだか、リアルで空しい。「東京は人が多すぎて、上がつっかえているせいだとか、情けない言い訳をうちのせがれは言いよる」とか、今の時代でもそのまんまいえそうなことをこの時点でセリフにしていて、繰り返すというか、引き続くものだなと思った一本。この映画から学べる家族と生きる術は「だれか一人でも仲間がいると生きられるかも」ですかね。全員とうまいコトやろうとする必要なんかないさって。

アバウト・シュミット

2002年公開
監督:アレクサンダー・ペイン
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仕事一筋の男が定年を機に、様々な困難の中で人生を見つめなおすお話。 人生とか、幸せとか、なんなんでしょうね。哀しくなっちゃう感じですよね。シュミットは、こうなりたかったんだろうか。っていうと、多分、そうじゃなかったんだろうし。人生なんてそんなもんだよ、とかそういう話でもないし。考えちゃうよね。怒りっぽいじいさんばあさんに対して、少し優しくなれるかもこれからw 最後の手紙を見て涙する気持ちは、きっとあの歳になるまで、ホントのところでは分からないんだろうなあ。にしても、ジャックニコルソンがうますぎ。この映画から学べる家族と生きる術は「本当に家族がどうしても許せなくても、ココロの家族は外にいるよ」でしょう。血縁だから特別、って思いすぎないことも肝要かと。

リトル・ミス・サンシャイン

2006年公開
監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス
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娘がミスコンの最終審査に図らずも進出したことから始まる、家族のドタバタキャラバン劇。 こちらのTFYでも紹介したこの映画。この家族は、破たん寸前で、お互いの信条とかコンプレックスとか、近くで過ごすからこそ他人よりも嫌な部分まで含めてわかっちゃうし見えちゃうし、だからこそイライラするし、同族嫌悪も入っているし、ぎりぎりな状態からスタートするんだけど、最後は、なんか、良かった。うん。ラスト、家族みんなでステージに乱入するところが、そこはかとなく美しくて、泣きそうになったw 家族って、難しいし、選べないし、わずらわしいし、道中、いざこざし続けながらニューメキシコからカリフォルニアを目指すんだけど、小さなオリーブの純粋に前に進む力が一つに絡めとっていく。ある意味、子供の「空気読まない力」って最強で、大人同士のややこしさって空気を読んだり、意図を汲んだりしすぎることから生まれるのかもしれないなあと思った次第。この映画から学べる家族と生きる術は「あんまり考えすぎずに、自分の夢中を優先すると空気は変わるかもよ」ってことかと。距離をおくとか逃げるってことも大事だけど、それよりも「距離とかすら気にしない」っていう最強の鈍感力を見せられる映画です。まあ子どもだからイノセンスっていう説ももちろんあるけどw

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家族のややこしさの映画ってほんとたくさんあるし、鬱オチも多いのだけど、「さみしさや混乱の中にも前向きさが残る3本」でございます。どうにかして、自分から率先して「怒る側」から降りれるかが、大きいのかなあと思いました。とかく家族はお互いの魂胆が分かってしまうからこそ、腹が立つし、相手もその怒りの意図や腹の裏が分かるからなおのことむかつく。しかも取り換え不可だからその憎悪のループが内側で渦巻き続けちゃうということで、「逃がし方」の術は3本とも何かヒントはあるんじゃないかな。Yさんもあんまり考えすぎず、充実した自分の人生をまずは考えていけばなんとかなるさ笑

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