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ただただ好きな組み合わせ①

飲み物と食事の、ただただ好きな組み合わせのメモ。

ブラックコーヒーと御座候

あんこは粒あん派だ。誰が何と言おうと、どこぞの老舗の名物のこしあんが最高でも、最後は粒あんが勝つ(私の中では)。そんな粒あん界の皇帝が御座候だと思う。昔、母がよく買い物の帰りに、千里阪急の地下の通路にあるお店に寄って買ってきてくれた。チョコレートとか羊羹というカテゴリで御座候という言葉があると思っていたら実は商品名だったことに小学生の途中で気づく。改めて調べてみたら、株式会社 御座候なんや。すごい、御座候。
大量の粒あんとブラックコーヒーがもたらす時間は至福だ。コーヒーは深煎りで苦みばしった方がよいので、インドネシアあたりの豆がベスト、南米だとコスタリカが比較的合う。

炭酸水とバゲット

これは大学生の頃、貧乏バックパッカー旅でイタリアをぷらぷらして、食費を安くあげるために編み出した組み合わせ。バゲットはユースホステルの朝食で2つくらい余分に取ってナプキンに包む。あわよくばハムやチーズを挟みたくなるのだが、そうすると日持ちが心配になるので、ここは潔くバゲットのみ持ち帰る。
炭酸水はスーパーで一番安い2リットルのものを購入すれば、お昼も夜もお腹は満たされる。別にサンペレグリノじゃなくてもおいしいし、イタリアの炭酸水は炭酸がそこそこ荒い感じでぶっちぶちくるので、安い方が刺激的だ。
小麦粉を炭酸水でただ膨らませるだけの組み合わせだが、バゲットは硬くて何度も噛むし、炭酸水の刺激は多少の小腹をごまかせる。こうやって浮いたお金でバルに行き、地元のぶどうにアルコールが添加されたジュースを飲む。バルでアルコールに集中してお金を使うという節約錬金術の思い出。

ということで、ここからはアルコールの話。

スタウトとカヌレ

黒ビールと呼ばれる仲間たちにもいくつかの種類があるが、カヌレと合うのは断然スタウトだと思う。とげのない滋味深い香ばしさ、口に含み少し経って満ちてくる余裕のある香ばしさを持つスタウトは、カヌレの二面性である堅牢な外見、しなやかな中身の両方をふわりと受け止めて泳がせる。
ところで、夏でも1杯めからいけるさらさら系スタウトをご存知だろうか。箕面ビールのスタウトは、騙されたと思ってぜひ夏の夕暮れの1杯めに飲んでほしい。確かにスタウトの香ばしさがあるのに、口どけが意表をつくさらさら。焼き鳥タレとも相性抜群のこのスタウトと合わせるカヌレは、外皮層が薄いものを選ぶといい。カヌレの外皮層の厚みとスタウトの密度は以下のような関係性を持つ(私調べ)ため、覚えておくと最高の組み合わせができる。

カヌレ外皮層薄め <ー ー ー ー> カヌレ外皮層厚め(硬め)
密度が低いスタウト <ー ー ー ー> 密度が高いスタウト
口どけがさらさら <ー ー ー ー> 口どけがシルキーでぽってり

氷を入れたロゼワインと水餃子

スペインを旅した時、お昼のレストランで会社員たちがワインに氷を入れていた。おぉほんまにお昼から飲むんやと感動し、私自身はレストランに入れるほど贅沢はできないので、テラス席で太陽を浴びながらワインを飲むビジネスマンたちをバス停のベンチに座って眺めていた。
フランスに留学していた友人も、真夏の真昼間からお肉を食べたい時に、赤だと重たすぎるのでフランス人を真似してロゼに氷を入れていると言っていた。
そう。
脂の多いお肉料理の時、スパークリングだとちょっと物足りない(スパークリングやランブルスコと焼き餃子を実験していた期間もあり、それなりに楽しめるのだが、完成度は結局氷入りのロゼに負ける)が、氷を入れたロゼだと、舌ではもはや検知できないただの成分としてのタンニンが確かに存在することにより、お肉が断然美味しくなる。
そしてここは水餃子であるべきなのだ。具が透けるほど薄めの皮だとなおよし。粗めの挽肉、たけのこ、ニラ、ニンニク。他にもいろいろ入っているだろう具と滑らかな皮をはふり、ここで氷入りロゼをちびっと飲む。パーフェクトな滋養食だ。
そういえば、帯広にフアン・ヒルのワインを常備していてステーキも出せるラーメン屋さんがある。焼き餃子とワインを堪能した後、ラーメンで〆ることのできる最高のお店だ。氷は入れていないが、ワインと餃子を愛好する友だと勝手に思っている。

ペティアンロゼ系と唐揚げ

最近日本ワインでもペティアンをつくるところが増えた、のか流通が活発になったのかはわからないが、いわゆる微発砲ワインが普通に買えるようになった。特に日本のナチュラルワインの場合、微々たる微発砲の具合がとてもいい。直近では、余市のドメーヌユイさんのT6ペティアンロゼ2020を飲んだのだが、やはり日本のペティアンはロゼの出来が圧倒的にすばらしい気がする。
そんな刺激的な、でもぐびぐび飲めるしっかり(タンニン的に)者的な存在には、唐揚げ、しかも醤油風味が最高である。漬けた鶏肉をコーティングする香ばしい衣の力強い主張を、ぷちぷちと弾ける泡が受け止める瞬間から始まる小さなパーティーには、余韻にひたる間もなく次の唐揚げを口にしてしまう魔力が潜んでいる。

ドライシェリーと焼売

かれこれ10年通うバーがある。といっても年3-4回ほどしか行っておらず、通うと言うにはおこがましいが。そんなバーは、マスターがもともと中華食堂を営んでいたという背景もあり、実は焼売や焼豚が裏メニューとして存在する(焼豚はひょっとするとメニューに記載されていたかもしれない)。
とある夏の夜更、いつものジンリッキーにしようと座ったものの、そこまで水分量が必要なわけではないなと思い、ドライシェリーをお願いした。ドライシェリーのいいところは、少ない水分ながらも喉元に乾いた爽快さをもたらしてくれるところだと思う。
美しいグラスから立ちのぼるほのかな香りで食欲が刺激されたのか、急に肉汁の画像が目の前をちらつき出す。マスターに相談すると、時間はかかるが焼売を食べたらいいよと勧められたので、素直に従う。しばらくして小さな蒸籠が提供された。蓋を開けるとすばらしくむっちりした焼売が3つ鎮座しており、その横にすっとひきたての芥子が添えられた。蒸し立ての焼売とドライシェリー。かくしてこの晩から、私の好きな組み合わせがまたひとつ増えたのである。

一投稿だと完結しなさそうなので、次は②として純米酒と焼きおにぎりからスタートします。



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