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読書レビュー:化学「すっぴん肌が好きになる肌トラブル大全」

美容本で人体について生物的な事実とともに勉強するなら、この本がおすすめです。

皮膚の構造

まずは皮膚のおさらいから。(美容本でここからスタートするなんて面白い)皮膚は表面から以下の組織で成り立っています。

表皮:角層、顆粒層、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層の層に分かれる。
真皮:肌のハリや弾力を司る土台。70%はコラーゲン。
皮下組織

化粧品でケアできるのは、表皮の角層のみということ。実質0.02ミリの厚さで食品ラップと同じぐらいですが、角層こそが肌の機能にとても重要な役割を担っています。

最大の臓器と呼ばれる皮膚の役割とは、以下にあります。

<体の内部を守る皮膚の役割一例>
・「バリア機能」という内側からの水分の蒸発
・外側からの刺激から体を守る機能
・体温の調節機能:汗をかき老廃物を排出し対応を調整する

バリア機能は特に重要で、この機能が低下すると肌トラブルの原因になります。

メラニンはシミの原因ではない

肌トラブルの最も大きな原因である紫外線。紫外線を浴びるとメラニン色素が生成されるため、メラニン=シミの原因と思われがちですが、実はメラニンは紫外線を吸収することで他細胞への紫外線ダメージを抑える役割を持っています。

メラニン:表紙の最も下層にある基底層に生まれる細胞

皮膚のターンオーバー

化粧品を使ったことがある人なら、ターンオーバーという言葉に馴染みはあるでしょう。表皮は、角化細胞で構成されています。

ターンオーバー:皮膚の新陳代謝。表皮の下から表面に少しずつ押し上げられている流れ。
・表皮を構成する角化細胞が基底層で基底細胞として生まれる
→形を変えながら2週間で角層で角層細胞になる
→約28日をかけ表面から垢として剥がれ落ちる

ターンオーバーが正常に機能することで「キメ」の整った肌になり、メラニンが作られても少しずつ排出することができます。
生活習慣の乱れに大きく影響を受けるため、化粧品だけでなく生活習慣の改善が美肌にも重要になってきます。

保湿のタイプ

美肌の条件である「キメ」が整った肌になるには、化粧品が一役買っています。化粧品で謳われる保湿成分にも、種類があります。

・ヒューメクタント:角層の中で水分を保持する。化粧水に多い。グリセリン、尿素、ヒアルロン酸など
・エモリエント:角層内の角層細胞の間を満たし、皮膚の質感を高める。オイルや美容液など。ジメチコン、ホホバオイル、コラーゲンなど
・オクルーシブ:水分にふたをして蒸発を防ぎ、角層内に水分を留める。クリームに多い。ワセリン、パラフィン、スクワラン、ミネラルオイル、ミツロウなど。

保湿タイプと肌タイプ、季節に合わせて適したケアをしていくことが大事です。

所感

美容系雑誌をタイトルから想定していましたが、最初から最後まで生物の教科書のような説明がメインな面白い本です。
PPTのように現代的に見やすくされています。図解が非常にわかりやすいので、ぜひ本著を手にとってご覧ください。

Noteでは生体に関する説明の多かった1章のみご紹介しましたが、2章以降の肌トラブルの分別方法と対応策についての解説が本著の核心であり、そちらも面白いです。

肌トラブルを回避するインナーケアに関しては、体にいい生活習慣は女性特有の病気を始めとして全体に共通する効果があるので、類似点はあるかと思います。

血圧低く健康に暮らすという意味でも生活習慣は肌だけでなく身体全てに効果的ですね。


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