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(雑感)フランスにおける日本マンガの翻訳事情

(雑感)フランスにおける日本マンガの翻訳事情

私が今働いているのはフランスの出版社。そしてマンガ専門の出版社。ということはつまり、出版物の100%が「翻訳本」だということ。

さて、実はフランスというのは、海外の翻訳本の出版数が世界でもっとも多い国のひとつ。(ドイツも多い)。

出版されている本のうち、6冊に1冊は翻訳本、だそう。(http://mondedulivre.hypotheses.org/4645

出版社でも、海外文学を専門に

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大衆化される「声」

大衆化される「声」

最近はブログやfacebook、Twitterなどを通して本当に多くの人が発信をするようになった。少し前までなら、ある発言や書物が公共のものとなる、つまり他人の目に触れるというのは限られた人のものでしかなかった。

書き手が限られていたということはつまり、当事者が書き手の中に少なかったということでもある。無名の人々の感じたことや考えていることというのはある種の人、例えば作家や学者のフィルター越しに

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フランス人のMangaは漫画なのか?

フランス人のMangaは漫画なのか?

いろいろとあり、フランスで日本の漫画を出版する会社で働き初めて一年弱。
そしてうちの社長がフランス人のための漫画新人賞を企画し、先日無事終了。
フランスで初めて行われた漫画賞。なかなかおもしろかった。

フランスはそもそも漫画市場としては日本の次に大きい。つまり日本の漫画の翻訳版がたくさん出版されているということ。
私はこの会社に来るまで漫画のことをまったく何も知らなかった人間だけど、ここ一年弱、

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フランスの本棚から見えてくる日本とは

フランスの本棚から見えてくる日本とは

人の家にある本棚を覗くのが好き。
そこにはその人の好みや、その人が他人に見せたいと思っている姿が正直に表れるから。

それと同じように、例えばフランスで出版されている日本の本を見ると、フランスが日本をどのようにイメージし、どのようにそのイメージを消費したいと思っているのかが見えてくる。

翻訳というのは自動的になされる仕事のように思われがち。でも、とっても政治的かつ恣意的でもある。

例えばある国

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