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ぶっちゃけ生き残るバンドって何%なの? 〜ロッキン出演者分析してみた〜

ロッキンの出演者データを分析していくシリーズ、今回はずばり


バンドってどれくらい生き残るの?


です。ずば抜けてシビアな話題ですね...




※ちなみに最初に書きますが、アーティスト志望者からするとけっこう心えぐられるかもしれないなので、メンタルが強くない方はお引き返しください。





まず、「生き残る」にもいろいろ定義があると思いますが、今回は独断と偏見により

「生き残る = 解散・休止せずに音楽活動を続けている」

という定義で進めます。




そして、データが膨大だったので


2007・2008年にROCK IN JAPANに出演した全アーティストが

どれくらい解散・休止しないで音楽活動を続けているか?


で見てみようと思います。諸々不正確なところありますがご了承ください。





というわけで早速結論から見てみましょう。

ロッキン出演バンドの生存率は、およそこちらになります。








意外と高い!!!





と思った方、多いんじゃないでしょうか。まさかの過半数超え。




「音楽で売れるなんて万分の一の確立だ」とかなんとか普通に言われてるけど、


音楽活動が続いているか否か


でいうと意外と生き残る確率は高いみたいですね。




まあロッキンみたいな大規模フェスに出演するまでの間に、もっと高い倍率を生き残っているからなんだろうけども...。

それでもわりと希望のある数字であることに変わりはない!






が!



これで油断することなかれ

です。


この数字を当時出演していたステージのサイズ別で見てみると、わりと厳しい感じになりました。

分析しながら私もつらくなったよ...現実は厳しい。



まず、ご存知の方も多いと思いますが、2006年・2007年のロッキンには、主に4つのステージがありました。




1. GRASS STAGE(キャパ 60,000人)

地上波テレビに何度も出るレベルのアーティストが出る


2. LAKE STAGE (キャパ 10,000人)

ロキノン系ファンなら基本知ってるレベルのアーティストが出る


3. sound of forest (キャパ 8,000人)

ロキノン系ファンの中でも、コアなファンが知っているレベルのアーティストが出る


4. WING TENT(当時キャパ 3,000人)

出てきたばかりで勢いのあるルーキーバンドが出る




という感じ。



今と違って、その頃のロッキンは「茶の間が全員知っている」レベルのアーティスト(アイドルとかポップミュージシャン)が出ていないので、今よりは全体的に世間認知度が低めのアーティストが多いんですが、

それでもGRASS STAGEに出てたのは



・木村カエラ

・スピッツ



みたいなビッグアーティストで、当時一番小さいWING TENTに出ていたのは



・Discommunicationを出したばかりの9mm Parabellum Bullet

・1st Albumを出したばかりのthe telephones



とかだったので、同じロッキンでもGRASS STAGEのアーティストとWING TENTのアーティストで、かなり知名度に差があったのは伝わるかと思います。


※実際、当時のthe telephonesなんて、クラスで知ってる人は皆無だった





というわけで、同じアーティストとはいえ、ステージまとめて平均を出すのはアレだろうということで、

今度は出演していたステージ別に、バンドの生存率を比べてみました




そういうわけで、まずは1-5年後で見てみましょう。それがこちら。

どーん。








ステージのキャパに比例して下がる生存率



いやね...そりゃそうだよね。

国民的アーティストと、一部のロックファン向けのバンドなら、絶対に後者の方が音楽活動続けるの大変だよね。知ってたよね。





そして、これと並べて6~10年後の生存率も見てみましょう。こちらです。








なぜか数字が回復するLAKE STAGE。





これ、どういうことなのかというと

解散・休止から再結成・復帰しているアーティストが多い

からなんですね。





ちなみにこれは


・メンバーの産休、育休による活動休止で、期間限定とわかっているもの

・健康上の理由でライブを休止しただけで、レコーディングその他の音楽活動自体は続けたもの


などは、そもそも「休止」にカウントしていないので、純粋に

休止したけどやっぱり復活した!

っていうやつです。






そして、それを踏まえて、わかりやすく並べてみるとこんな感じになります。





並べてみるとめちゃくちゃわかりやすいんですが...

ここからわかること2点をまとめてみます。




その1. 売れれば解散も休止もしない


なんの身も蓋もない結論ですが...結局、数字で見ても変わらないものは変わらなかった。



売れていれば解散しないし、休止もしない。

売れていなければ解散するし、休止もする。



ちなみに逆に「GRASS STAGEレベルで売れていたのに解散・休止した」アーティストは、2007-2008年のロッキン出演者だと


・チャットモンチー

・ELLEGARDEN

・レミオロメン


のみですね。どれも相当、解散・休止が話題になったアーティスト。




一応、上の3つ以外にも


・100s

・DJ OZMA


が2007-2008年のGRASS STAGE出演後に(事実上の)活動休止してるので数字には入れてるんですが、

この2つは、期間限定スペシャルバンドというか、そもそもが若干スピンオフ感のあるバンドだったのでやや色が違うかな?という感じ。




なので、めちゃくちゃ売れたのに解散・休止するというのは本当に稀ということになりそうです。うーん、なるほど...。






その2. ある程度売れていれば再結成・復活する



これもそりゃそうだよな感のある話ですが、もうちょっと具体的に見てみると、


LAKE STAGE(=ロキノン系ファンなら基本知っている)レベルのアーティストがもっとも再結成・復活しやすい。また休止期間も5年以下など、短い傾向にある。


逆に、LAKE STAGE未満のステージに出演したバンドは、休止・解散しても復活しないか、復活する場合も、休止期間が長い




具体的には、


・メンバー・カヨの卒業と同時にバンド一時休止状態に入ったPOLYSICS

・健康上の理由で活動を休止していた絢香


あたりですかね。2006年以降でLAKE STAGE出演後に一旦休止⇒活動再開したアーティストです。




ここらへんは個人の予測ですが、LAKE STAGEあたりのアーティストは休止しても一定数のファンを持っていて、戻ってきやすいのかな?と。


(あとGRASS STAGEのアーティストほど、休止に対する周りからのプレッシャーも強くなさそう...たぶん...あくまで予想だけど...)





逆に、LAKE STAGE以下の出演者で活動再開したのは、


・2009-2016年で解散していたスパルタローカルズ

・2010-2014年で活動休止していたシュノーケル


等ですね。確かに「おお!」ってなりましたねこのへん。




というわけで以上を踏まえて、この記事を読んでいる最後に音楽ファンの皆様のためにまとめると


好きなアーティストに解散・休止して欲しくなかったら、とにかく売れることを願うべし
たとえ解散・休止しても、ファンがある程度ついていれば戻ってきてくれるので、やっぱりある程度売れることを願うべし
でも、たとえ売れなくてもフェス出演者のうち、6割ぐらいのアーティストは10年以上活動してくれるから、あまり悲観的にならなくてもいい


という優しいのか厳しいのかわからない結論になりました。





何回でも書くけど、私が一番好きな a flood of circleがまさにこの「10年後に活動を続けている可能性が59%」に当てはまっているので、本当に解散も休止もしないで欲しいし、たぶんしないと思っているけど、やっぱり茶の間に届くレベルまで売れることなく地道に音楽活動を続けていくって大変なんだなと思って、私自身つらくなった次第です... 

ステージのサイズなんかに関係なく生存率100%だったらいいのにって思うよね!!!つらみ!!!




ちなみにこの記事で辛くなった方向けに「「ヒット曲はラブソングばっかり」は本当か? 〜J-POPの歌詞を分析してみた〜」という、まったくもってどうでもいい話も出していたりするので笑、良ければ読んでくださいませ!


というわけで、最後まで長文にお付き合いいただきありがとうございました。


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