見出し画像

母への手紙


母が病気でこの世を去ってから19年が経ちましたが、姿がなくても私の中で母の存在はどんどん大きくなるばかりです。

昨年、「亡くなった人への手紙」というテーマで公募に出した作品で、母に宛てた手紙を書きました。

せっかくなので母の日の贈り物として、noteを通じて想いを届けられたらと思います。




お母さん、私もようやく母になりました。お母さんはあっという間におばあちゃんです。私の中ではいつまでも若くて綺麗なお母さんのままだけど。

母になることは決して簡単ではありませんでした。お腹の中の赤ちゃんに病気が見つかり、「他の病気を併発したら無事生まれてこれるか分かりません」と言われて、不安でいっぱいでした。あんなに泣いたのはお母さんが天国へ旅立った時以来です。

13歳でお母さんを亡くして、命の重みは十分分かっているつもりだった。大切な人との別れが人生最大の悲しみと知り、命を粗末にした事もないのに。新しい命まで奪われてしまうかもしれない恐怖に「神様はなんで私ばかり試練を与えるんだろう、意地悪だな」と弱気になっていました。

でもそんな時思い出したのは、最期まで強かったお母さんの姿です。気付いた時には進行していた癌と闘い、「絶対治すから安心して」って逆に私たち家族を励ましてくれたね。「弱気は禁物やで」って言うお母さんは本当に一切弱音を吐かなかった。私もそんな強いお母さんのような女性になりたくてずっと背中を追っています。

無事私の元に生まれてきてくれた娘はお陰様で元気いっぱいです。きっとお母さんが守ってくれたんだよね。ありがとう。

腕の中で眠るこの子の寝顔がお母さんに似ていて不思議な気持ちだけど、親子三世代の繋がりを感じられて嬉しいな。

子育ては上手くいかないこともあるけれど、「私もこうして育ててもらったんだな」と想像し、愛を受け取りながら感謝する日々です。

お母さん、あなたを思うといまだに涙が出ます。辛かった時、ぎゅっと抱きしめて欲しかった。母娘でやりたいことも沢山ありました。でも、そんな私の願いを叶える為に、娘は私の元に来てくれたのかもしれません。だからお母さんを想う気持ちの分だけ娘をぎゅっと抱きしめながら、母娘の時間を大切に過ごしていこうと思います。




自分が母になった喜びと、そこに母がいない悲しみ。二つが入り混じるような気持ちが、自然と込み上げてきました。

手紙って、自分の心の整理にも繋がりますね。時には「自分の中にこんな感情があったんだ」と、後から気付くこともあります。


大切な人へ自分の言葉で思いを伝えるということ。節目のタイミングなどで、これからも続けていけたらと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?