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めんどくさい「ケンカ=討論」をふきかけられた時に、颯爽と勝つ方法(前編)


我が家には本があふれています。

本屋さんや図書館にいると
興奮してアドレナリンがでるのがわかるくらい

本が大好きです。

そんな私の
おススメの本をご紹介します。


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(大好きな本の表紙にコーヒーの跡)


「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」
遥洋子著
筑摩書房


あまりにも思い入れが深くて
前編と後編にわけて書くことに。

では前編スタート!

1. 出会いは研修医の頃


2000年の春

研修医になって4年が経過した頃に買った本。


医学部に入ってから・・・


いや、その前に高校で理系を目指した時から

常に男性が多い環境で学び

そして仕事をしてきました。


社会にでて感じる

「女だから○○であるべき」

という決めつけ。


女だから、家庭を守るべき
女だから、子供を育てることに専念するべき
女だから、一歩さがって後ろをいくべき

女だから・・・


何度となく耳にするこの言葉に

違和感を感じ
ひそかに反抗していた私が選んだのが

「産婦人科」という道でした。



女性が女性を治療する。

そのことに魅力を感じたのは

「女だからあの医者はダメなんだ」

そんなことを、平然と言ってのける
オジサンの姿を目にしたからかもしれません。



医者になったからといって
男女の差がなくなるわけではなく

逆に医者の世界だからこそ
女性であることが、障害になる。


そんな場面を目にしてきました。


じゃあ、女性としてどう生きるのか?

その答えを求めて、この本を手にしたのかもしれません。



2. 著者、遥洋子さんが東大に通った理由


この本の著者、遥洋子さんは

この本を執筆した2000年当時
関西を中心に活動しているタレントさんでした。


この本を執筆後は、さらに活動の幅を広げて

男女共同参画、福祉、人権、仕事、人材育成など

幅広い分野で活動されていらっしゃいます。

ホームページはこちら


タレントである遥さんが
東大で上野千鶴子先生に学ぼうと思った理由は

「議論の構成の枠組み」を勉強したかったから。


女性を攻撃する様々な言葉に対し



確実に、的確に、瞬時に、相手に打ち勝つ方法を私は探していた。


この、どれが欠けても、番組という制約上、勝負が成り立つどころか、果敢に挑みかかっても、不様に粉砕していく女性を何度となく見てきた。


(中略)


しかし、私の知る限りたった一人、みごとに勝ち続けている女性がいた。
上野千鶴子だった

「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」本文より



男性社会でも、女性社会でも

正論が常に勝つわけではなく


言いたいことを、効果的に伝えなければ
いくら言っても、話にならないことがあります。


「こちらは間違っていない!」

そう思っても、相手の勢いに負けて悔しい思いをすることはあります。


じゃあ、どうするればいいのか?


無理だと思って諦めるのか

不毛な闘いをいどみ続けるのか

それとも、ぎゃふんと言わせる方法をみつけるのか。

遥洋子さんは

絶対的な攻略方法を、東大で上野先生に学びました。



3. 上野先生から返ってきた驚きの言葉



「勝ちたいんです。それも瞬時にとどめをさすやり方で」


そう言った遥さんに対し
上野先生が言った言葉が


「相手にとどめを刺してはいけません」

「相手をもてあそぶやり方を覚えて帰りなさい」


相手にとどめを刺したら
その世界で「あなたが嫌われ者になる。それは得策じゃない」


そうおっしゃった上野先生の言葉の重みに
深く頷いてしまいます。

相手を木っ端みじんにやっつけても
何もいいことはありません。

相手には相手の主張があり
それは、今まで生きてきた環境によるものであり
その人の人生の一部です。

その人の意見を抹殺するかのようなやり方では
何も解決しない、ということは私も痛感します。


では、議論の勝敗は誰がどうやってつけるのか?

それは本書をぜひ読んでみてください。



4. 物事は多面体だから忘れてもいい


遥さんが
三年分の論文を読んだけれど、
読んだ後に「もっとわからなくなった」
わかったことは
「物事は一概に言えない、ということぐらい」
と言った時

上野先生から返ってきた言葉が



「それがわかればいい」
「忘れなさい」
「忘れたとしても、物事が多面体であることを知っていれば、一面的な物の言いようを否定はできる。」


物事は多面体である。

このことを、私達は忘れがちです。


そして「わからないこと」がわかる

そのことも大事。

なんだかモヤモヤするこの気持ちが
いったいどこから生まれるのか。


相手に答えを求める前に
まずは、モヤモヤの正体をつきつめる。



自分の中で言葉にできない思いを
むやみやたらに他人にぶつけることほど
無意味で無謀なことはない、と
私もやっとわかるようになりました。

ただなんとなく言ってしまった言葉で
相手を攻撃してしまい
そして返り討ちにあうという
悲しい結末になることがある、と思うのですが
皆さんはいかがでしょうか?



5. フェミニズムとは


私はこの本に出合うまで
女性とは?について深く考えたことはなく
さらには「フェミニズム」という言葉を深く考えたことはありませんでした。


でも

女性とは何か?・・・

この「・・・」の中に
数えきれないほどの
思い込みと刷り込みがあるように
思っていました。


「女性」とは、「男性」の対極であるけれど

戸籍上の女性なのか
性別上の女性なのか

女性を定義するものは、その時によって違います。

染色体がXXである事が女性であるかもしれませんが
それは身体的なことだけであり

心と身体は別であって
本当のところ決定的なことは、何もないのかもしれません。


スカートをはく
お化粧をする
子供を産んで育てる

いろんな「女性像」があり
どれも絶対ではない、のですよね。

だからこそ

「女性とはこうあるべき」に縛られて
苦しんでいる人こそ

「こうあるべき」から抜け出す方法を知ることで
その苦しみは解消するのでは、と思っています。


前編はここまで!

後編の目次はこちらです。


6.学問という格闘技
7.  不払い労働「アンペイドワーク」へのモヤモヤ
8.  ケンカのしかた・十箇条
9.  最後まで読んでこそ、初めてわかること



引き続き後編もお楽しみください。

https://note.com/makimdphd/n/nc304943f61e9


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


MAKI




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