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夜の飲み会を断らないようにしてみたら

僕はお酒が飲めません。
下戸です。

学生時代はそれでも無理して飲んで、宴会開始5分で酔いつぶれた事も数知れず。

社会人になった後も、新人は上司や先輩の誘いには無条件で付き合う、そんな時代だったので、もっと酷い目に遭いました。

年数が経ち、役職もついてくると、夜の飲み会の誘いも断れるようになりました。

やがて、あの人は夜は誘っても来ないから、という評判も確立されて、イベントや年度締めの打ち上げなどには呼ばれなくなりました。

あまり大勢で騒ぐのも好きじゃないので、それはそれでありがたくお気楽にやってきました。

40歳を過ぎる頃には、忘年会もパスして、取引先メーカの接待以外には行くことはなくなりました。
昔のCMで「5時から男」というのがありましたが(終業後の5時から元気になる宴会部長のことですね)、僕の場合は「5時まで男」です。

おそらくそのせいで、いやきっと、いや確実に、出世レース(というものが本当にあったのなら)に乗り遅れてしまったと思います。

社内や業界のゴシップネタにも疎くなって、僕の耳に入る頃にはもう風化寸前になってしまったものばかりです。

それでもいいと思ってました。
夜ははやく帰って、毎日家族と食事をして、子供が小さい頃は一緒に風呂に入って、遊んで、寝かしつけて。
好きな本を読んで、好きな映画を見て、楽器の練習をして。
ワークライフバランスとしては理想的です。

少し社会生活としては狭いような気もしなくないですが、
基本的には営業として、または営業と一緒に、外に出かけて行って人と話をすることが多い仕事なので、引きこもってるわけではありません。
いろんな人のプライベートの顔をよく知らないだけで。

コロナ禍がやってきておよそ3年間はそうした生活が普通のライフスタイルになり、誰からも非難される事もなくなりました。
社交が好きな人たちは、そんな状況でもZoom飲み会なるものに精を出していたようですが。

今年に入って、ほぼ以前と同じ日常が戻ってきた頃、長年勤めた会社を退職することになりました。

退職の挨拶をいろんな人にしていると、
「今度、食事でも行きましょう!お話聞かせて下さい」
とお誘いを受けることが多くなりました。

以前であれば、
(うわ、断るの面倒だな)
と思っていたはずですが、何故かこう思いました。

「食事や飲み会に誘われても断らないようにしよう」

それから、引き継ぎなどて出社した時は昼食も誰かを誘って、それも普段あまり一緒に行ったことのない人と行きます。

夜の飲み会も、出社している時はもちろん、リモートワークや有休消化の日でも、夕方から電車に乗って都内に出かけて行きます。

この数週間で5年分くらいの外食をしているかもしれません。

そんな夜の飲み会が、人との2-3時間にも及ぶ集いが、
意外にも楽しいんです。

これは自分自身でも驚いたことで、とても不思議です。
2-3時間も顔つき合わせて食事をしていると、相手はお酒もどんどん入ってくるので、上っ面だけの会話なんてすぐに尽きてしまうので、いろんな話題になります。

あ、この人ってこんな人だったんだとか、
そうか、子供が3人もいるんだとか、
へぇ、こんな趣味があるんだとか。

夜の飲みが日課になっているような人たちには当たり前のようなことも、僕には改めて新しい発見で、
これはこれでアリだな、と思う事もしばしば。

プライベートは仕事には関係ないっしょ、そんな風に思う事もありましたが、
たとえ普段一緒に仕事をしない人でも損得勘定抜きに、オフの状態で会話をするのはそれなりに意味があるかも、と思ったり。

まぁこの生活があと3ヶ月も続くと、やはり疲れてしまうかもですが。

会社を退職して、個人事業として新しい仕事をしていくために、今までの殻を少しだけ破って、無理しない程度に、いろんな人と交流を持つのは、やっぱり有効じゃないかな、と。

それってやっぱり損得勘定やん、と思わなくもないですが、即物的効果はないわけで。

ま、そんなことを、今夜もパートナーさんが開いて下さった壮行会の帰り道の電車でつらつらと考えてる訳です。

〈了〉



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