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「集団的知性」と「共鳴・同期・干渉・共感」

今日は『植物は<未来>を知っている 9つの能力から芽生えるテクノロジー革命』(著:ステファノ・マンクーゾ 他)から「陪審定理、インターネット、集団的知性」を読みました。

集団が個人よりも適切な判断・決定を下すことのできる確率が高まることを「集団的知性」と呼ぶのでした。「全体が部分の総和以上となる」とも表現されます。

一七八五年、フランスの権威ある経済学者、数学者、革命家でもあるコンドルセ侯爵マリー・ジャン・アントワーヌ・ニコラ・ド・カリタは、集団が正しい決定をくだす可能性についての理論を示した。いわゆる《陪審定理》である。陪審員(集団構成員)の数が増えれば増えるほど、その集団がもっとも適切な決定をくだす確率は高くなるという定理だ。

「陪審定理」を初めて耳にしましたので、概要を調べてみたところ、確率論に基づいて多数決の信頼性を証明した定理のようです。

コンドルセは、政治思想とは無関係の理論体系である確率論を用いる事で、多数決の信頼性を定量的に見積もろうとした。(中略)仮にすべての投票者が正否の内容について蒙昧であり無作為に投票したと仮定しても平均正解率は1/2であり、啓蒙活動などにより個々の投票者に正しい結論を選択する能力を、僅かでも付与さえすれば結論2の「参加者の平均正解率が1/2を越えている」という条件は達成可能であり、多数決の驚異的な信頼性をこの定理は結論づけている。

Wikipedia「陪審定理」

啓蒙活動などにより個々の投票者に正しい結論を選択する能力を、僅かでも付与さえすれば「参加者の平均正解率が1/2を越えている」という条件は達成可能とあります。二者択一の問題でランダムに投票すれば、平均正解率は1/2であり、わずかでも正解を知っている(正解を導く知がある)ならば多数決が有効となる。

厳密な証明は元の論文を読んでみたいと思いますが、非常にシンプルな定理のように思います。

コンドルセによると、多数決の効果は、集団の構成員が、少なくとも適切な判断能力をもっていさえいれば、構成員の人数に直接比例する。つまり、最良の解決にたどりつく可能性は、集団の規模が大きくなればなるほど高くなるのだ。

陪審定理のカギは「適切な判断能力をもっている」という箇所にあるように思いました。では、適切な判断能力とは何でしょうか。たとえば、人の判断は感情によって左右されます。それは必ずしも感情を排除することが正しい判断を導くことを意味しませんが、人間の判断には少なからず「ゆらぎ」を伴うことだと思います。

ゆらぎは波のように互いに干渉しあって増幅することもあれば、相殺しあうこともある。増幅しあう場合、相殺する場合のいずれも適切な判断につながり得るように思います。ゆらぎが増幅しあう場合、例えば社会変革のような大きな力を生み出すかもしれません。

ゆらぎが相殺しあう場合とは、個々の判断において重なり合う中心・核心部分があって、そのまわりにある雑音のようなものが互いの判断を重ねる中で打ち消されていく。結果、核心にせまり、正しい判断を下すことができる。そのようなことを思いました。

「集団的知性」「共鳴・同期・干渉・共感」という現象には通底する何かが存在しているように思えてなりません。


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