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『世界少子化考 子供が増えれば幸せなのか』を読んだ

『世界少子化考 子供が増えれば幸せなのか』を読んだ.世界各国の経済状況,家族観,法制度,少子化対策,の背景と現地の人々がどう感じているかがコンパクトにまとまっており,大変参考になった.


都市集中による過剰競争社会(韓国,中国)

韓国と中国は,都市と田舎で賃金の格差がとても大きいそうだ.それにより,都市に人々が集中した結果,「異常な受験競争」と「不動産価格の高騰」が引き起こされており,結婚や子育てに必要な費用がどんどん高くなっている模様.韓国には「非婚主義」や「三放世代(恋愛,結婚,出産を諦めた世代)」といった言葉があるほど,余裕のない社会になっているそうだ.出生率は1を下回る.

3人以上育てることが美徳なイスラエル

イスラエルは先進国では珍しく出生率3以上でキープしている.この国はユダヤ教信者が70%であり,迫害の歴史などの影響で「子供を育てることは素晴らしいこと」という共通認識があるそうだ.なんと「子供は2人でいい」と言うと,自己中心的な人と思われるような文化らしい.そのため,親族や周囲の人は子育てに協力的らしい.子供をたくさん育てたい人にとっては楽しい社会な感じがした.一方で,人口増加が止まらないことが,この国の課題となっている.

「個人の自由」の重視による少子化(フィンランド)

男女平等で,育児と仕事の両立がしやすい環境のフィンランドだが,出生率は1.35くらいで低空飛行のまま.2018年の調査では,20代の24%が子供はいらないと回答した.「チャイルド・フリー」という子供をもたない権利を主張する人々もいるようだ.「個人の自由」を実現すると,結果的に少子化になる傾向があるようだ.個人的には,「個人の自由」のためなら少子化と人口減少のマイナスは受け入れようと思う.

そもそも,人口減少は悪いことか

環境負荷の観点でみると,人口減少はプラス.経済的にはマイナスのようだ.生産性の向上とイノベーションとやらで,人口減少のマイナスを打ち消さないと,経済成長を前提とする現状の社会システムは維持できないそうだ(もう維持できてない感すごいけど.財政破綻したら,みんなで畑耕そう).

おわりに(独身男性35歳として想うこと)

35歳の独身男性としては,「子供を産む」ことは一度も考えたことがないわけで,女性がどのようなプレッシャーを感じているのかは,まるでわからない.

少なくとも,本人が希望する子供の数と,実際の子供の数が等しくなるように社会が変わっていくといいなと思う.同時に,子育てが楽しい社会になるといいなと思う.

あと,フランスのPACSみたいなパートナーシップ制度は,日本も導入したほうがいいと思う.いろんな家族のかたちをつくれたほうがいいと思う.

以上.


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