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家族でいるという矛盾

 二人目を出産したばかりのわたしには【理想の育児】がある。『あった』という方が近い。モンテッソーリや、シュタイナーなども憧れた。1人目の出産直後にはホメオパシーなどを学び、薬に頼らないナチュラルライフを送りたいと思っていた。できるだけ自然に近い形で子供の持つ本来の力を伸ばしたいと思ったりした。わたしはそこでニコニコと佇み、叱らない育児をやっている、はずだった。

 現実は全くそこからはかけ離れた。理想と現実は違うのである。毎日が忙しかった。将来のためにも稼がなければならなかったし、ワンオペで怪獣のような息子を見ているわけにもいかず、(もちろん育児は主人との共同作業になるわけだが)主人とは理想の育児について話すこともなくその意識の擦り合わせをしたことがなかったのである。
 例えば食育に関して言えばこんな風に3歳児にコーラもあげたくなかった。チョコもキャンディも、大きくなるまであげたくなかった。食事中にはテレビを見せたりはしたくなかった。
 やかましい音を鳴らして光る、戦隊もののおもちゃは与えたくなかったし、絵本の読みきかせを毎日してあげたかった。こんな風にガミガミと苛立つ気持ちをぶつけたりしたくはなかった。

 理想と現実がかけ離れていることは、わたしを大きく悩ませた。それでも、いつしかこれ(理想)を手放せば楽になるということを知った。やり過ごすことを知ったのだ。これが日常なのだ。これでいいのだろうか、これでいいんだな。そう思うしかなかったのだ。

 二人目が産まれて、ふとこのわたしの理想の子育て育児を叶えてる人は確かにいるのだと思い出した。どうしたら叶うのだろうか、彼らはどうやって叶えたのか。
 もはやジャンクの世界にはまりつつある息子を理想の食生活に戻すにはハードルが高すぎる。離乳食をまともに食べようとしなかった息子にとってマクド○ルドのハッ○ーセットには、彼の喜びがいっぱい詰まっている。息子がなかなか離乳食を食べずに、煮詰まりすぎてわたしが発狂しそうになったことも合わせてあげておく。
 子育てって難しい、食育って難しい、という言葉ですんでしまいそうになる。そもそもこれはパートナーシップの問題なのだ。そこを諦めずに突き詰めていけるかは、夫婦間の信頼関係にある。理想の育児を叶えてる人たちは夫婦間でしっかりそこを確認しあっている。わたしは、そこを説明するのが億劫で諦めてしまっていた。

 あの人(夫)にとって、わたしが言うことが何もかもが初耳!というくらい疎いので説明するのがめんどくさいし、『これを読んでね』とLINEにURLをリンクして送っても【ぜったいに】読むことはない。そういえば、わたしの長いLINEメッセージには返事をくれたことがない。現状を変えるのが好きではないタイプで好奇心もないから学ぼうとしない。意識の擦り合わせどころか、コミュニケーションも難しい。
 それならばなぜ一緒にいるのか、と問われれば『子育てのためのチームであるから』といわざるを得ない。それしか理由はないのだが、何度と夫婦でいることを放棄したくなったが離婚しないという結論を出した。子育てが一段落すれば、離婚してもかまわないということでもある。わたしにとってはどちらでもいい。
 これは諦めというよりも、離婚したとしても二人で協力して子育てをするという状況は大きく変わらないと思うからだ。むしろ息子はパパとママが両方好き。ならばと、離婚せずに一緒にいることにしたのである。

 わたしは理想を追い求めるか。そうすると仕事のペースを緩める必要がある。スピードとクォリティ勝負のこの世の中から逸脱しなければいけない。
 たとえば食育であれば鰹節を削り一番だしをとり、お味噌汁のお出汁を手作りに変えるために、生活を見直そうと思ったりもする。いわゆる丁寧な暮らし、というところだ。
 ところが丁寧な暮らしを実現するには、初期投資が特に必要なんである。美味しい無農薬の野菜を買うにはいつものスーパーでは手に入らない。医者に頼らない生活、ナチュロパシーもお金がかかる。ホメオパシーのセッションはなんと初期には30,000円かかり、そのあと月に一度のペースで続いていく(恐ろしい)
 おカネがないと叶わない、という矛盾。仕事のペースを緩めている暇はない。わたしの理想を追い求めれば矛盾が生じるのである。

 家族でいることの矛盾。今、自分を愛しましょう、好きなことをしましょうっていうのが流行っている。そのためにチームは?説得させる?もちろん自分を大事にすることは素敵なことで優先させるべき。
 たけど全部が全部好きなことなんて出来ないのが現実であった。息子の生き方、夫の生き方、娘の生き方をうまく交差させて一緒に生きていくのである。
 わたしは言い訳が好きではない。そのうち、自分の理想を叶えてみたいと野望を持ちつつ今日も妥協してしあわせに生きていく。これでいいのだ。


ふじなわまどか


日本キャンディブーケアレンジメント協会公式ホームページ

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