発達障害×性教育

あくまで個人の経験・考えです。
全ての発達障害の人に当てはまる内容ではありません。
参考までに、今の自分の障害は、服薬していれば正職員として働くことができ独居も可能な状態です。
受けている診断名は自閉症スペクトラム(ASD)です。


皆さんは、子どもの頃に性教育を受けましたか?
子どもの頃に教わった内容を覚えていて、子どもに対して教えることができる方は少ないのではないでしょうか。

日本の性教育は、定型発達の子どもへも発達障害の子どもへも足りていないと思います。


性教育って?

性教育と聞くと、「性交や受精について教える」「はずかしい」というイメージを持たれている方は多いかもしれません。
実は性教育は範囲が広く、性的同意や性犯罪防止、性自認、ジェンダーなども含まれます。
包括的性教育という言葉も広まってきています。
私は、性教育は人権教育やコミュニケーション教育の一環と捉えています。

たとえば、「No means no」という言葉を聞いたことはありますか?
「嫌よ嫌よも好きのうち」
「強引さが喜ばれる」
「始めは嫌がっていてもそのうち同意する」
といった誤った考えに対して、
「嫌と言ったら嫌」
「やめてと言われたらやめる」
という当たり前のことの大切さが発信されています。
自分のことも相手のことも大切にする考え方やコミュニケーションについて広まるといいなと思います。


加害者にも被害者にもならないように

私が考える、性教育の1番の目的はこれです。加害者にも被害者にもならないように。

内閣府の調査によると、日本人の4人に1人が何らかの性暴力被害に遭った経験があるようです。
被害を受けたことを自覚していない方もいるため、実数はもう少し多いかもしれません。

幼少期に受けた性被害によって、大人になっても健康を損ねている人がたくさんいます。
自分や相手を大切にすること、プライベートゾーンを守ること、性欲は自分でコントロールすることなどを年齢に合わせて教えていき、予防していくことが必要です。

自分がされたことを客観的に理解することが苦手だったり、自分の気持ちを感じ取ることが苦手だったり、「自分は普通じゃない」「嫌だと感じるのは自分がおかしいからだ」と考えたりして、自分が被害を受けていることに気づきにくい場合もあります。

加害者を増やさないようにという観点では、
性欲のコントロールの仕方や、性以外のことで自分の生活を充実させる方法を学んでいく必要があるのではないでしょうか。


「奇跡」って言われても…

よく性教育では「あなたの命があるのは奇跡」といったキラキラした言い方をされると思います。
私はどうしてもその「奇跡」の意味がわからないですし、価値観の押し付けをされている感じがします。
自分が子どもたちに性教育をするときは、「素晴らしい」といった価値観を付随させずに、事実を淡々と伝えるようにしています。


日本の性教育

日本は他の先進国と比べて、学校における性教育の時間数が非常に少ないようです。
学校や周りの大人から正しいことを教えてもらえず、アダルトビデオ等を参考にしてしまう方もたくさんいるようです。
アダルトビデオの中で行われていることを実際に真似してしまうことは大問題です。


寝た子を起こす

受精の仕組みや性交について教えるのは「寝た子を起こす」ことになるからやめた方がいいという意見がよく聞かれます。
知ってしまうことで興味が出て性行動に走ってしまうという恐れがあるようです。
しかし、小学生でもすでに性に興味がある子は多く、何も教えないままではリスクがあります。
また、性交についてきちんと事実を教わることで、リスクのある性行動が減少するというデータがあります。


発達障害の子どもへの性教育

一般的には、「寝た子を起こす」というのは誤りで、受精の仕組みなどの事実をきちんと教えることで、ハイリスクな性行動をする確率が下がると言われています。
しかし、発達障害の方では「自分の興味のあることにばかり意識が向いてしまう」「話の一部分しか覚えていない」「話の内容を誤解しやすい」といった場合があります。
実際に、性教育を受けたことで、性交によって子どもができることを知り、「やってみたい」と考えてしまった学齢期のケースもあります。

性教育の実践者や普及団体の活動は近年見えやすくなってきています。
発達障害の方を含め、いろいろな人に対して正しく伝わるような伝え方を身につけていきたいところです。

発達障害当事者やそのご家族、支援者の方にとって何かヒントになれば幸いです。
ご質問があればコメントをください。

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