最近の記事

おいかけて 初恋⑤

もう誰も待っていなくても 私は待っていてもいい? 21年経っても 新神戸駅の 改札口で待ってるよ あなたが出てくる姿を への字口じゃなくて  ニコッとして出て来てくれたら 私は言うよ 夢は叶わなかったよ 恐れを知って臆病になってしまったよ 今じゃ傷ついてボロボロの ビンテージだよ 多分泣きながら話すよ でもあなたはきっと 俺だって叶わなかったよって 歯を見せて笑うよね もう一回 青春しますかー 中年の青春だぜ  そのために呼んだんだろ?って 頭の上で指を組んで背伸び

    • おいかけて 初恋③

      ⅲ.バラードコレクション 年末に、埼玉に行った。 どうしても辛抱たまらなくなって、 彼の大学や、住んでいたところを見てみたくなったのだ。 大宮駅に着いた時からもう泣く。 大学までの電車や、バス乗り場にも胸がドキドキした。 背の高い彼が、すぅーっと立って バスを待つ姿の幻影が、ほんとに見えた 緑の多い街を、大学までのこの道を、彼は何百回往復したのかな。 美しい楽曲は、彼の日常の延長上にあるわけで。 その青春を思う時、胸がギュッとなってしまう。 その街で私はずっと 

      • おいかけて 初恋②

        ⅱ.私のことば SNSで彼のことを呟いてる人、書いてる人は山ほどいると思う。 その中で私の、大体の人に嫌われるポエミー感満載な愛を見つけて、 あえて私を掴まえて下さった。 「20年も経つのに、嬉しいです。」 誰から来るのかわからない、 それでも待ち続けた手紙が、突然郵便受けに入る瞬間。 もう楽しいことなどないよ、と乾いてひび割れた心に 突然降った慈雨。 嫌われがちな私のことばを そのまんま喜んでくださったことへの 驚きと感謝。 私はやってきたその宝物の手紙のおか

        • おいかけて 初恋 

          Ⅰ.手紙を頂戴 ずーっと待ってた。私に手紙が届く日を。 郵便屋さんのバイクがうちに来て、郵便受けがカタンと鳴る。 バイクが行ってしまったら直ぐに外に出て、郵便物を確かめてたよ。 私宛の手紙。一通入っていないかなぁ。 誰かが私を驚かそうと、楽しませようと、書いてくれた手紙が。 来ていないかなぁ。 来るわきゃ無い手紙を、 40年間待ってた。  特別良いことがなかった人生に、 割りと難しいことばっかりの人生に、 それでも 1%の希望はいつまでも 捨てられない。 明日こそ 

        おいかけて 初恋⑤

          ベガとレコード

          織姫星のベガが瞬く日。 私はレコードプレーヤーを持って いなかった だって私、人生に音楽はいっときも 欠かせない。というような、 カッコいい人間ではないもの。 小さなスピーカーが内蔵された プレーヤーを手に入れたのは CDとは別テイクだという彼の歌を 聴きたいから。 やっぱり私は 彼の声の前では 即降参なんだよなぁ 宇宙物理学とは全然合ってないけど  過去現在未来、あの世もこの世も  方眼用紙のマス目上にある点だと 思ってる 点と点の間にピーッと線さえ引いて

          ベガとレコード