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宣伝会議 編集・ライター養成講座 卒業制作で最優秀賞をいただきました

 宣伝会議「編集・ライター養成講座」41期。コロナ禍のため、オンラインでの開催も並行するということだったので、沖縄から申し込みしました。
「卒業までに何回かは東京に行けるかな~」とか考えていましたが、全てをオンラインで終了。結論からいうと、卒業制作で最優秀賞をいただくことができました。
地方からでもオンラインでもできる!ということで、卒制について自分なりに気をつけたことを備忘録として残しておこうと思います。
(美里茉奈/Churako)


宣伝会議 編集・ライター養成講座 総合コースについて

SEO的には私の悩みとか書いて共感を呼び、講座の説明とか書くんだろうけど、読む人は卒制について聞きたいと思うので割愛します。
講師陣の方々がとても豪華。対面だったら懇親会などで人脈を作れたのでしょうね……(そもそもそれ目当ての人が多いのかな?)

しかし私はヒッキー気味のコミュ障なので飲み会が苦手。陽キャラが多そうな場でやってける自信はありませんでした。


講師の先生はTwitterやFacebookでフォローできる(むしろ対面だったら「フォローさせてください!」っていえなかったかも)ので、個人的にはオンラインで良かったです。

40コマあって、先生も20人以上いらっしゃいます。
正直「うわ……この人苦手」って先生もいましたが、皆勤賞じゃなくても卒業できるので、その辺はお休みしました。
プロの方でも、媒体特性やその人の姿勢で言うことは違います。パワハラ上司みたいな考え方に影響されないでくださいね……
「そういう考え方・指導法もありますね」でスルーが吉です。

何人もの先生が「女性は特にこの業界セクハラには気をつけて」「セクハラする人は小さい人間だし持ってくる仕事もショボいから」と言ってくれたのは「さすがにちゃんとしてるな」って思いました。

最初の決意。

卒業制作は受講前から考える

この講座は、卒業制作にどれだけ力を割いたかで満足度が違うと思います。私は渾身の力を注いだので満足度は「最高」です。


私は、受講前に「あれ書こうかな」というネタをぼんやりと考えておき、実際にインタビューする前に下調べ(現地に行ったりとか)してました。

授業は卒業制作に役立つことを提供してはくれますが、手取り足取り指導してくれるわけではないです。習ったことは自分で「これ卒制に使えそう」と取捨選択しなくてはいけません。

別の先生の授業で褒められたことを卒制に使っても、卒制としては微妙なこともあります。自分に合ってる媒体を見極めるポイントがわかるともいえるかも。

優秀賞以上を取った作品は、もともとその分野に興味があったり、当事者だったりして、筆者の方の知識が深かった作品ばかりだったように思います。

私の場合は、卒制の題材時にしようと下調べを始めたら、ご本人が取材をたくさん受けていた方で、実は本も出版されていたことがわかりました。

最初は、この有名カフェが新たに作っているスポットを紹介するつもりでした。本は2008年出版だったので、そのことはまだ書いてません。当時はガイドブックにも載っていませんでした。

ただ、本を読んだことで最終的には内容がまるで変わりました。事前の情報集めって本当に大事ですね……

卒業制作が自分の代表作になっても良いか

卒制をポートフォリオにしようと考えている場合、当面は自分の代表作になります。

なので「新規性」や「独自性」があるといってキャッチーなものに飛びつくと、その後も同じ分野に取り組まないといけなくなるかも?って考えてみることも必要だと思います。

また、すでに多くの人が発表しているような題材も厳しい。それを書くのは自分じゃないとできないという視点が必要です。

これまで宣伝会議の講座は、南青山への通学が基本でした。つまり沖縄のことを書いた人はほぼいないはず。新規性では地方の方がアドバンテージがあると考えました。

もちろん、卒業制作を機に新たな分野へ……とか、日頃自分が問題意識を持っていることに切り込むとか、会ってみたい人に会いに行くのも全然アリだと思います。

でも、今後の仕事に繋げようと考えた場合は、作品を見た人から「じゃあうちでもお願いしようかな」と思われるような題材の方がおすすめだと思います。私は、沖縄をはじめとした観光のライティングをやっていましたので、その方面に繋げることも考えて対象を選びました。

(↓こんな感じの記事を書いていました)


企画書の講評は全て聞いて傾向と対策を立てる

終了の2か月ほど前に、卒制の企画書を事前提出し、審査員の先生たちが講評するという授業がありました。

全員分の企画書が配られ、読んだ先生が1つずつツッコミをいれるのです。ここで気をつけたのは、自分の講評だけ聞いて終わり~ではなく全員分の講評から、審査員の先生が「どんな原稿がほしいのか」というニーズを探ること。

企画書の内容と卒制が全然違っていても、この時点では問題ありません。自分の企画書は、とりあえずなんか書いてあればいいです。足りないところは指摘されます。せっかくのチャンス、出さないのが一番まずいです。
とにかく何か今考えていることを、未完でも何でもほんのちょっとでも、なんなら単語だけでも書いて出しておくことをおすすめします。

すでにネタだけは決めている場合は、先生に切り口のヒントをもらえます
途中まででも書いて「どういうトピックを加えたら読みたいと思ってもらえますか?」って質問しちゃうとかもありです。



先生から皆への講評を聞いていると
「いま審査員に求められているのはこういう記事なのだな」ということと
「皆がどんな原稿を書こうとしているか」がわかります。


私には問題提起をしてアンサーを出すような原稿を書く自信はありませんでした。そこで、「よし、コロナ禍でも頑張る人の話で希望を持つ感じにしよう!」と決定。レッドオーシャンで戦わないことにしました。


先生は沖縄好きだと言ってくれたので、文章の目的は
コロナ後に沖縄に行くときに『ここ行きたい』と思われる記事にしよう!」という方向にすることに。

受賞しなくても印象に残れば、先生たちの人脈で周りの人にその場所を伝えてもらえるかもしれないし……微力ながら近所の地域振興にも役立てればと考えました。


事前調査&取材の段取りについて

私の場合は、コロナ禍もあって取材先を近所にしていました。もともと年に数回は行くお店です。そこで、取材を断られないように、短期間に何度も通って人間関係作りからはじめることに。

(冒頭に「コミュ障」と書きましたが、それはあくまで飲み会とかのウェイな体育会系ノリや、集団で仲良くができないという意味です。)

雑談で「取材をしたい」という話をしてみると、ラッキーなことに、ご本人が取材された過去記事をたくさん見せてもらうこともできました。

(看板猫にも懐かれるように……)

正式にはオーナーご夫妻、息子さん、店長の4名にインタビューを1時間~程度したのですが、それまでにかなりの基礎情報がストックできていました。

6000字では書き切れない。倍の字数でも足りないと思うレベルで素材を集められる距離(本人に会えなくてもその場所にすぐ行ける)を取材対象にしたのが結果的に良かったのだと思います。現場感とかその場の空気を作れたかなと……


とにかく構成が重要

さて、卒制の講評でほぼ全員指摘されていたのが「構成」です。とにかく構成はなによりも大事。

先生の講評を聞いていると「構成さえ良ければ受賞してただろうな」と思う作品がいくつもありました。題材が良く、文章がうまくても、構成(特に導入と締め)がダメだと大きく減点されていた印象。

ネット記事は、例えばさっきの原稿だと「美ら海水族館」で検索してくる人に読まれればいいわけです。ちゃんとその題材に対してニーズがある人が読者。
対して卒制は「興味ない人」に読ませないといけない。めちゃハードル高い。
先生たちはプロだし授業なので、ちゃんと最後まで作品を読んでくれます。
しかし本来、無名ライターの原稿は、どんなに題材が良くても掴みがNGだと編集会議でボツになり終了
。そもそも掲載されません。こっちが諦める以前に試合が始まらないのです。

「私が~」の意識高めな記事は、ファンがたくさんいてこそ許される構文。ここではキラキラしたポエムやエッセイは回れ右です。というか、独自の感性で書いた文章が売れちゃうなら講座に来る必要はないんですよ……

最終講評はプロ目線でビシビシ行くのでめちゃ厳しい。プライド高い人は気持ちをバキバキに折られるかもしれません。「どんな事を言われてもいい」と思えるほどやっておかないと悔いが残ります。

私の場合は、取材対象者の人生がドラマチックだったのでその部分はすんなりできました。が、どうやってそこに繋げるの?そしてどうやって締めるの?と本当に苦しみました。


少し、ハゲました……(涙)


まさかの原稿チェックが大晦日(徹夜明け)と元旦でした。心の広い取材先に感謝です……

私みたいにならないように、とにかく前倒しで制作を、なんなら題材探しと構成作りは、受講開始時から取り組むくらいで良いと思います。

別のライター講座に並行して通う

え?ライター講座をもう1つ?と思われるかもしれませんが、私の勝因はほぼこれだったと思います。(それまでが勉強不足だったとも言う)

総合コースは毎回のように先生が替わるので、自分の構成とか文章についてじっくり指導を受けることは難しいです。(同じ先生が持つ最大コマ数は3~4コマくらい?)

これって多分、講座に不満を持つ人の一番のポイントかもしれません。受け身だと、「いい話聞いた」で終わっちゃうのです……!

そこで、適切な指導をしてくれる先生を別に作りました


私の場合は、同じ宣伝会議の即戦力コース(通称:米光講座)に通うことに。もともと米光講座は、総合コースの卒業生が通う上級コースとして開設していたものです。なので、すでにプロライターとして活躍されている方も通っています。

総合コースにも米光先生のコマがあり、それが楽しかったというのもありますが、まさかのWで同時受講。なぜかというと、米光講座は年1回9月から開催なので、今を逃したら翌年になってしまうと思ったから。

やるなら一気に……!と清水の舞台から飛び降りてみました。財政的にきつかったので臨時のバイトをいくつもやりました。ギリギリまで受講料の支払を待ってもらったりもしました。

「写真の顔がなんか怖いし、ビシビシされるんだろうな」と思ってたのですが、思いのほかフランクでフレンドリーですよ……ね?


美里茉奈というペンネームはこのとき作りました。
卒制とは違う内容を「プチ専門」としてやってみたのですが、これが課題については毎回ダメ出しを食らうわけです。ただそれが本当に的を射ているので
「この先生はなんちゃってクリエイターじゃない」と確信が強まりました。



感性で書きました!エモい~みたいな、何が良いか私には全くわからないゆるふわ記事が評価されていたりする世の中。「もっと具体的なメソッドがほしい」と思っていたのでピタッとはまりました。

それとともに、ガチのプロライターは本っっっ当に原稿に手間をかけていることを実感。文章に現れるのは氷山の一角なんですよね……

総合コースの卒制については、同期でW受講は私1人だったので、米光講座後の雑談でちらっと企画案を話したくらいでしたが、先生のツッコミを受けて「それもそうだな」と企画そのものを考え直すきっかけに。
(今思えばもっとガッツリ指導してもらえば良かった)


(でもこの状況↑を考えると言えず……)
インタビュー記事を作る授業では、先生に課題の赤入れを自分から督促。言われたことを自分なりに卒制に反映させました。

W受講は正直きつかったです。土曜日の10時から夜10時まで宣伝会議の講座という日もありました。単身でフリー仕事なので何とかできた感じです。
自分のために全ての時間を投入できるぼっち人生のアドバンテージをフル活用しました。リア充じゃなかったことが奏功……

講座生の書いた米光講座レポート。私のも掲載されました。


文章は具体的に書く


事象は「すごい」とか「素敵」とか形容せずに、客観的な事柄を並べて書く必要があります。これが難しい。字数がいくらあっても足りない。卒制の講評でも、字数が足りずに形容詞で丸めたところはやはり突っ込まれました。

それと、お金の金額。借金っていくら?とか……聞きにくいことを聞いて、さらに掲載許可まで取るのがライターの力量として評価されます。私も、字数が許す限りは、数字やエピソードで説明するように心がけました。

ただ、お金のことは、私は書けませんでしたね……ご本人にとってすごく深刻な問題を興味本位で消費していいのか?と悩んでしまって。でも、できるなら具体的に金額を書いた方が確実に加算点がつくと思います。

あと気をつけていたのは、本当に基本的なこと。
・形容詞をなるべく使わない。
・語尾をそろえないこと。(~だ。~だ。などと続けない)
・しゃべったことを全部「」でくくらずに地の文に混ぜる
などです。私は台詞が4行(卒業制作は17文字1行)以上にならないように意図的に混ぜました。
上手なルポやドキュメンタリーを読んでおくと良いのかも。感覚的に会話と地の文章を混ぜられるようになります。

このへんも米光講座がためになりました。毎回課題の本が出るのですが、それが作文方法の本だったりするのです。課題だからちゃんと読むわけで……
もちろん総合コースの先生も本を薦めてくれますので、そちらでも大丈夫だと思います。


卒業制作ドラフトをなるべく多くの人に読んでもらう


書き上がった原稿がちゃんとできてるかどうかは、まずは取材対象の方に喜んでもえるかどうかがポイントだと思います。



卒制は「政治の不正追及スクープ!」とかじゃありません。取材対象者が光って魅力的に見えることが第一。

ドラフトを取材した人に見せないというドキュメンタリーもありますが、
こっちが失礼なことを書いていない保証はない。見せる方が絶対安全だと私は思います。あくまで卒制の話ですけど。

私は、取材した方が私が書いた記事を読んで、
「自分ってすごい人間だったんだ!」
「書いてもらって嬉しい!」
「自己肯定感上がる!」
という記事にしたいというのが第一にありました。

でもその人の自慢とか「すごいでしょ」みたいな記事にならないように書いたつもりです。結果、ご本人には「お店に置きたい」と言ってもらえたので嬉しかったですね。

一般読者を想定し、この場所を知らない沖縄県外の友人たちにも読んでもらいました。ねらい通り「次の沖縄旅行で行ってみたい」と言ってもらえたので良かったです。まあ、独身の友人が大晦日とかに原稿送ってきたら、必死すぎてそう言うしかないかも(苦笑)

ともかく「人に見せたい」と思うレベルまで原稿に向き合って作り込むのがカギなのかなと思います。

ひたすら記者ハンドブックでチェック

誤字・脱字・表記ゆれやミスはプロとしてあってはならない問題。

基本ルールがわかっていないのは減点対象になると思ったので、記者ハンドブックを活用して隅々までチェックしました。

特に卒制は縦書きなので、縦書きフォーマットでの日時や数字の書き方についてはひたすら確認。Wordは得意ではありませんでしたが、ヘルプを見つつ基本フォーマットを崩さないように頑張りました。


そして、取材対象者の敬称やふりがな、漢字の開き方など。WEB系は、この辺があいまいです。長くやってても知らなかったり間違ってる人が多いんだなと勉強になりました。

原稿は数十回は見直したと思います。何度見直しても誤字や脱字があるんですよね。

そういえば、写真がモノクロになると聞いたので、Lightroomでモノクロがキレイに見えるように色調を調整したのに、送付されたPDFはカラーだったのが地味にショックでした。睡眠時間を返してほしい……
(この色調調整に気がついてくれた人がいたことが救いでした)

今後はファイル提供で指示が変わるかもしれませんが、写真の選定と加工は意外に時間をくいます。枚数が多い人は要注意です。

なんで宣伝会議のライター講座にしたの?



私は1文字◯円のWEBフリーライターを4年くらいやっていました。
なんでこの講座を受講しようかと思ったかって、コロナ禍の中で仕事がたくさんなくなったからです。取材にも行けません。

不安定な状況を脱出するためには、自分の単価をあげるしかない。でも、それなりの原稿料がもらえるライターになるにはツテか実績が必要です。

私には両方ありませんでした。人付き合いが苦手なのでツテは厳しい。実績も、ツテから記事を書かせてもらわないとはじまらないことも多いですよね。

でも、講座に通って手間をかけて良い作品を作り、それをポートフォリオにすれば、今より良い条件で受注できるんじゃないかなと考えたのです。「空いた時間にやろう」では永遠にその時が来なさそうだと思いました。

世の中にはいろいろなライター講座があるし、適性によって合う合わないがあります。だけど、その世界の第一線で活躍する人が講師なのだから、宣伝会議のライター講座の専門性は抜群なわけです。「ライター講座」キーワードでの検索結果もトップ。
つまり、Googleの評価基準「E-A-T」(※)をばっちり満たしています。

※「E-A-T」とはGoogleの品質評価ガイドラインに出てくる3つの要素Expertise=専門性、Authoritativeness=権威性、Trustworthy=信頼性の頭文字です。

メディア・広報関係の人は、ほぼ全員が宣伝会議を知ってる(権威性)。そのへんの講座にお金を払うよりも、ここの卒業生だっていう方が名前も通ってるし良いはずだ(信頼性)と考えました。せっかくオンラインで受けられるようになったし。

先生がたくさんいるから「自分がこうなりたい」って方向の人も見つけやすいのでは?という目論見もありました。1人くらい自分の原稿を気に入ってくれる人がいるかもって。

あまり講座とかに「投資」って言葉を使いたくないのですが、この講座は紛れもなく私への投資でした。私は自分の実力のなさを知っていたので、その分装備を厚くしたのです。

分不相応の甘い評価を欲しがったら、零細フリーランスなんて、変な講座とかオンラインサロンとかでいいように搾取されちゃいますからね……

最優秀賞=Googleの検索結果トップを目指す

さて、途中までは
「観光ガイドを書いてイイ線行きたいわ~」
「noteにポートフォリオとして掲載して旅行記事ゲット」
くらいに思っていた卒制でしたが、あまりにも取材対象の方が素晴らしかったので「この話を絶対に世に出さないといけない」という使命感がわいてきました。(本は12年前でもう状況がだいぶ変わってます)

世に出す、というのは最優秀賞を取るということです。
最優秀賞を取れば、宣伝会議のメディアに公式に作品が掲載されます。でも最優秀賞を取れるのは2作品だけ。受講生は100名以上。かなりの狭き門です。

そこで、私は審査員の先生お二人をGoogleと仮定。最優秀賞、つまり検索結果トップに出るための戦略を練って記事を作り込むことにしました。
品質評価ガイドラインとして、企画書レビューの時に取っていたノートを再確認。先生に好評だった企画から、興味を引いて評価を得られそうな切り口を探しました。

そう、SEOライターならみんな知ってるユーザーファーストです。私は編プロに所属したこともない野良WEBライターですが、紙媒体の先生たちへの挑戦をしてみることにしました。



ただ、賞の獲得をはっきり決意したのが12/24。締め切りは1/3。
ギリギリでした。12/24~1/3まで、講座以外の全ての時間を卒制に投入。12/26の米光講座の課題がちょうどインタビュー原稿だったので、その赤入れを受けて、構成から全部練り直しです。

構成を決めてから文章を書き直したのですが、特に意識したのは「私は」で始まる文章は一切入れないようにしたことです。取材対象者の口から言ってもらう、もしくはエピソードで表現。私はひたすら黒子に徹しました。

だって私は何かを専門に語れるオーソリティーじゃありません。そもそも卒制はインタビューです。エッセイじゃない。客観性を持たせることが何より重要だと考えました。

それでいて読む人には「これを書いた人には当事者意識がある」と思わせないといけない。仮に専門家にインタビューできても紹介じゃダメなんです。立ち位置難しい……!

さらに時事性。「この話はいま読まなくちゃ」と思ってもらう必要があります。題材を社会問題となっていることと絡めるのはとても重要。いま読む必然性をつかみの部分で簡潔にやること。どんなにニッチな題材でも「他人事ではない」と思ってもらわなくてはいけません。

その結果「コロナ禍でも頑張る人の話で希望を持たせる系」を書くはずが、いつの間にか「人生を、コロナを乗り切るプロジェクトX系」になりました。

素材集めと下準備を十分やっていれば、土壇場で切り口を変えても対応できるということを、卒制で身をもって学ぶことができたと思います。

題材の素晴らしさに負けないように取り組んだ

さて、12/31(徹夜明け)に取材先で原稿をチェックしてもらった時に、ふと言われました。
「次回のアナザースカイに出るんだよね」と。

えっ。

私が取材申し込みした時には、実はすでに収録が終わっていたらしい(笑)最初に教えてくださいよ……私がどうこうする以前に素晴らしい題材でしたって話。

そもそも本には載ってなくて、ガイドブックにもなかった「書こうと思ったきっかけの場所」も紹介されちゃう。新規性が……

放映がいっそ締め切り前なら参考にできたのですが、締切は1/3・放映は1/8。しかしこれでこれでハードルが上がり「いっそアナザースカイに負けないものを作ろう」という気持ちに。

情報をどの部分から出していくか、どの言葉をどこに配置するか、ギリギリまで構成に悩みました。最後まで文字数と戦い、表現を見直し、記者ハンドブックをめくりました。

だって全国ネットのテレビ取材がくるような題材を奇跡的に拾ったのに、同じものを書いて評価されないなら、それ私の問題ですよね……

提出が終わった後に見た「アナザースカイ」はとても素晴らしかったです。Huluに課金してる方はぜひ見ていただきたい……!後半15分です。

卒業制作の講評


講座最終日当日は「ここまでやってもダメなら、インタビュー系ライターは無理だろうから別の分野でやろう」とか考えたりしていました。

ライティングはいろいろな分野があります。適性がないのにこだわる理由もありません。稼げそうにない道からは潔く撤退しようと。
他に1文字100万円くれる分野があるかもしれないし……

講評では「まあ合格点」という評価でした。
指摘されたところは、字数が足りなくて削った箇所や形容詞に丸めた箇所、そしてお金の金額だけでした。ハゲるまで考えた構成は何も言われなかった。考え抜いて良かったです。

卒制の講評は1人ずつされます。今回は13時から始まり、ぶっ続けで7時間かかりました……!(なお、企画書の講評もそのくらいかかります)

卒制提出者は最終的には57名。
ファイルページ数はトータルで220ページありました。2ページが1ページに集約されているので、実際は440ページ!
全員分の卒業制作ファイルは本当に読み応えがありました。

これだけの量を、ちゃんと全部読んで一人ずつ的確にフィードバックするとか並大抵のことではないです。その辺のライター講座には絶対にできないし、そもそもこの審査員のメンツではやってくれないと思います。

今回の審査員のおふたり

品田英雄さん(日経BP総研/上席研究員)

山口一臣さん(POWER NEWS/元週刊朝日編集長)

最優秀賞は2名、優秀賞が8名。最後に発表されました。 

なんやかんや書きましたが、私がnoteに書いた諸々のことなど「しゃらくさい!」みたいな感じで書いても入賞する人こそ才能ある人なんだろうと思います。私にはそんなものはないので、傾向と対策を立てて地道に臨んだという話です。

これまで知らなかったいろいろな基礎知識を得ることもでき、やっとライターとしてスタートラインに立つことができたと思いました。

AdverTimes.(アドタイ)掲載とそれから

その後……卒業制作から2度の再取材、かつ写真を大幅に加えたものが
AdverTimes.(アドタイ)に掲載されました。こちらからどうぞ

その後、卒制原稿を公益社団法人メセナ協議会のメセナライター募集に送ったところ「これぞメセナ!」と評価いただき、誰もが知るような大手企業の事例が並ぶ中に株式会社さちばるの庭のインタビューを掲載することになりました。

2024年3月には、英訳もされました。

公益社団法人メセナ協議会では、ほぼ毎年入れ替わりで「メセナライター」を募集しています。宣伝会議の卒制がメセナに関連するような内容であれば、ポートフォリオとして送ってみるのもありかも!メセナライターになれば顔写真付きでプロフ紹介&取材記名記事を書けます。毎年の募集はだいたい4~5月ごろです。

活動を通じて思ったのは「地方にこそ、実は素晴らしい宝が眠っている」ということ。原石を掘り出して磨き、誠実さに光を当てることをこれからも続けていきたいと思います。


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