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【ソニックブランディング】ASMR: アパタイトサウンド

人間は聞く音によって、味覚が変わることが知られている。

一般的に知られたのは、イギリスの「The Fat Duck」というミシュラン3つ星のレンストランが、「The Sound of the Sea」というメニューを発表した。
料理に合った音楽を聴いてもらいながら食べれば、いつもより美味しく感じる、というコンセプトである。

以降、続々と味覚と聴覚の研究が進み、調べればたくさんの情報が出てきた。

  • 「パリパリ」音を聞きながらポテトチップスを食べると美味しく感じる。

  • 高周波数成分が多い音楽を聞くと、チョコレートが甘く感じる。

  • 逆に低周波成分が多い音楽を聞くと、チョコレートが苦く感じる。

  • BGMによってワインの酸味や甘味が変化する

  • ハーモニー豊かな音楽を聴きながらチーズを食べると、はっきりと味と香りを感じることができる。

サウンドや音楽は、食に大きな影響を与える。
ここをヒントに、僕のソニックブランディングのアイディアを共有します。


ASMR

ASMRとは「Autonomous Sensory Meridian Response(自律感覚絶頂反応)」といい、近年注目されている聴覚体験です。

人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地よい、脳がゾワゾワするといった反応・感覚

https://ja.wikipedia.org/wiki/ASMR

Youtubeで調べるといくつもの動画が上がり、そして再生回数は数十万回はザラである。
サウンドの種類は様々で

  • 吐息音

  • ひそひそ話の声

  • スライムを握る音

  • タオルを触る音

  • プラスチックを触る音

  • アイロンがけ

など、音が鳴る身近にあるすべての物、行動が対象である。

考えてみれば、梱包で使うプチプチを潰す音はずっと聴いてられるし、大工職人がカンナを削る音は心地よい気分になる。

このキーボード音のASMR動画が、2220万回再生でかなり驚く。

医学的な実証はないが、ASMRは人を癒し、痛みを軽減したり、睡眠導入を促したりなど、効果があるようだ。

とにかく、需要があるのは確かだ。これは、ソニックブランディングとして活用できることは明らかである。

アパタイトサウンド(食欲を刺激する音)

深夜テレビのラーメン特集で、麺を啜る音を聞いたら、ラーメン屋に駆け込む人はいるのではないか?
うなぎを焼く音を聞くと、よだれが出ないか?

そのような音を、アパタイトサウンドと言う。
アパタイトサウンドは、食欲や食べたいという欲求を増幅させる音であり、聴覚刺激を起こします。これらの音はさまざまで、食べ物が焼かれる音やカリカリとしたお菓子を食べる音、液体が注がれる音などです。

日本補聴器工業会が、食欲をそそられる音の調査結果が面白い。

https://www.signia.net/ja-jp/blog/local/ja-jp/appetite-of-autumn/

驚いたのが、包丁で切る時のまな板の音がランクインしていることだ。
料理の準備音でも、人は食欲をそそられることに、新しい発見をした。

このアパタイトサウンドは、マーケティングにも使われている。
有名なのが、コカコーラである。
炭酸のシュワシュワ音や注ぐ音を巧みに広告に組み込み、視聴者の聴覚に刺激をしている。


My Sonic Branding

上記の情報をまとめると

  1. サウンドや音楽は味覚に影響を与える

  2. ASMRは人間の心理に影響を与え、そして需要がかなりある

  3. アパタイトサウンドを使ってマーケティングを行なっている

これを踏まえて、僕なりのソニックブランディングの提案をしたい。

Sonic Branding for Restaurant: The Sound of the Chef

レストランのソニックブランディングを考えてみた。
結論から言うと

シェフが調理している音を店内のBGMにする

特殊なマイクを使い、リアルタイムでシェフの調理音をマイクを通して、店内に流しBGMにする。

厨房の中は、アパタイトサウンドで溢れている。

  • 肉を焼く音

  • 魚を捌く音

  • まな板の音

  • 揚げ物の音

  • パスタを茹でる音

  • 卵を溶く音

レストランは体験をする場所である。
味覚(味)、視覚(料理の飾り付けや、内装、景色など)、嗅覚(匂い)が基本であるが、まだまだ聴覚のブランディングがされていない。
最近やっと、レストランで流すBGMのプレイリストやCDが発売され始めたが、まだまだポテンシャルがあると思っている。

僕は調理する音が好きだ。この動画は音楽のように頻繁に聴いている。

そして、これらの音が食欲や味覚に大きく影響する、ということがわかったので使わない手はないと思った。

自分のオーダーした料理を調理する音がBGMになり、その音がアパタイトサウンドとして食欲を刺激し、尚且つ、その調理音を聞きながら食べると、いつもより美味しく感じることができるのだ。

これほど耳が楽しいレストランは無いであろう。

そして副産物のような効果も期待できる。

Evaluative conditioning
一定の環境下で繰り返し同じ音を聞くと、双方の関連性が強まり、感情が音によって引き出される

テレビで中華鍋と五徳が当たる音を聞くと、行きつけの中華料理屋を思い出すことがある。
このような効果を、この調理音BGMのレストランに生み出すことが出来る。

テレビ、Youtubeや街中で、調理音が偶然聞こえてきたら、そのレストランを思い出すかもしれない。
調理音は、あなたの味覚や食欲のみならず、記憶まで刺激するのだ。

実行課題

技術面

考えらえる技術面の問題点をたくさんある。

  1. どんなマイクを使えば良いか?

  2. どのようにピンポイントで調理音をマイクで録るのか?

  3. どのようにシェフたちの会話だけマイクで録らないようにするか?

  4. スピーカー環境どのようにしたらいい?(イヤフォンは絶対にさせたくない)


物語&マーケティング

ただ単純に、調理音を店内に流してもしょうがない。ただの雑音になってしまう。
物語が必要なのだ。

  1. どの調理音を収音するのか?(フライパン、包丁、泡立て器など)

  2. 調理音全部を一斉に流すのか?

  3. 料理を待っている人と食べている人は同じ調理音を聞くべきなのか?

  4. 調理音と一緒に音楽も流すべきなのか?

など、考えればキリがなく頭を抱える問題がたくさんある。
しかし、僕はもうチームを作り、問題解決に取り組みだし、光が見え始めている。

ポテンシャルプロジェクトでもないが、僕はもう準備ができつつある。必ず必ず良い結果がでるソニックブランディングになるはずだ。

誰か一緒にやりましょう!

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