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身も蓋もない「深海の舞姫」

あるテレビ番組で、珍しい魚を展示する水族館が特集されていた。

そこで紹介されていたのは、深海をヒラヒラと美しく舞う魚。名前は忘れてしまったのだが、「深海の舞姫」と呼ばれているという。

「キレイやなぁ」と、僕がそのヒラヒラと舞う美しさに見とれていると、一緒にそれを見ていたオカンはこうつぶやいた。

「身が少ないんちゃうの」

なぜ食おうとしているのか。

……いや、確かに人間にとって魚とは、そもそも鑑賞するものではなく、「食うもの」だったはず。太古の昔より受け継がれた本能を忘れ、美しさなどにうつつを抜かし、肝心な「身の厚さ」を考えなくなった僕は何て愚か……って騙されちゃダメだ!危うくオカン・ワールドに飲み込まれて、不要な反省に陥るところだった。

それにしても、「深海の舞姫」を見た感想が「身が少ない」……。

「身も蓋もない」という言葉は、まさにこの瞬間のために作られたのだろう。

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