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りんごのまちで育つ子へ

2.3日前にFacebookで一足先に書いたのですが、こちらではまだだったと思い、こちらでもご報告を。
せっかくあれこれSNSを使っているのでFacebookとは別のことを書きたいなあと思い、なんか色々書いてみようと思います。いっぱい言い訳書きます。
もしFacebookも繋がってる方がいらっしゃったらそちらも読んでいただけると嬉しいです◎

5年前の全ての始点、カコタムの話も近々ちゃんと書きたいなあと思ってますがひとまずご報告から。

【ご報告】
5月24日14時
から、UHBにて5年間取材していただいたドキュメンタリー番組を放送していただけることになりました。

タイトルは りんごのまちで育つ子へ  親子を支える「みんな食堂」 

FNSドキュメンタリー大賞のノミネート作品として出していただけることになったので、24日の道内放送後、順次全国でも放送予定です。道外の皆さんお楽しみに…!

そして、公開に合わせてとっても素敵なサイトも作っていただきました。

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本当に色味も可愛くて素敵なので、ぜひこちらからご覧ください。
昨日何気なくテレビを見ていたら予告CMも流れてきて流石にびっくりしました(リンク先の動画と同じものです)。
これまでも定期的に夕方のニュースの時間帯で特集として放送していただいていたのですが、ようやく1時間のドキュメンタリーが完成しました。

実は2016年には「17歳の先生 〜子どもの貧困を越えて〜」というタイトルで、高校生ボランティアだった私を取材したドキュメンタリー番組を放送していただいたのですが、実は放送後もずっと取材が続いていたのでした。

当時は、NPO法人kacotamにくる子どもたちとそこで関わるボランティア、そして生活保護の当事者としての経験をメインに取材してもらいました。
カコタムには今でこそ高校生スタッフが何人かいるけれど、当時は私しかいなかったうえ、さらに当事者でありながら支援者。そんな二足の草鞋を履いた高校生が珍しかったんだろうと思います。

今回は私自身もお世話になっている「ぴらけしみんな食堂」と、そこに通う親子が主役。

みんなで食堂にやってくる地域の親子の困りごとや頼みごとに寄り添うべく、学校や役所、町中を駆け回る日々。
…というと少し大げさな気もしますが。笑

子どもたちの喧嘩を遠巻きに眺めたり笑、進学や就職のサポートをしたり、授業参観や学校行事に参加したり。
そんな慌ただしくも賑やかなドタバタの毎日を、きっとテレビの編集の力で良い感じに見せてくれているはずです。

みんな食堂があるこの地区は、日本で初めてりんごを栽培したという経緯もあり、まちなかの至るところにりんごマークが。
私の自宅前にもりんご並木が植えられていて、最近花が満開になりました。
綺麗だなあと毎日窓から眺めています(これだけで住んでいる場所がある程度特定されそう…苦笑)。

中央分離帯にずらーっとりんごの木が植えられていて、秋には収穫されたりんごが住民に配布されます。
でもたまにおばあちゃんが犬の散歩をしていてヒッ…となります…危ないからやめて…。そもそも、そこ歩いて大丈夫なところなのか…?そういうフリーダムな地域です(嘘)。

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ありがたいことに、前回の放送終了後、たくさんの人から連絡をいただきました。道外からkacotam宛に筆記用具の寄付がきたり、私自身にもお手紙がきたり。
何よりも、テレビを見てカコタムメンバーになりました、と報告してくださる方も何人かいて、この番組でできたたくさんの縁やつながりによって今日まで頑張ってこれました。

ここからちょっと懐かし話。

私が活動を始めた2015年は、特に「子どもの貧困」が社会問題として大きく取り上げられ始め、テレビでも新聞でもたくさん報道された。

そんななか、NHKで実名で取材された貧困家庭の女子高校生がネット上で大炎上してしまった。
きっかけは彼女のSNSアカウントが特定され、そこにかきこまれていた内容や写真。
「友達とランチに行ってきた」「映画を見てきた、これでn回目」。

取材をしたテレビ局側の配慮がなかったのももちろんあるのだけど、視聴者側のモラルも問われた騒動だったように思う。
こちらにかなり詳しく書いてあるので時間のある人はぜひ。

"貧困のくせに" 1000円のランチなんて。
同じ映画を何回も見るなんて貧困だとは思えない。

いわゆる「吊るし上げ」という形で「こんなの貧困じゃない」「もっと苦しい人はたくさんいる」と世の中に投げられたフラストレーションの数々。

本当の貧困とはなんなのか。
「私の方が苦しい」というしんどさ比べに何の意味があるのか。

この炎上騒動をきっかけに、「絶対的貧困」と「相対的貧困」の違いの説明が何度も繰り返され、時間をかけてだんだん認知度と理解が進んできたように思う。
裏を返すと、彼女の炎上がなければここまで飛躍的に貧困問題への関心も理解促進も進まなかったとも言える。

このようなセンシティブな内容では基本的に、各メディアの報道では取材に応じる子どもたちはモザイクと仮名の処理が行われる。
そんな中でも彼女は顔出しと実名で取材に応じた。
同じように顔出しと実名で取材に応じ続ける私に周囲の大人たちはとても心配してくれた。

「どうかあなたの人生がメディアに消費されませんように」

時代や世の中の流れを掴みたがるメディアは、そのとき1番関心が高まっているものを取材対象にする。
当然、貧困の当事者として活動している自分の元にも取材の依頼が相次ぎ、その度に同じような内容を紙面上でもカメラの前でも喋り続けた。

道外からわざわざ取材にきてくれた人たちもいたし、中には内部から実情を知りたい、と記者自身がボランティアメンバーになった人もいた。
逆に、メディア業界に就職した知り合いも何人かいる。

取材をするために打ち合わせを何回かして、取材後内容に不備がないか確認をして、放送や紙面での紹介が終了すると、途端にパタリと連絡がこなくなる。
まるで用済みかのように。

大人たちが心配していた「メディアの消費」はこういうことなのか、となんとなく悟った。

妹に「お姉ちゃんがテレビに出てると、うちが貧乏ってことがテレビを見た同級生にバレるからやめてほしい」と言われたこともある。
それでも、半ば意地かのように顔と名前を露出し続けた。

ネット上の掲示板でスレを立てられて色々書き込まれたりしたこともあるのだけど笑、画面の向こう側の、顔も名前も知らない人にあれこれ言われることに不思議とダメージを受けることはなかった。

ある記者の方に言われた言葉が忘れられない。
「子どもの貧困問題を扱うとき、どうしても親の方に話を伺うしかない。お子さんも幼く、"子ども"の貧困の当事者である子ども自身から話を聞く機会がほとんどないので、あなたのように声を上げてくれる当事者の存在は貴重だ」

内容が内容なだけあって、声を挙げられる当事者は少ない。
自分にできることは、今現在関わっている子どもたちや同じ境遇の人たちの声を代弁し続けること。社会を変えるために声を挙げ続ける。それに尽きる。

もちろん、顔と名前を出すことのリスクはかなりあると思うし、誰でも真似できることでもないし、できることなら出さないに越したことはないと思うので、私がかなり特殊だという前提で。

そんな"メディアの消費"が心配され、連絡が途絶えるメディアが数多くある中、こまめに連絡してくれたのがUHBの皆さんだった。
高校卒業のお祝いに食事に誘ってくれたり、ぴらけし勉強会では学習支援の人手が足りなくて困ったときに「自分も入ります!」と文字通り仕事道具のカメラを置いて子どもたちと向き合ってくれた。

仕事のためではなくそこに参画する一人間として、カメラ越しではなくその目で直接私や子どもたちを見ようとしてくれた。

で、ここからは少し言い訳も込みなんですが。笑
5年もカメラが回り続け、何年も顔を合わせている知り合いだからこそ気の緩みは出てくるわけで、途中から取材のためにメイクをしたり服装がとか身だしなみに気を使うのが面倒になってきてしまい。

逆に言うと、そういう何も取り繕っていない素の状態の自分を晒すことができたという部分は5年かけて築き上げてきた信頼関係かなとも思ってます(ポジティブ)。

あとは、映像のつながりを考えて変に気を遣って、5年間パーマと髪を染めることには一切手を出さなかったのも、今考えると謎だな…とも思ったり。
2月末くらいに1回だけパーマをかけてみたんだけど、自分には似合わないということもわかった。笑

でも、こんな自分でもどんな人でもそういう面倒な日はあるし、手を抜いて適当に生きていてもいいんだなという見本になれば(言い訳)。
なんというか、もっとこう、みんな適当に生きればいいんだよ…。

あ、でも一つ違う点があるとすれば、オンラインで学習支援をするときに取材場所がなくて女性記者さんの自宅をお借りしたこと。
女性らしい可愛らしい素敵なお部屋だったのだけど、そこ一つだけは私の部屋じゃないということで…。私の部屋はもっとこう、生活さえできればいいという感じの偽の木の温もりでごまかした無機質な感じなので…(?)

とかなんとか、なんだか色々ごちゃごちゃと取り止めのつかないことを書いてしまいましたが、ひとまず週末日曜日どうぞよろしく…!
私は多分恥ずかしくてすぐには見れないと思うので、覚悟を決めて深夜に1人でこっそり見ると思います。

もしよければお会いしたときにでもSNSでもここのコメントでも、感想をちらっといただけたら嬉しいです🍎

ついでに、カメラに超接近する子が面白かったから載せておこう。

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おわり。

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