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0-5 原則とステップ|Active Project Management 超実践トレーニング ガイド

management studioの吉見です。
現場で使えるプロジェクトマネジメントの研究開発を行い、e-ラーニング、セミナー、アドバイザリーでご提供しています。「Active Project Management 超実践トレーニング」のガイドから、コンテンツの解説部分をセクションごとにご紹介するシリーズ。
今回は「CHAPTER 0 Principle 原論」から「セクション5 Active Project Managementの原則とステップ」についてです。


018 プロジェクトにActiveを取り入れるステップとサイクル

プロジェクトマネジメントには「立上げ、計画、実行、コントロール(PMBOKでは監視・コントロール)、終結」のライフサイクルがあります。それぞれプロジェクトマネジメントにおいて重要なプロセスですが、実践では特に計画と実行を積極的に行うことを重視します。また、計画と実行は一方通行ではなく、コントロールで状況を把握しながら行き来する一体のプロセスとして運営することが重要です。Active Project Managementでは、この2つをつなぐ「前に進める考え方=推進」を実践での判断基準として取り入れ、計画と実行の具体的な行動のサイクルを密に、スピーディーに行うようにします。

019 Active Project Managementで重要な2つの力

プロジェクトマネジメントは極論、高度なイマジネーションとコミュニケーションの能力があれば不確実性への対応と複数関係者との共創を成り立たせることができるので成立します。正確に先が想像できればやることも明確になりますし、関係者がお互いに意思を正確に汲み取り伝達できれば思い違いによるエラーがなくなるどころか成果実現のスピードも桁違いです。しかし、正しく最適な状態でこの2つの能力を常に発揮することは、普通はできません。だから様々なマネジメントテクニックやツールといった手法を用いて、関係者も含めこの2つの能力を最大限発揮できるようにします。逆に言えば、様々な手法はこの2つの能力を活かすためであることを忘れないようにする必要があります。

020 Active Project Managementの6ポイント

Active project Managementはマインドセット(心持ち)の問題だけではなく、膨大な量の中からActiveのために選別された知識や、具体的な手法やテクニックと組み合わさることで効果を生みます。とはいえベースにあるのはマインドセットであり、「心・技・体」の心のイメージがベースになるようにしっかり持てていないといくらテクニックを覚えたり経験を詰んでも「仏作って魂入れず」になってしまいます。 Active project Managementを実行するプロジェクトマネジャーはどういう見方でプロジェクトに関わるべきか、6つのポイントに整理しましたのでしっかりと感覚を掴んで具体的な知識、技術を深めましょう。

021 ポイント① コントロールできるか、できないか

プロジェクトにはコントロールできるものとできないものがあります。例えば、コントロールできるものは作戦立て、役割分担、予算配分、スケジュール立案といった計画とそれを実行すること、コントロールできないものは外部要因や社会要因といったプロジェクトの外にある事情で影響をうけるものです。Active Project Managementでは、コントロールできないものにリソースをかけても効果が薄いため、コントロールできるものどうしで比較してより効果が大きい方に積極的なリソースの投入を行います。プロジェクトマネジャーは、まずはプロジェクト内でコントロールできるか否かを見極め、できないものに対しては異なるビジネス的なアプローチを選択することも必要です。

022 ポイント② プロジェクトが第一

プロジェクトマネジメントで重要なことは、その状況において正しく最適な判断を重ねることです。しかし主観的な判断には様々な事情、利害、思惑または人間なので先入観、感情、心理状態といったものがどうしても混ざります。最適な判断のためには客観的で俯瞰的なな視点が不可欠です。そのためには状況整理、選択肢の洗い出し、選択する基準の設定、というステップと、その各ステップにおけるを行動基準を予め決めておき、判断を客観視できるようにプロセスを組立てておくことが有効です。行動基準の根底にあるのは「プロジェクトにとってどうか?」というプロジェクトに注視した視線です。色眼鏡や感情が判断を邪魔しないように注意しましょう。

023 ポイント③ 見えるようにする、ハッキリさせる

Active Project Managementのカギはプロジェクトに最適な判断と行動を生むことにあります。そのためには誰でも理解できて行動につながるしかけが必要です。最も簡単な方法は目で見て共通の認識と目線を持てるようにし何をすべきかハッキリとすることです。ActiveなPMは積極的に、とにかく何でも可視化、共通化、明確化するように、意識しなくても出来るくらいに習慣化しましょう。難しく考える必要はありません。テキストでも票でも図でも何でも構いません。きれいな表現の方が伝わりやすいですが、無理に目指す必要はありません。やることは簡単ですが、分かりやすくハッキリしているアウトプットはプロジェクトメンバーを自発的に動かす力を持っていますので、とても効果的です。

024 ポイント④ 「モヤモヤ」を解消し推進力を生む

プロジェクトの苦手意識は、物事が漠然としていることとプロセス自体が目に見えるものではないことから生まれます。この2つの原因と「モヤモヤ」を消さないと思い切って前に進める気持ちになりません。物事が漠然としているのは、プロジェクトで起こる事象には相関や依存、トレードオフといった関係があり、糸が絡まっているようなイメージで複合化しているからです。これを解きほぐす(細分化)ことがスタートです。解きほぐした糸はただ並べても関係が理解ができません。それぞれの関係を明確にすること(構造化)が必要です。そしてこれらが起きているプロセスはモノではないので目に見えません。ここでも目に見えるテキストや図、表にすること(可視化)が重要になります。

025 ポイント⑤ 目的と成果が両立するプロセスをつくる

価値実現を目指すプロジェクトは常に目的と成果を意識し結びつける必要があります。計画と実行の背景から「なぜ?」と「何を?」が抜けるとプロジェクトマネジメントは形骸化して何のためにやっているのかが分からなくなってしまうからです。プロジェクトの目的は成果を実現することなので、成果の実現に結びつかない計画や実行は意味がありません。また成果が実現しても価値がなければプロジェクトに取り組む意味は薄くなります。一方で、目的が非現実的で成果を実現することが不可能なものである場合、これもプロジェクトにとっては失敗です。目的と成果の整合性があること、目的と成果を両睨みで立てた計画を実行することを常に意識するようにしましょう。

026 ポイント⑥ 戦略的にも「正しさ」は大切

正直は美徳であり、PMBOKでも誠実であることはプロジェクトマネジメントの原理・原則とされています。これを疑う余地はありませんが、プロジェクトで問題や課題に最前線で対応するPMには、隠したり誤魔化したり先延ばしにしたくなることが日常的に発生し、キレイ事だけでは処理しにくいことがあるのも事実です。しかしそのような場面で「正しさ」を選択することは合理性という観点でも実は理にかなっています。百歩譲って誤魔化しきれればマシですが、多くの場合は問題が大きくなったり取り返しのつかないタイミングで表面化し、このトラブルを回収するために膨大なリソースが必要になります。リソースの最適化という視点でも迷ったら正しさを基準にしましょう。

あとがき

今回はActive Project Managementの具体的なポイントについてでした。まだ抽象度が高い原論ではあるものの、実務に関わっておられる方は実際のプロジェクトで取り込めるヒントがあるのではないでしょうか。

次回からは、章が変わり「CHAPTER 1 Start 立上げ」についてご紹介します。プロジェクトの成功で最重要になる初期段階のスキルセットについて解説しますので、ぜひご覧ください。

またコンテンツにご関心をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

吉見周平
management studio contact@mgt-st.com
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