見出し画像

種をまく

朝7時、起床。
顔を洗い、
長い髪を頭のてっぺんでお団子にする。
メイクはしない。

7時10分、服を着替える。
メルボルンの冬は、
雪こそ降らないけれど
南極からの直風が氷の冷たさだ。
ヒートテック2枚。
セーター、コート、マフラーをぐるぐる。
ブーツを履く。

7時20分、リビングに降りる。
ホームステイのお家は
信じられないほど広い。
ブルーベリーヨーグルトを
大急ぎで口に運ぶ。

「長靴は?」「もったよ!」
「サングラスは?」「もったよ!」
「軍手は?」「もったってば!」
「よし、いってらっしゃい。Have a nice day!」

7時半、ホストマザーの「ニコッ」に見送られ家を出る。
畑までは、バス・電車・路面電車を乗り継いで片道約1時間半だ。

9時、到着。
「Hi~ How are you??」 ー Lovely!
ボランティアのみなさんに挨拶。

ここから3時まで、ひたすら種をまくのだ。
レタスの種。
白菜の種。
キャロットの種。
種。たね。タネ・・・。

この種は、ちゃんと芽を出すんだろうか。
この種は、花を咲かせ、実をつけてくれるんだろうか。

この種は、

この毎日は。


自ら立てたプランで、海外に行く。
すこしさみしいほど晴れ渡った空のしたで、土をさわる。
唯一の日本人として、コミュニティに入る。
自分にとってのベストを選びたいと、牛のように何度も反芻する。

お日様の光をあびて
土をさわることは、
そして種と向き合うことは、
自分と向き合うことだった。


――――――――――――――――――――


オーストラリア留学中、CERES Community Environment Parkという環境公園でボランティアをしていました。
これは、その経験をのちに地元のラジオでお話した際に読んだ詩です。

種を植える以外のチームも色々ありましたね。養蜂とか養鶏とか自転車リサイクルとか造園とか。

しかしまぁ、たくさん種まいたな。。