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『台風家族』&『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』

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19日火曜日。TOHOシネマズ六本木で草彅剛主演『台風家族』を鑑賞。監督の市井昌秀さんは『箱入り息子の恋』も手がけているが、wikiを見ると「髭男爵」元メンバーであり、その前には笑い飯の哲夫さんとコンビを組んでいた人みたい。それを知るとこの作品にあるウェットな笑いの感覚がわかるような気がする。
次男役である新井浩文さんの事件が発覚し公開が延期されていた。


この作品には「父性」が大きなテーマとしてある。作中での草彅さんと藤竜也さんの関係性なども、宣伝で公には言えないとしても、SMAPの父というかそういう存在としてのジャニーさんと草彅さんを重ねてみるということももしかしたらできるのかもしれない。が、そんな見方をするほうが少数派だろう。


新井浩文自は今回はわりと理性的で暴力的ではない次男坊の京介、成功している青年実業家。長女の麗奈のMEGUMIはどこかはすっぱ雰囲気を漂わせ、未だに巨乳は健在であるという格好だったが、これも他の女性(尾野真千子は草彅演じる小鉄の妻、もう一人は小鉄の娘)は性的な雰囲気を出せないからなのかもしれない。少し経ってから現れる三男の千尋の中村倫也も十分おいしい役どころだが、麗奈の彼氏役の佐藤を演じた若葉竜也がかなりいいところも持っていっていた。


銀行強盗をして失踪中の両親の時効が過ぎて、行方不明人としても時間が経ったので葬式をして、遺産をわけようとするところから兄弟の軋轢や考えが対立していく、といういわゆる家族問題を描いていくが、三男登場で一転し、さらにはもう一人父がなぜ銀行強盗をしたのかがわかる人物の登場、最後にはタイトルのような展開になっていく。
最後の部分はコントでもある。ありないとは言い切れないが、実際に起きても僕はコントみたいだなと思うだろう。だからこそ、そこに悲哀があり同時におもしろい画になっている。


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22日金曜日仕事終わりにシネクイントで公開初日の『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』を鑑賞。監督はユーチューバーとして有名になってコメディアンなどでも活躍しているボー・バーナム、まだ29歳の俊英。SNS時代のティーンを描いた作品であり、また『ムーンライト』『レディ・バード』などを手がけている「A24」ということもあり期待度も高かった。


見られることと自分で発信するのが当たり前の時代に生まれて育っている十代、主人公のケイラよりも、シングルファーザーである彼女の父親のほうが世代が近いせいか子供もいないが感情移入できてしまった。ああ、中年だ、いや、もう中年だし二十代後半で子供ができてたらこのぐらいの子供いるわけだし。と十代の大人になりかけている娘(食事中でもスマホをいじりイヤフォンをしている)との会話のような、会話になっていないようなコミュニケーションとか見ていてお父さん〜って感じに。

また、十代の子供がSNSやスマホがある時代に遭遇する様々な事柄も描かれていて、世代の違いはもちろんあるが、親がどこまで信じれても、もう注意もできないようなところにいたりする。スマホは動画も音楽も見て聞ける。昔のようにテレビを親が見るなと静止することはできない、小さなデジタルの箱は親と子供の断絶も生んでいる。親は信じることしかできない、同時に彼や彼女たちは親に嘘をついても、冒険や自分の性に目覚めていく。

親世代が見ればハラハラし、理解しようと思いながらも親子の距離感にどこか想いを馳せるのだろうし、ケイラと同世代が観ればそうそうそんなとこよって感じだろうか。子供だけではなく中年や老人も映画館ではスマホとかの電源切って、操作だけはしないでほしいものだが。

やはり今「A24」が手がける作品は観ておかないといけないと思わされるのは、作品のテーマというよりは起用する監督たちをチョイスするセンスなのだと思う。

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