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花の香りで酔うこともある

渋谷Bunkamuraで幸福なラザロを見終えてザワザワした繁華街を歩いていると、俗にまみれた私でさえ、聖人になった気分になるものだ。アリーチェ・ロルヴァケル監督の作品、大好きだ。砂埃が舞うシーンは、反射的にゴホゴホしてしまいそうになる。酒をみんなで回し飲みしているときは、私にも回ってきた気がする。時々、劇中に入ってくるポップ・ミュージックは少しだけ現実に戻され安心感を覚えるのに、イタリアの自然が画面いっぱいにあって、自分のいる場所が分からなくなる。

ラザロがトボトボ歩いてる姿が妙に印象深く、次の日、私もトボトボ故郷を歩いてみた。

そこに生まれ住んでいる人にしか伝えられない土地の景色がある気がしている。アリーチェ・ロルヴァケル監督に勝手にシンパシーを感じてしまう。

ジャスミンの香りのする木、ずっと知っているのに名前も知らない。知らないことは損をしているかもしれないけれど、知らなくても香りが変わることはない。良いか悪いかはずっと分からない。ツツジも満開で、むせ返るような花の香りで街は充満していた。花の香りでも酔っ払うことがある。誰とも共有しない今日の私の気持ち、ずっと忘れずに覚えてるだろう。

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