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みとめますか

「だんだん名刺交換しなくなるんだよねぇ」

ある知人の話。中学や高校の同窓会に行くと、20代、30代の頃はクラスメートと名刺交換をしていたが、40代になると名刺交換をしなくなったという。

「最初は会社名や肩書など、小さなマウントの取り合いのような気持ちもあったけど、40代になると、およそ先が見えてくるというか、今さら名刺交換って気分じゃなくなるんだよね」と、聞かせてくれた。

そういえば2021年の秋、サントリーの新浪社長が「45歳定年説」を唱えて、世の中がザワついた。企業から見て、だんだん給料に見合っていかなくなるから…というコスパもあるだろう。

しかし、45歳といえば、それなりのスキル、知見を身に着け、人脈も出来上がっている年齢だ。ようやく脂が乗ってきたときにバッサリやられちゃたまったもんじゃない。というのが雇われる側の気持ちだろう。

今から20年ほど前、35歳を過ぎると転職が難しくなってくる などと言われていた。ところが、年を経るごとに「転職デッドライン」のバーがどんどん上がっていき、今や50代の転職市場もあるくらいだ。というと、活気のいい市場(いちば)が増えたようにも聞こえるが、実情は“さにあらぬ”ようだ。

50代の転職を支援する企業から漏れ聞こえてきた「聞き捨てならない」フレーズがある

「人材のジャンク品」

そもそもジャンク品ってフレーズは秋葉原の筋道にある「ジャンク品ショップ」くらいでしか、耳にしなかったので「人材+ジャンク」の組み合わせに耳を疑った。実に失礼な物言い。

アラフィフ世代は、アフターバブルに社会人となり終身雇用制のレールを走ってきた最後の世代だ。転職しようとすると条件が格段に下がる。ところが、自己評価が高いため「世の中の評価」を認めようとしないという。

自分への客観評価を直視するには、相応のマインドチェンジ、マインドセットが必要だ。でも、気持ちはめちゃめちゃわかる。「会社に貢献してきたつもり。それなりの実績も人脈だってある。あんたこの価値をわからないの?」

人生100年時代のアラフィフは折り返し地点。前だけを見られるような「きっかけ」「モチベーション」をいかに見つけるかが問題だ。

かつて女性雑誌が「美魔女」というフレーズを作り出して、世の中に広まった。美魔女とは「年齢という言葉が無意味な程の輝いた容姿」「経験を積み重ねて磨かれた内面の美しさ」「いつまでも美を追求し続ける好奇心と向上心」「美しさが自己満足にならない社交性」を備えた、年齢を感じさせない女性のことだ。

一方、男性雑誌が作った「ちょいわるおやじ」というフレーズは中年男性のファッション、つまり表面的な概念だったので、内面もフィーチュアする美魔女の対義語とは違う気がする。

昨今のアラフィフ男性への風当たりを考えると、キラキラした美魔女の対義語があっても、なにかのきっかけや励みになるのではと感じた。

知見と経験値… 脂が乗っている… まだまだやれる… といった前向きの意味を込めて「可燃オヤジ」ってどうだろう?

世の中からジャンク扱いされても、不燃ゴミと違い、燃やそうと思えばまだまだ燃料になる力を秘めている。あ、CO2は出ちゃうかもしれないけど。

時代はデジタル&エコ電力の中、アナログな火力発電。「可燃オヤジ」って、底知れぬポテンシャルを秘めているような… 気のせいか?

もはや名刺の肩書なんて気にせずに、アラフィフで再スタート。岸田政権は起業に投資する5カ年計画を発表したばかり。可燃オヤジこそ積極的に手を挙げれば、ロケットスタートを切れるのでは?

そういえば、世の中では徐々にリアルでの集まりが再開し始めている。同窓会だって増えると見ている。可燃オヤジは名刺交換しないんだろうな。とはいえ、自分は中学・高校の同窓会に一度も行ったことないので、もし行ったところで、お互い誰なのかわからず、やっぱ名刺交換するんだろうな。

沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です