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【読書】『波の上のキネマ』を読んでまた私は打ちのめされる。

どれだけ生きようと知らないことだらけだなぁと頭を抱えてしまう。大好きな八重山諸島のことを私はちっとも知らなかったと。

石垣島には二回だけしか行ってないのに四つも記事を書き、さらにその西の西表島には一度だけ足を伸ばしただけだけど、コロナが終わったら何度でも遊びに行きたい、癒されに行きたいと企んでいた。けれどもこの本を読むとそんな気持ちはしばらく起こらないだろう。

昭和初期、炭鉱があって沢山の命がそこで失われた。マラリアで、餓死で、折檻で。囚人や騙されるように連れてこられた貧しい人々の希望ないもがき苦しみ。感染症や戦争で令和の今も決して明るい世の中とは言えないはずが、今の私たちが暮らしている毎日がパラダイスではないかと思える。

その鉱夫たちの生活に一筋の光となったのが数ヶ月に一度の映画で、チャップリンやグレタガルボの映画がかかる。残念ながらどちらも観たことのないもので、ぜひ観たくなる。

炭鉱とセットになるように描かれるのが沖縄の遊郭で、その哀切なことはどこまでも気が沈む。舞姫たちの境遇と胸のうち…

やっぱりその裏というのは必ずある物で、権力者がいて彼らを牛耳っている。この歴史物語から目を背けるのは人として、日本人としてどうなの、というくらい重いものを私に突きつけてきた。物事の表面だけを見てはいけないんだよ、と。

世界遺産になって観光で西表が賑わうのは多分いいことで、この世から貧富の差がなくなることは平和なんだけど、21世紀の私たちは今も野蛮な国取りを食い止めることができずにいる。いつの日が地球がパラダイスになることがあるのかな。そのために今何をしたらいいのか、自分にできることから始めてみよう。

朝から重い本のお話になってしまいました。今日がすこしでも平和に近づく日になりますように。


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