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500m美術館「5日間で地下道に118mの壁画を描く」完成!

札幌都心、大通駅とバスセンター駅を繋ぐ地下道には500m美術館というパブリックアートスペースがあります。
私はそのプロジェクト の一つ、118mの壁画を描くアーティストとして担当しました。
そして5日目の1/26に無事完成いたしました!

ボランティアさん、運営の皆さま他たくさんの関わってくれた方々本当にありがとうございました。
このプロジェクトの思い、感想を綴っていきたいと思います。

前編の記事はこちら

「みんなで作っていく」


壁画のテーマは「Walk in The Forest 森を歩く」
冬から春、春から冬へと移り変わっていく風景を絵本をめくっていくような感覚で楽しんでいただけたら、、
薄暗くて寒い冬の地下道も、この絵をみて温かい気持ちになってほしい思いで考えた企画です。

全長118mの規模の壁画を描くことも、市民ボランティアの方やワークショップ参加の子どもたち他、たくさんの皆様で作品を作っていくことも、このプロジェクトは私にとって全てが初めての経験でした。



私は小さい頃から絵を描くのは確かに好きでしたが、早いうちにイラストレーターとして絵を仕事にしてからは、関わる方も企業の方が比較的多く、"仕事"として絵と向き合うことが大半でした。

そんな中、今回一緒に進めていくプロジェクトのメンバーは市民ボランティアさん。
私単独の作品ではなく、ワークショップなどを開催し、子どもたちや市民の方々、ボランティアさんみんなで作り上げて行くスペースを設けることを早いうちから決めていました。

製作は基本的に1人で黙々と行い、最終的に結果をだす!という、今までと同じ考え方、やり方では出来ないのは分かっていたので、どのように進めていくのがいいのか最初は結構悩んでいました。

プロジェクターを使って下絵を投影し、なぞっていただきました。
写真提供:森髙まき


作品を作る上での私とボランティアさんの関わり方。公共の地下道という制限の多い中子供たちとのワークショップはどのようにする?極寒の中の作業でみんなに楽しんでもらうためには?
などなど考えることはいろいろ

お手伝いしてくれたおじさま方。普段絵を描く事は全くないので楽しかったと言ってくれました!
写真提供:森髙まき

「パブリックアートと親しみやすさ」

「パブリックアート」とは美術館やギャラリーではなく、公共空間に設置される芸術作品のことで、都市を彩るものとして世界各地で取り入れられています。

この500m美術館はまさにパブリックアート。
通勤、通学などで日常的に利用する地下道で、毎日通る人もいる。
アートに興味がある人もない人も関係なく。

写真提供:森髙まき
写真提供:森髙まき


私はアイディアを考える時、「感情」で考えるようにしています。
ここの提案を出すとき、悩みながらも
"現代アート"の枠で考えず、"親しみやすさ"をベースにアイディアを考えることにしました。
一見何かわからなくても、見つめていると深く体に浸透していくような現代アートにはいつも憧れているけど、
わたしの特技は親しみやすさと言うことも分かっていたので今回はそれを全面に出して行こうと思ったのです。

「みんなで作っていくと言うこと」

作業日初日と2日目は市民の方々や子どもたちとのワークショップから始まりました。

今回の作品は冬から春、夏を季節が移り変わっていく様子を壁画で絵本の様に、巻物のように表現していくものです。
と言う事で、118mのうち冬の物語は私が担当、残りの42mは、春の訪れから夏に向かっていく様子をみんなで作っていくコーナーに設定しました。
ここは私の作品のテイストから少し離れて、みんなの個性の集合体。
暖かい季節をみんなで喜んでいるようなイメージです。

初日のワークショップから、かなりボランティアの皆様に助けられました。絵を描いた経験のある方は色を混ぜて用意してくれたり、参加者の皆さまのサポートをしてくれる方。
それだけでなく、通行人の方からの質問にも快く対応してくれるボランティアさんや学生バイトのみなさん。

写真提供:森髙まき




ちなみに地下道は水を調達したり、絵の具で汚れた物を洗ったり捨てたりするのがむずかしいので、皆さまに自宅から水を持ってきてもらったり、大量のゴミを持ち帰っていただくなど。
公共の地下道で規制がおおい中、絵を描くための基本的な環境作りをしていただいた事はとても助かりました。

写真提供:森髙まき

3日目.4日目と完成が近づいてくると、地下道を利用する通行人の方から温かい飲み物やカイロを差し入れいただいたり、街の人に支えられている実感が湧いて、かなり寒い中の作業でしたがとても温かい気持ちになりました。

500m美術館の授賞式、トークショーで審査員の方の言葉で
「パブリックアートはアーティストが単独で進めていくものではなく、行政、運営団体、市民、周りの人の支えがあって完成していくもの。」
というのを聞いて、
今回まさにそれを経験し、学ばせていただいたなと思いました。


「みんなで作っていく」という言葉には初め想像していたよりはるかにいくつもの要素が含まれていました。
それはボランティアさんや学生バイトの方、運営の方々はもちろん、
話を聞きつけて作業期間中手伝いに来てくれた方々、
街ゆく人のたくさんの応援や、作品を褒めてくれる言葉、差し入れを持ってきてくれる皆さま。

人と作っていく大変さ以上に、人が関わっていく温かさをとても感じる経験をさせていただきました。
作品にもその温かさや物語が溢れています。

6/26まで長い期間の展示となっております。お近くにお越しの際はぜひ。

500メーターズプロジェクト10周年!
「Walk in The Forest  森を歩く」
2024.1/27sat-6/26wed

薄暗くて寒い冬の地下道も、通勤や帰宅時にふと目にするこの壁画で、ちょっとした楽しみや癒やしの場として見る人を温かい気持ちにしたいな。という気持ちで。
冬から春、春から冬へと移り変わっていく風景を絵本をめくっていくような感覚で楽しんでいただけたらとても嬉しいです。

500m美術館vol.45 500メーターズプロジェクト010「Walk in The Forest 森を歩く」 | 札幌大通地下ギャラリー 500m美術館
500m.jp
会期:2024年1月27日(土)~2024年6月26日(水)
時間:7:30~22:00
会場:札幌大通地下ギャラリー500m美術館 ウォール(壁面)
住所:札幌市中央区大通西1丁目~大通東2丁目
(札幌市営地下鉄大通駅とバスセンター前駅間の地下コンコース内)
主催:札幌市
連携:札幌国際芸術祭2024実行委員会
企画運営:CAI現代芸術研究所/CAI03(有限会社クンスト)、一般社団法人PROJECTA

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