バーのカウンターでのやれやれな駆け引き、または酒の力で気持ちが大きくなってしまう人

僕はずっと飲食店で働いてきたのだが、最初はじめの1年間はバーテンダーだった。その後イタリアン、フレンチとレストランで働くことになり主にソムリエとしてホール業務をしていたわけであるが、強烈に記憶に残っているお客さんっていうのはそのバーテンダー時代の人がほとんどだ。まだ働き始めたばかりだったから新鮮だったというのもあるかもしれないが何か、そういえばこんな人いたなぁと思うのはそのバーテンダー時代のお客が多い。


1人の20代前半であろう若者をカウンターに迎えた。

ものすごく低姿勢で、今度彼女の誕生日があるからこちらのお店に2人で来たいと言っていた。話を聞いていてとても彼女思いだったので、僕は感心した。

ところがである。

その若者が酔っててくるにつれてあきらかにやばい人に変わりつつある。

敬語からタメ口になる。

そして徐々に命令口調に変わってくる。

ヤバ男だ。ヤバオ。その店では要注意人物の男性はこう呼ばれていた。僕は店長に告げる。「あのカウンターの男性、ヤバ男です」

正直そんなにお酒を飲んでいない。この時点でカクテル3杯くらいだろうか。そして隣のカウンターに座ってる女性2人組に話しかけだした。少し様子をみたが、その女性2人組も意外とまんざらではなさそうだったので、すぐには注意はしなかった。ちょうど店内も混み合ってきたこともあり、気にはなっていたがしっかりとその若者の行動把握することができなくなってきた。

こういう時は、あきらかに女性が嫌がっていた場合すぐに注意するのだが、このときの女性2人組、特にヤバ男の隣に座っている女性は結構気がありそうであった。客観的に男の僕から見ても、これでこの女性がそんな気は無い、というようなことを言ったらちょっと悲しいよなぁと思う感じであった。

でもこの判断がいけなかったのかもしれない。
まんざら女性2人組の1人がトイレに立つ。その後をヤバ男が追う。
その先はカウンターからは見れない。1人のホールスタッフに目配せをしてお願いする。


結論から言うと、ヤバ男は女性と一緒にトイレに入ろうとしたのだ。アホである。
当時働いていた店は100席位ある大きな店で、それに伴ってトイレも大きかった。そんなところに一緒に入ろうとする男もかなりアホである。クラブでもないし、レストランである。若者だけいるわけではない。即警察行きだ。

止められてしぶしぶ自分の席に戻ってきた男は、ぶつぶつと文句を言っている。


男の背後に来た店長が、男の耳元でぶつぶつと何か言った。男は立ち上がり、ぶつぶつと何か言いながらそのまま店を出て行った。これは気になる。

とてつもなく気になる。

何を言ったのだろうか。店長はかなりの武勇伝を持った人で、怖くて聞けなかった。当時、その店に入店してから1ヵ月ぐらいしか経っていない僕には聞けなかった。何となく想像はつくが、おそらくここには書けない言葉だったと思う。おとなしく帰ったヤバ男、そこは正解だ。


ちなみに残された女性2人組は、何事もなかったようにその後カクテルを飲み、何事もなかったように帰っていった。さすがだ。

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日本ワインは今後1年ずつ、葡萄🍇が出来る度に物凄く変わって行くと思います。4、5年後はどうなっているのか本当に楽しみです。僕がお手伝いできることは日本ワインを飲んでもらうことです。一緒に楽しみましょう!

ハッピーです❣️
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sirocco.wine

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