フィンランドにはチェーンソージャグラーがいるし、Lordiもいる:moottorisahajonglööri

moottorisaha:chainsaw
chainsaw:チェーンソー、鎖のこ (weblio辞書より)
チェーンソー:《「チェンソー」とも》動力鋸 (のこぎり) の一。鎖状の鋸歯を原動機で回転駆動し、樹木などを切る工具。(goo辞書より)
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jonglööri: juggler
juggler:(投げ物の)曲芸師、手品師、ごまかし屋、ぺてん師(weblio辞書より)
曲芸師:普通の人にはできないようなアクロバティックな芸を習得している人。曲芸のできる人。曲芸を見せることを生業としている人。(weblio辞書より)
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*Lordi:ローディは、フィンランドのハードロックバンド。1992年、リーダーのMr.ローディがラップランド地域ロヴァニエミ市で結成したグループで、怪物の扮装と叙情的な旋律にて知られている。2006年ユーロビジョン・ソング・コンテストに出場し、フィンランドのアーティストとしては初めて優勝した。(Wikipediaより)

なんで週末は眠くてたまらないんだろう。ここのところ土日の私は完全に電池切れだ。延々眠って過ごしている。週末ももう少し生産的に過ごしたいところだ。

さて、そんな私の状況を知ってか知らずか、修士課程の同期がhungoutに誘ってくれた。我が家から徒歩十数メートルの場所に住む修士の友人宅で、久しぶりに会う修士の友人たちと夜更かしをした。

久しぶりに会う友人たちはそれぞれの方法で私にハグをしてくれた。ある友人との力強い抱擁では、身長の違いで毎度のごとく彼女の肩が私の喉(首)に当たった。別の友人との優しい抱擁は、「久しぶりだから、絶対5秒はハグさせて!」と言ってきっちり5秒カウントするまで終わらなかった。はたまた別の友人たちとの短めの抱擁には、普段あまり話さないが故の・あるいは比較的普段からよく話すが故の、礼儀正しさや距離の近さがあった。

この日はみんなでパソコンでひたすら変な動画を漁った。各国の変なCM集とか、話題になっている動画だとか。私のお気に入りはFinnish Discoだ。とあるフィン人友人に教わった。


その場にいたフィン人友人が、「最近流行ってる動画」と言って、mootorisahajonglööri(chainsaw jugglar)の動画を見せてくれた。


(もしかしたら実際に見たやつはこれじゃないかもしれない)

「最後さ…脚でチェーンソーはさんだよね…やばいね…」友人たちは恐れおののいていた。

その後は友人たちが好きな音楽をyoutubeで漁っては流していた。話題はいつしかEurovisionの話になっていた。

Eurovisionはヨーロッパ全土で毎年開催される音楽の祭典だ。各国から選出された代表アーティストのパフォーマンスに対して参加国が投票し、それによって優勝国が決められる。

「スウェーデンは毎年国を挙げてEurovisionの自国のパフォーマンスに投資してる」「そりゃそうでしょ、スウェーデンは金持ちだからそれくらいどうってことないよ」「私の国では10年前からEurovisionにあまりお金かけなくなっちゃって、その時から私の国のパフォーマンスのクオリティは下がりっぱなし」「みてよこの国のパフォーマンス。超絶セクシーじゃね?」「ほとんどポルノって感じね」「この人の歌声は悪くないね」「この人はかっこいいけど歌声があまり歌と合ってない感じがする」「うそ、この人そんなかっこいいかなあ?」「かっこいいもん!ほらみてこの瞳の色!」

…という一連の会話の、私は完全に蚊帳の外だった。Eurovisionが何のことかもわかっているし、それがヨーロッパ国民の一大関心事の一つであることも知っている。政治的な衝突は各国間にあるにしろ、音楽で毎年一つになっているeurovisionの在り方も素晴らしいと思う。だけど、申し訳ないけれど、見させてもらったどの国のパフォーマンスもなんだか似通っていて何が違うのかわからなかった。歌詞はほとんどすべて英語だったし、ビートも曲の構成も似通っている感じがするし、曲や歌唱スキルでなくビジュアルで勝負している感じも否めないし(例えば先述したポルノ紛いの超絶セクシーパフォーマンスとか)、曲の種類も似通ったラブソングって感じだったし。

「みてみて。私の国の、数年前のeurovisionの代表アーティスト。あの時Lordiがいなかったら私の国が絶対優勝してたのに」

Lordiは2006年のEurovisionの優勝者だ。私が交換留学していた時に受講していた音楽教育の授業で、先生が誇らしげに紹介していた記憶がある。奇抜な見た目で一世を風靡したらしいフィンランドのヘヴィメタバンドは、その授業の時にも確か「見た目の奇抜さで勝ちに行くなんて卑怯だよ」と学生たちに批判されていたような気もする。

友人たちが見るからにつまんなそうな私を見かねて(本当はつまらなかったのではなく、眠かったのと少し頭が痛かっただけ)、私にコメントを求めてきた。「私はあまり洋楽聞かないから全然わかんないや。英語の歌詞を聴いてもあまり感情移入できなくって。邦楽の日本語詞のほうが感情移入できるんだよね」と話した。少し申し訳なかった(友人たちはすぐ理解してくれたけれど)。

一時洋楽をよく聴いていた時期があったけれど、基本的には私は邦楽ばかり聴いている。フィンランドのクラブでよく流れるEDMやレゲトンも、数年前に流行した時に聴きすぎてちょっと飽きてきてもいる。

それと、英語は未だに私にとっては「必要に迫られてやっている言語」で、好きでやっているものではない。学際的な共通言語がたまたま英語だったから、知っていたほうが最新の情報を得やすいから、知らないと他国の人と交流できないから、「仕方なく勉強してやってる」ような気持ちも以前ほどではないが少しある。

好きで英語を勉強しているのではないので、余暇に英語で音楽を聴こうとはあまり思えない。だいぶ英語でいろんなことを表現できるようになったとはいえ、英語で何か感情を持つことはほとんどない。あらゆる感情を私は日本語で感じていて、それを英語で似たような言葉を探して報告している。英語を話している時の私はしたがって、一歩引いた視点でいることが多い。(ただし最近は怒りの感情に関しては英語でも感じることがある)英語の語彙力不足ゆえなのかもしれないが。

それと、洋楽の情景描写は得てして直接的だ(と思うことが多い。近年の傾向というだけかもしれない)。ラブソングですぐ「あなたが好きだ」って言っちゃうみたいに。もう少し奥ゆかしくあれよ、I love youの奥には切なさとかやるせなさとかいろいろ複雑な気持ちが入り組んでるっしょ…と洋楽を聞くたびに思う。Love is not so simpleと思ってしまう。この率直さや英語詞の語感の良さが、洋楽の魅力なのかもしれないけれど。

レゲトンのビートも、party animalでいることを奨励しがちな歌詞にも、I love you と言ってしまう率直さにも、EDMっぽい似通った楽曲構成にもやや食傷気味な私は、ちょっとchillな感じの曲が好みだ。 多分友人たちにはちょっとおとなしすぎてつまんなく聴こえていそうだけど。

petrolzかっこいいよね。

(... あれ、ところでchill って日本語でなんて言ったらいいんだ…?)




そんな、皆様からサポートをいただけるような文章は一つも書いておりませんでして…