電柱の上に立っていたもの
中学生の頃の話。
我が家は父子家庭で、父は出張などで家を空けることも多く、そんな日は友人を家に泊めたり、深夜まで遊んだりしていました。
どんなに夜更かししても、はしゃいでも、親に咎められることはないので天国です。
その日も父は不在。
なので、友人を家に招いて夜遅くまで話したり、ゲームをしたり、テレビを観て過ごしていました。
住んでいたのは団地の4階。窓の右手には博多湾が広がり、海風が入って心地良いので夏は大抵窓を開け放っていました。
部屋を暗くして深夜番組を観ていると、友人が突然窓の外を凝視しながら、こう言いました。
「あれ、なんやろ」
外を見る友人の口はポカンと開いています。
「ん?どうしたん」
友人が指さす方向を見てみます。
「どこ?」
「あの電柱のてっぺん、あれ何?」
「どの電柱のこと?」
「あの向かいの建物の前にある電柱やん、その上!」
ようやく友人が指差す電柱が分かりました。
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