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『コロナ後の世界』を読む❸

本日の読書感想文は、『コロナ後の世界』❸ーロックダウンで生まれた新しい働き方 by リンダ・グラットン(P79-107)です。

【目次】
❶ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』の著者
❷マックス・テグマークス『Life3.0』の著者
❸リンダ・グラットン『ライフ・シフト』の著者
❹スティーブン・ビンカー『暴力の人類史』の著者
❺スコット・ギャロウェイ『the four GAFA』の著者
❻ポール・クルーグマン ノーベル経済学賞受賞者

リンダ・グラットン氏とは

リンダ・グラットン (Lynda Gratton, 1955年 - ) 氏は、イギリスの組織論学者、 コンサルタントで、ロンドン・ビジネススクールの管理経営学教授。著書『ワーク・シフト』及びアンドリュー・スコット教授との共著『ライフ・シフト』がベストセラーとなり、日本社会に『人生百年時代』を定着させた提唱者です。

記述内容からの抜粋

✔ このような事態を望んでいた訳ではないが、社会を良い方向に向かわせる積極的な機会と捉えて、変えていくことに意味がある。(P82)
✔ 例えば、ビジネスマンのデジタルスキル向上をプラスと考え、東京一極集中を緩和する契機と捉えることも可能。(P83-84)
✔ ”healthy aging(健康を保ちつつ歳を重ねること)”の重要性が認識される。健康寿命が長くなれば長寿社会=より長く働く社会が可能。(P85-92)
✔ 長く働くためには、好きな仕事を見つけなければならない。嫌な仕事を続けることほど惨めなものはない。(P94)
✔ 人生はマルチステージ化する。仕事は人生の一部に過ぎない。(P95)
✔ 長く働く為には無形資産ー①生産性資産②活力資産③変身資産(P97)
✔ ロボット、AI台頭の時代は人間らしい力が必要。認知能力に加えて、共感力、対人関係構築力、非言語能力などの非認知能力が重要。(P98-100)
✔ 日本で結婚は女性のキャリア構築に圧倒的に不利に働く。日本の男性と企業の意識改革必須。(P100-104)
✔ ポストコロナ時代の重要な四要素ー透明性・共同創造・忍耐力・平静さ(P105 ‐107)

所見

『ライフ・シフト』は、私を徹底的に憂鬱な世界に連れて行き、見たくない現実を突き付け、人生を見直すきっかけを作ってくれた恩義ある一作です。『ライフ・シフト』を自分の労働観の見直しを促す書として読みました。『人生百年時代』の提唱者が語る『コロナ後の世界』には大変興味があり、書店で本書を目にして、購入した理由の一つでした。

第一印象は、「当たり障りのない、想像し易い近未来を語っている」ということです。大胆な社会変革は煽っておらず、「静かに淡々と変化に対応していこうね」という熱量が低めのメッセージとして受け取りました。

良い人生には健康寿命が重要で、healthy agingの機運が一層高まる、という予測は的中するでしょう。「AIは、人間に隷属するもの」という基本認識で議論が展開されている印象であり、AI開発の最新動向がわかる❷テグマークス氏の章を読んだ後だと、楽観的過ぎる印象を持ちました。

新型コロナウイルス感染症の流行・蔓延は、『働き方改革』を大幅に前進させる絶好の機会だと思いますが、私は日本企業の価値観・働き方は大きくは変化しない気がしています。表層的な制度変革やブロードバンド環境整備は進むでしょう。より不安定化した社会到来を読み取ります。


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