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ポジティブなチーム作りに心理的安全性が必要だという話

おはようございます。

みなさんは心理的安全性という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

人事系の仕事に就かれている方や、心理学に詳しい方はご存知かもしれませんが、
Googleが提唱し始めたとされる「チームの中で自分の思ったことを自由に発言しても不利益を被らない」と感じられる状態」のことを指します。

この心理的安全性が組織内で担保されていると、離職率が少なく、社員が自発的に働き、職場も活気があるという、誰もが理想とするような職場のコンディションに近づいていくとされています。

今回はこの心理的安全性がポジティブなチーム作りにどう作用するのかご説明したいと思います。

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心理的安全性が担保された企業の例

心理的安全性が着目されたきっかけは、アメリカGoogle社のリサーチチームが、「チームのパフォーマンス向上のためには、心理的安全性を高める必要がある」と発表したことが始まりです。

その後、リクルートから心理的安全性のあり方、という特集がされたりと、
今後の社内人事における考え方のベースになりつつあります。

そこで、心理的安全性高いと言われている企業の取り組み事例をご紹介しましょう。

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・ねぎしフードサービス
牛タンのチェーン店を展開しているねぎしフードサービスは、非正規社員の割合が多く、離職率が課題となっていました。
その課題を解決すべく、心理的安全性の概念を取り入れる中で、経営の目的の 1 番目に 「働く仲間の幸せ」を掲げることになったそうです。

まずは、全社員で学ぶ経営品質向上プロジェクトというものを発足し、100年企業にはどんな特徴があるのかを皆で話し合ったそうです。
その際に出てきた「顧客本位」「従業員重視」「独自能力」「社会との調和」という4つのキーワードを基に社内組織や行動規範を見直していくことで、従業員満足度だけでなく、満足した従業員が接する顧客の満足度も引き上がったと言います。

ここから先は想像ですが、経営品質向上プロジェクトの中で本音ベースで話せる場を設けただけでなく、その場の人たちの意見を引き出す優秀なファシリテーションがいないとここまで上手くいかなかったのではないでしょうか。
意見をぶつかり合わせていくことで、心理的安全性が担保されてきた例と言えるでしょう。

・カヤック
面白法人カヤックとして認知されている株式会社カヤックも心理的安全性に関するセミナーや勉強会を開催していたりと、積極的に心理的安全性を担保できる環境について研究を進めています。

この会社のユニークさは人事制度です。

例えば、役割上リーダーがいたとしても、その人は人事権を持っていなかったり、
給与は360度評価のようは、他社からの平均点で決定されたりと、誰か一人に権限を集中させることの弊害を極力排除しようと工夫されています。

また、社内の情報を可能な限りオープンにしており、

・CEO 以下、全員の評価を 全社員に開示
・過去に失敗した事業を社内外に向けて開示

CEO以下、 役員が率先して失敗を認め、弱みをさらけ出す文化が醸成されていると言えます。

実際にカヤックの新規事業の数は非常に多く、
レモンを絞ると断末魔が響き渡るガジェットや3D年賀状など、ジャンル問わず様々なアイデアが具現化されています。

https://create.kayac.com/

これだけの数が出てくると確率的にヒットも出やすくなるのですが、心理的安全性という側面で見ると、

・自分の好きなアイデアを具現化できる
・仕事に主体的に取り組む機会が増える

上記により、自分をさらけ出して良いという環境から新しいことに取り組む心理的ハードルが下がり、当事者意識が芽生えやすくなるという利点があります。

もちろん、上記のような制度がない会社で同じようにやったら、ハレーションは避けられませんし、カヤックも最初から一気に制度として取り入れたわけではないと思いますが、
心理的安全性を担保した組織作りのために、バランスやタイミングを考えて取り込んで行ったのでしょう。

以上のように、心理的安全性の担保された組織は、非常に魅力的に見える反面、どうしても自分の会社ごととして捉えられないような、特殊な事例にも見えます。

次節では、どのようにして心理的安全性が作られていくのかについてご説明していきましょう。

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あなたのチームの心理的安全性を高めるには

最初からネガティブな結論になってしまいますが、十分な心理的安全性が担保される環境は、一朝一夕ではできません。

あるルールや制度を作ったからと行ってすぐに心理的安全性が担保されるわけではないのです。
この前提をまず念頭に置いていただきたいと思います。

私の周りで心理的安全性が担保されていチームをよくよく観察してみると、3つのコミュニケーションを日常から取っているリーダーが多い傾向にありました。

・部下からの質問に対して懇切丁寧に対応する、分かるまで付き合っている
人間は同じ言葉を530回聞かないと、言われたと意識しないという実験結果があるそうです。
この前提を知っていると、そもそも人間に何かを教えることがどれだけ大変か分かるでしょう。
懇切丁寧なコミュニケーションを取ることで、結果的に部下のキャッチアップも信頼構築も捗ることになるのです。

・メンバーに対するリスペクトとホスピタリティ精神を持っている
どれだけ言葉では「私はメンバーをリスペクトしているし、ホスピタリティ精神を持っています!」と言っていても、
約束を守らない「頻度」が高い人は心理的安全性を担保されることができません。

みなさんの周りに、部下とのミーティングをよく忘れたり、依頼されていたタスクの納期過ぎていることをメンバーから指摘されて思い出している人がいませんか。
このような人は、たまに仕事が出来たりするのですが、メンバーからは顰蹙を買っていたりします。

確かに、1つ1つは細かい約束かもしれませんが、実は約束の大小は関係ありません。
人は無意識のうちに、この人に約束を何回破られたという「頻度」でイメージを持つ場合が多いのです。

約束を1つ破るたびに、破った相手の信頼ポイントが1ずつ下がっていくと認識しましょう。
また、自分の仕事に無関心なことも、やる気のある部下にとっては無礼な行動に当たります。

・感謝を伝えている
感謝の反対は「やってもらってアタリマエ」です。
そもそも大きな目的を達成するために個々人の役割を全うするのがプロで、管理職の役割の1つでしかありません。

そのため、「やってもらって当然」という姿勢は間違いです。
恥ずかしがらずに感謝の気持ちを伝えるのが現代のコミュニケーション円滑化のためには必要です。

また、感謝や褒めることは、その人の存在の肯定をすることでもあるため、自分をさらけ出してよい雰囲気を作り出しやすくなります。

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上記でご紹介した行動は、心がけ次第で誰でもできるものの、慣れていない人だと習慣化させることはかなり難しいです。
自分で十分にできてないな、と思う方は、メモやカレンダー登録をするなどして、習慣化するまで意識させる仕組みを作るとよいでしょう。

10年以上事業会社でマーケティング/事業開発に携ってきました。昨年立ち上げた『BtoBマーケティング研究会』は参加人数700人規模まで成長。マーケター向け勉強会や懇親会を主宰し企業とマーケターの最適なマッチングやマーケターの繋がりを活発化させるべく奮闘中。