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投票にブロックチェーンが必要な理由とは?

私たちが生活する上で重要な役割の一つが選挙で自分たちのリーダーを選ぶという選択です。本題のブロックチェーンが投票に必要な理由に入る前に、一つポイントになる話を先に紹介します。

総務省が公表している「マイナンバーカードの市区町村別甲府枚数等について」によると、現在は国民全体の約1億2770万人に対して、交付総数は約1467万人と国民全体の約11.5%までしか浸透していません。

これは政府が掲げた「2019年3月末で8700万枚」という目標に対して、大幅に下回っているという現状を示しています。個人IDとして当初はマイナンバーを活用した選挙制度の見直しや、選挙の公正確保のための技術的課題の克服等、選挙制度に関する事柄も明記されていましたが、実際のマイナンバーカードの普及率から見ると利活用含めて非常に大きな課題が存在しています。

↓マイナンバーの交付率は目標に対し大幅に遅れている。。

今回は株式会社Vote Forから市ノ澤様にお越し頂き、「つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査で導入された電子投票のシステムの導入に関してお話頂きました。この実験では将来的にブロックチェーンデータベース技術を用い、個人認証をマイナンバー制度を上手く活用する事によって新しい仕組みの構築を目指しています。

今回のプロジェクトは最終的に公職選挙にも耐えられる厳正な個人認証と投票の秘密を守るという事を目指しており、マイナンバーカードで認証した個人データをブロックチェーン上で処理する事によって、以上の二つの課題を解決できるよう実験を進めています。

個人認証の仕組みですが、「公的機関によるマイナンバーカード自体の有効性」と「カードに内蔵されている電子署名用のパスワード」という二つの情報を掛け合わせて認証を行う事で、投票者がその人自身であるという唯一性の課題を解決することができる。

ブロックチェーンを活用するポイントとしては「誰が投票したのかという事実は証明できるが、実際にその投票した人がどこに投票したのかを管理側で見ることはできない」という部分が挙げられる。イーサリアムのブロックチェーン技術をベースとして、限られた投票の範囲ということで3台のノードで実施。

加えて、実際に投票が行われたデータの正当性を証明する上でブロックチェーンの活用は期待されており、今回の取り組みも将来的には複数の参加者で実施するコンソーシアム型のモデルも検討している。

実証を通じたシステム面での課題として現在のプログラムではマイナンバーーどの正当性に関して、5〜10秒ほど処理に時間を有するため今後はマイナンバーカードのデータを取り扱っている側など技術面などでも改善を行って行く必要がある。

投票データと個人認証した際に発行したデータをブロック化する際には3〜5秒かかるということで、今後パブリックチェーン含めた技術を検討して行く上でも課題としていくつか見えてきた点もある。

ネット投票を実際に行って行くための環境設定は重要なポイントで、プログラムの調整やダウンロードにかかるコスト(ダウンロードに失敗するなどが考えられる)なども考慮すると今後はさらにシンプルにして行く必要がある。ネット接続が切れてしまったり、わかりやすいユーザーディレクションも必要で今後の改善を行っていく。

投票者情報と投票先を管理者側で確認できないということは非常に重要で、投票の秘密に関しては過去指紋からの追跡等も行われていたというケースもあり、秘密を担保する事は憲法上の規定でも必要。

ネット投票で実現できる部分とブロックチェーンを上手く組み合わせる事で、元来定められている投票に関する権利を担保できさらに公正な投票行動につながるのではないかと考えています。

最後に今回のイベントでの動画を公開しているのでご視聴頂けると幸いです。

○ ブロックチェーン活用ポイント

技術を導入するのかどうかというポイントに加えて、現在の技術で解決できていない課題を明確にする必要があるかと思います。

投票の分野で考えると、投票行動から投票の秘密の確保まで私たちが従来行なっている投票行動では担保できていない部分を考え、その課題に対してブロックチェーン技術の実装を検討するという流れが非常に有効的ではないかと思います。

合わせて、実証実験含めパブリックかプライベートかの議論を行う前にある程度対象となる人たちを限定的に定めて、参加者のリテラシーの向上も一つのポイントになって行くだろうと考えられます。マイナンバーカードなど既存の技術を上手く組み合わせる事で、全く新しい技術でなくても解消できる点はあるということが理解できたので、既存技術を上手くデータベース上で組み合わせる発想は必要不可欠かと思います。

今回のケースでは非常に重要なポイントをまとめて頂いたので、他分野でのブロックチェーンの応用とそのロードマップを具体的に描くという側面でも参考になるのではないかと思います。

ブロックチェーン技術は世界中の人たちが注目している新しいビジネスのタネの一つです!気になったら気軽にメッセージください!