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独特かつ大胆な映像表現でティーンエイジャーのカメたちが縦横無尽に暴れまわるのが痛快だった『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:51/137
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配給:東和ピクチャーズ
 上映時間:100分
 ジャンル:CGアニメーション、アクション
元ネタなど:漫画『Teenage Mutant Ninja Turtles』(1984-)

【あらすじ】

子供の頃より‘危険な存在’である人間から隠れて暮らしてきたタートルズたち。'普通のティーンエイジャー'として彼らが住む大都市ニューヨークのみんなに愛され受け入れられたい。

その願いを叶えるため、新たな友人エイプリルの助けを得つつ、謎の犯罪組織との戦いに繰り出す。そんな彼らの前に現れたのはミュータント化した敵の大群だった…。

【感想】

映画版『ミュータント・タートルズ』第7作目。7作目とはなっているけど、あくまでも通算はって話で、今回の映画は過去作との話の繋がりはまったくなく、独立した作品として楽しめます。僕は原作漫画は未読で、小学生のときにやっていたテレビアニメを少し観ていた程度ですが問題なく楽しめました。とにかく映像表現の秀逸さが推せる作品です!

<ほとばしるティーンエイジャー感が初々しい>

本作のよかったところは、まずあの4人(匹?)のタートルズのキャラクター設定です。日本では『ミュータント・タートルズ』という名前で通っていますが、原題は『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』。そう、あのタートルズたちって実はティーンエイジャーなので、高校生なんですよね。でも、過去の実写版での着ぐるみやCG、アニメ版でのキャラクターデザインではイマイチ年齢がわかりづらくてですね、、、あんまりティーンエイジャーってことを意識したことがありませんでした。

ところが、今回の映画はこれまでの中で最もティーンであることを強く感じられんですよ。理由はいくつかあるんですが、まずは4人の声優を実際のティーンな役者にしたことは大きいんじゃないかなと。少年の声をした女性や若い声が得意なおっさんではなく、ガチでキャラクターと同年代にしたんですよね。そりゃ映画を観ているときに「これは本物のティーンだ!」なんてことは思いませんが、後で知って「どおりで役にピッタリの声だったな」とは思いました。そして、キャラクターデザインがアメコミ原作の割には目を大きく描いているためか、とても若々しく見えたのもポイントかなって思います。

もちろん、ティーン感は見た目だけに表れているわけじゃありません。「人々に愛され受け入れられたい」という承認欲求を口にし、それを動機として今回の騒動に首を突っ込んでいくのもまた、若気の至りって感じがして微笑ましかったです。こうやって、外見的にも内面的にも若さを押し出したことが、タートルズたちのティーン感を強めた要因じゃないですかね~。

<スプリンター先生の懐の深さに感動>

推せるキャラクターはメインのタートルズたちだけではありません。僕は彼らの父親であるネズミのスプリンター先生がすごく印象に残りました。彼はかつて人間にひどい目に遭わされたことで、タートルズたちには人間と関わることを強く禁じています。でも、終盤の戦いの中で起こったある出来事をきっかけとして、彼の本心が聞けるんです。それは、「タートルズたちには人間に愛されてほしいと思う」ってことなんですよ。タートルズたちを人間から遠ざけていたのは、もちろんまだ幼かった彼らを守るためですが、そんな自分の価値観を押し付けることなく、タートルズたちの人生を考えてあげているところに懐の深さを感じましたね。人間以上にできたネズミじゃないかってちょっと感動しました(笑)

<日本じゃあまりお目にかかれない映像表現>

でも、僕が今回の映画で一番推したいのは、ストーリーやキャラクターよりも、あの独特な映像表現です。『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズのような手描き感が印象的ですが、本作はもっと手描きっぽいというか、粘土で作られたような立体感があるというか、一言で言い表せないスタイルなんですよ。出てくるキャラクターの顔も質感が凸凹していたり、左右対称じゃなかったりと、これまでのつるんとしたCGアニメとはまったく異なるテイストなのが面白いです。全部が全部ってわけじゃないですけど、日本のアニメってとにかく綺麗じゃないですか。人々の美の願望を詰め込んだような感じで。それを考えると、今回の映画のようにあえてバランスを崩したり、汚さを演出したりっていうのはとても斬新に感じました。そんな映像表現の中で描かれる、タートルズたちの縦横無尽に駆け巡る暴れっぷりはすごく迫力がありましたね。

<そんなわけで>

ストーリーはオーソドックスですが、独特かつ大胆な映像とタートルズたちの超絶アクションが見どころなのでオススメしたい映画です。IPとしても有名ですし、こんなに面白いのに、あまり注目されていないのがもったいないぐらいですよ。ただ、アメリカ映画らしいちょっと汚いシーンもあるのでそこだけ注意なのと、あの有名なテーマソングがなかったのが個人的には寂しいところです。。。あと、ミッドクレジットシーンはぜひ注目してください!これは続編期待できるかも、、、というか続編作ってほしいです!もうね、このシリーズと言えばね、あの人ですよね(笑)


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