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「何かを好きになる」ことを肯定し、応援する映画『あの頃。』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:14/28
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

ヒューマンドラマ
オタク
ドルオタ
アイドル
ハロプロ
モーニング娘。
松浦亜弥
ヲタ芸

【あらすじ】

バイトに明け暮れ、好きで始めたはずのバンド活動もままならず、楽しいことなどなにひとつなく、うだつの上がらない日々を送っていた劔(松坂桃李)。そんな様子を心配した友人・佐伯(木口健太)から「これ見て元気出しや」とDVDを渡される。

何気なく再生すると、そこに映し出されたのは「♡桃色片想い♡」を歌って踊るアイドル・松浦亜弥の姿だった。思わず画面に釘付けになり、テレビのボリュームを上げる劔。弾けるような笑顔、くるくると変わる表情や可愛らしいダンス。その圧倒的なアイドルとしての輝きに、自然と涙が溢れてくる。

すぐさま家を飛び出し向かったCDショップで、ハロー!プロジェクトに彩られたコーナーを劔が物色していると、店員のナカウチ(芹澤興人)が声を掛けてきた。ナカウチに手渡されたイベント告知のチラシが、劔の人生を大きく変えていく―。

【感想】

世代ドストライクの映画でした!ハロプロに青春を捧げた男たちの物語で、流れてくる音楽や出てくるポスターにはかなり懐かしさを感じてました(笑)

さて、この映画、ただのアイドル映画ではなく、アイドルを通じたヒューマンドラマっていう形なんですよ。行き場のなくなった剱に居場所を与え、生きる勇気をくれた松浦亜弥という存在。それは剱だけでなく、他のメンバーも同様です。“推し”がいたからこそ、腐らず、ここまでやってくることができた。その感謝をみんな心の中に持っているんです。

彼らにとって“推し”は、ただのアイドルという存在を超えて、生きる目標や心の拠り所という、もっと崇高で巨大なものになっているのだろうと思います。これってドルオタじゃなくても共感できる部分ありますよね?仕事でも、スポーツでも、旅行でも、漫画でも、対象は何でもいいんです。「何かを突き詰めて好きになる」ということは、自分の中に大きな熱量が生まれて、それがエネルギーとなっていろんな行動につながり、人も集まって伝播していく。そんな流れが生まれると思うんです。

だから、この映画って何かを好きになることを肯定し、応援するような話で、ポジティブな気分になれるんですよね。決して、「松浦亜弥のどこがいいか」といった議論めいた話ではなく、「好き」を見つけた男たちの生き様を描いているのが心地いいんですよ。

そんな彼らが、時間の流れと共に、それぞれの道を歩き出し、仲間とオタ活していた頃を懐かしむシーンもまた、共感できる部分がありました。

「あの頃はよかった」

って誰もが一度は思ったこともあるでしょうから。でも、「あの頃はよかった」だけで終わらせると、過去を超えられず、未来が上向いて行かない印象になってしまいますよね。

それを突っぱねるかのごとく出てきたのが、映画の中で引用されていた道重さゆみの言葉です。

「10代はかわいい。20代は超かわいい。30代は超超かわいい。劣化という言葉は私にはないんです。常にピークです。」

これ素敵な言葉ですよね。アイドルは追っかけていなかったのでこれをリアルタイムでは聞いていないんですけど、この歳になったからこそ余計に刺さるものがありました。いやー、こうありたいものです。

あと、本作は出ている役者さんの演技も素晴らしいです!特に、松坂桃李のオタクらしい早口なしゃべり方がリアリティがあります(笑)『娼年』でヤリまくっていた役柄と対照的なのも面白くて、顔はイケメンなのに役次第で印象がかなり変わるから、幅広い役者さんになりつつありますよね。本当に元戦隊ヒーローなのかと思うぐらいw

松浦亜弥を演じた山崎夢羽も本人に似てて驚きました。まあ、アイドル好きからしたらすぐわかるんでしょうけど、僕は一瞬「え、本人、、、いや違う、、、?」っていうぐらいには迷ったので(笑)

作中の舞台である2004年といえば、僕はちょうど1年の浪人生活を終え、大学生になったばかりの頃。当時の僕の一番の興味はゲームだったので、アイドルに熱を上げることはありませんでしたが、カラオケに行けば必ずモー娘。や松浦亜弥の歌は誰かしら入れるぐらいには、国民的な存在でしたね。

懐かしい。


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