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「恋とは何か」そんな哲学的なアプローチから始まるこれまでの青春映画とは一味違った『恋は光』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:54/92
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

  製作年:2022年
  製作国:日本
   配給:ハピネットファントム・スタジオ、KADOKAWA
 上映時間:111分
 ジャンル:恋愛、青春
元ネタなど:漫画『恋は光』(2013-2017)

【あらすじ】

“恋する女性が光って視える”特異な体質を持つ大学生・西条(神尾楓珠)。恋愛とは無縁の学生生活を送っていたある日、「恋というものを知りたい」と言う文学少女・東雲(平由奈)と出会い一目惚れ。“恋の定義”を語り合う交換日記を始めることに。

そんな2人の様子は、西条にずっと片想いをしている幼なじみの北代(西野七瀬)の心をざわつかせる。さらに、他人の恋人を略奪してばかりの宿木(馬場ふみか)は、西条を北代の彼氏と勘違いし、猛アプローチを開始。いつの間にか4人で“恋とはなんぞや?”を考えはじめ、やがて不思議な四角関係に…。

数千年もの間、人類誰しもが悩んできた「恋」を、果たして彼らは解くことができるのか?そして、それぞれの恋の行方は―?

【感想】

原作は全7巻の漫画です。本当は原作を読んでから映画を観たかったんですが、タイミング合わずで映画を先に鑑賞してから漫画を読みました。うん、「恋」という事象に真っ向からぶつかった潔い話でしたね。

<これまでの恋愛青春映画とは違う要素>

この映画、パッと見はよくある学園(キャンパス)を舞台にしたキラキラ青春モノかと思いますが、実際はそうではありません。「恋とは何だろうか」という悶々とした疑問を、自問とヒアリングを交えながら解き明かす文科系哲学恋愛映画なんですよ。

そこが本作の面白いポイントです。「恋とは何か」という恋愛の大前提を大真面目に定義づけようとしているんです。恋愛について悩む話は数あれど、真っ向から定義しようとしたわかりやすい話は意外になかったんじゃないかなーと(僕が知らないだけかもしれませんがw)。

恋とは、近くて遠いモノ。
恋とは、触れたい、いっしょにいたいと思うモノ。
恋とは、自分が恋だと認識したモノ。
それぞれが恋に対して様々な解釈をしていく中で、あーでもないこーでもないと思い悩む若者の姿は、若い人には共感されそうですし、僕のように少し年齢がいってる人からすると、彼らの初々しくて眩しい感じが心地よかったりもします。

<宿木嬢の魅力>

そして、この映画は出てくるキャラクターも面白いんです。特に女性陣は濃いですよ~。主人公の西条と幼なじみで、親友っぽいポジションだけど、密かに想いを寄せている北代。人付き合いがほぼなく、最も恋というものを哲学的に捉えようとしている東雲。人そのものに好意は抱かず、「人のモノ」を奪うことにステータスと楽しみを感じる宿木。

中でもこの宿木がね、一番いいんですよ!人のモノを奪う性格の悪さはありますけど、今回登場したキャラの中では、人並みの恋愛経験がある唯一の人物。でも、人のモノを奪う歪んだ恋愛しかしてこなかったが故に、北代と東雲の西条に対する純粋な気持ちに劣等感を感じてる節があって。魅力的じゃないですか?そうやって一見うまく立ち回っているように見えて、実は自分が一番自身の弱さをわかってる、でも表に出せないみたいな。演じた馬場ふみかのハマりっぷりもよかったし、最高でしたね。

<漫画原作モノの弱み>

ただ、やっぱり漫画原作モノの映画って、面白さの判断が難しいんですよ。この前観た『メタモルフォーゼの縁側』(2022)もそうですけど、原作を読んでしまうと、映画はどうしてもそれとの比較がメインになってしまうんですよね。しかも、原作が映画の補完をしてしまうので、純粋に映画そのものの面白さが掴みづらくなってしまうんですよ。面白いっていう感想の中には、原作で感じた面白さも交じってると思います。今回だって、映画は2時間の尺にうまく収めたと思うものの、その過程で端折られる部分もあるし、展開が異なる部分も多いです。だから、総じて原作の方がストーリー展開が丁寧かつ、キャラクター同士の絡み合いが深掘りできるので、やっぱり原作の方が面白いとは思います。映画でも宿木にもっと焦点当てて欲しかったですね。もはや単なる童貞の天敵みたいな印象しか残らなかったので。。。(笑)

それにしても、原作と映画でラストが異なるとは思いませんでした。これが一番の驚きですね。映画は北代の救済だったのかなあなんて。

<そんなわけで>

恋愛にモヤモヤしてる人には観て欲しいです。とはいて、基本は若者向けですね。ある程度の年齢になると、若者たちの苦悩する姿に共感よりも微笑ましさを覚えるかもしれません。そんな方たちには、馬場ふみかのハマりキャラを堪能して欲しいです(笑)


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