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悲運の連鎖と魂の救いだった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(ネタバレあり)

3回目、観ました。2022年日本公開映画の中で1位、生涯観た映画の中で3位なのは、やっぱり変わりませんね。もう公式もネタバレしているので、このページでも全部言っちゃおうと思います。なので、まだネタバレを知りたくないよっていう方は、ここでページをそっ閉じしていただければと思います。ネタバレのない感想は1回目を観たときに書いているので、よろしければそちらをどうぞ。

<すべてのユニバースがひとつに集結する興奮>

過去のヴィランが全部出てくるということで、予告のときから大興奮だったこの映画。もちろん集まったのはヴィランだけじゃない、、、なんとスパイダーマンも総出演なんですよ。役名が同じなので役者名で統一しますけど、トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドが合流します。アンドリュー・ガーフィールドなんて、インタビューで「僕は出ないよ」なんて言ってたのに、ただの嘘つきじゃないかってね(笑)以前、twitterで予告のこの部分、本当は3人のスパイディがいるんじゃないかって噂もありましたけど、その通り、本編では3人のスパイディが映ってます。予告ではデジタル処理で消されていますけど、よく気づくよなって。

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(『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告編より引用)

でも、これは確かに言えませんね。この映画の最大の魅力なんで、スパイダーマンの総出演は。僕は2002年のスパイダーマンから全部映画館で観ていたので、これ以上ないエモさでしたよ。彼らがイエローサークルから出てきたときは、劇場内で歓声と拍手が沸き起こりました。僕なんか感極まって泣いちゃいましたから、3回とも(笑)

<どのユニバースにも訪れる喪失感>

スパイダーマンは全員大切な人を失う悲しい運命にあるのが辛いところです。今回、メイおばさん(マリサ・トメイ)を失ってしまうトム・ホランド。彼は2人のスパイダーマンに「おまえらに僕の気持ちなんてわかるか」と食ってかかりますけど、他の2人も同じ経験をしているんですよね。トビー・マグワイアはベンおじさん(クリフ・ロバートソン)を、アンドリュー・ガーフィールドはグウェン(エマ・ストーン)を。しかも、みんな失ったのは1人だけじゃないんですよ。トビー・マグワイアは親友のハリー(ジェームズ・フランコ)も、アンドリュー・ガーフィールドだってベンおじさん(マーティン・シーン)も亡くしています。そして、トム・ホランドは、、、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)を。トニー・スタークは別としても、他の人たちはみな、ピーター・パーカーがスパイダーマンになったことがきっかけとなって、命を落としていることになります。悲運の連鎖と言いますか、スパイダーマンという存在はそういう運命にあるんでしょうかね。「大いなる力には、大いなる責任が伴う」。その言葉通り、自分が大きな力を持ってしまったことが、大切な人の死に繋がっているから、ものすごくやるせないですよ。

<魂が救われたアンドリュー・ガーフィールド>

メイおばさんの死、そしてラストのオチなど、これまでのMCU版スパイダーマンの中でも、今作は涙が出ちゃうシーンが多いのが特徴ですが、個人的に、本作で一番感動的だったのは、MJ(ゼンデイヤ)が高所から落ちるシーンですね。

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(『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告編より引用)

ここでトム・ホランドが助けに行こうとするんですが、グリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー)に邪魔されて叶わいません。「ああ、MJもここで命を落としてしまうのか。。。」と思った矢先、咄嗟にその危機を救ったのがアンドリュー・ガーフィールドなんです。彼は『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)にて、同じように時計塔から落ちていくグウェンをギリギリで救えなかったことをずっとずっと悔やんでいました。

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(『アメイジング・スパイダーマン2』より引用)

だから、今回MJを助けたときに、「ああ、彼はこうやってグウェンを助けたかったんだろうな」って思うと、涙が止まらなくてですね。。。同じ過ちを繰り返さないことで、ある意味救いにはなったとは思うんですけど、MJを助けた後のアンドリュー・ガーフィールドの安堵と後悔が混ざったような表情はとても心に突き刺さりました。

<最後の決着のつけ方はトニー・スタークがいたからこそ>

今回の騒ぎを終息させるためにトム・ホランドが取った行動。それは、みんなの記憶からスパイダーマン=ピーター・パーカーという記憶を消すことでした。みんなが彼の正体を知っているから、あらゆるユニバースから彼のところに押し寄せてくるんだと。ならば、その記憶がなくなれば、危険は去ると考えたわけですね。大切な親友、恋人、仲間たちから自分の存在が忘れられることは、ある意味死んで記憶に残り続けることより残酷じゃないかなかと思うんです。生きているのに、ここにいるのに、自分の存在がなかったことのようにされちゃうんですから。でも、トム・ホランドは大切な人たちを救うために、自ら犠牲になりました。これは『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で、自分の命と引き換えに世界を救ったアイアンマンと通ずるところがあるように思うんですよ。むしろ、彼のその自己犠牲の姿を目の当たりにしたからこそ、トム・ホランドは今回の決断をできたのかもしれないなって考えると、2人の絆の強さを感じますね。トニー・スタークとピーター・パーカーは、親子のようでもあり、兄弟のようでもあったから。

<他作品への伏線>

今後のMCUの展開がどうなるかはわかりませんが、、、前半に出てきた盲目の弁護士、マット・マードック(チャーリー・コックス)。彼は、『デアデビル』(2015-2018)というドラマシリーズに出てくるスーパーヒーローなんですよね。また、エレクトロ(ジェイミー・フォックス)が、「スパイダーマンは黒人だと思ってた」という旨の発言をしますが、原作にはマイルズ・モラレスという黒人の少年がスパイダーマンを演じています。現に、映画でも『スパイダーマン:スパイダーバース』(2019)という作品があって、そこでは彼が主人公になっています。MCUにどう関わってくるのかとても気になるところです。

<そんなわけで>

日本でもそろそろデジタル配信が開始されそうな本作。その前に、ぜひ映画館で観て欲しいです。すべてのユニバースが集結し、笑いと涙と驚きと興奮とエモさに満ち溢れたこの映画を、、、!ちなみに、本作の公開日である2022年1月7日(金)、映画を観る前にアプリでAIに描かせたアートがあるんですが、、、ネタバレ感満載の絵だったので、今までずっと隠してました(笑)

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この映画を観て、ひとりでも多くのスパイダーマンファン、引いてはMCUファンが増えることを願います。


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