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呪われたプロレス一家の悲運に涙し、ザック・エフロンの鍛え上げられた肉体に驚いた『アイアンクロー』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:13/39
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:The Iron Claw
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配給:キノフィルムズ
 上映時間:132分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記、スポーツ
元ネタなど:プロレスラー「フォン・エリック一家」

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
1980年初頭、プロレス界に歴史を刻んだ“鉄の爪”フォン・エリック家。父フリッツ(ホルト・マッキャラニー)は元AWA世界ヘビー級王者。そんな父親に育てられた息子の次男ケビン(ザック・エフロン)、三男デビッド(ハリス・ディキンソン)、四男ケリー(ジェレミー・アレン・ホワイト)、五男マイク(スタンリー・シモンズ)ら兄弟は、父の教えに従いレスラーとしてデビュー、“プロレス界の頂点”を目指す。

しかし、デビッドが日本でのプロレスツアー中に急死する。さらにフォン・エリック家はここから悲劇に見舞われる。

すでに幼い頃に長男ジャックJr.を亡くしており、いつしか「呪われた一家」と呼ばれるようになったその真実と、ケビンの数奇な運命とは――。

【感想】

実在するプロレスラー一家であるフォン・エリック家を題材とした伝記映画です。一家に訪れる度重なる悲運とザック・エフロンの役作りが凄まじく、普段プロレスをまったく観ない人でも楽しめるのでオススメしたいです。父親が絶大な影響力を持って子供たちの競技人生に影響を与えるという点で、日本では浜口親子や亀田3兄弟なんかを彷彿とさせますね。

<度重なる悲運にかける言葉が見つからない>

僕は普段プロレスを観ないので、このフォン・エリック家のことも知りませんでした。でも、「アイアンクロー」だけは耳にしたことがあるんですよね。映画とは関係なくて恐縮ですが、小学生時代に一部の男子の間で相手の乳をつねる「パイクロー」ってのが流行ったんですけど、あれも元ネタはこの「アイアンクロー」だと思います。それぐらい有名な必殺技なんですね。

話を戻しましょう。この映画で見どころだと思ったところが2つあります。まず1つ目は、フォン・エリック家に訪れる悲運の連続です。史実なので言ってしまいますが、この家族は6人兄弟で全員がプロレスラーとして活躍していたものの、次男のケビン以外はみんな若くして死んでしまうんですよ。作中ではほぼ触れられていませんが、長男のジャックは幼少期に不慮の事故で死去。三男のデビッドは試合で日本に来ている最中に25歳の若さで病死。四男のケリーは33歳で、五男のマイクは23歳でそれぞれ自殺。また、今回の映画では一切語られていませんでしたが、六男のクリスも21歳で自殺しています。これが「呪われた一家」と言われているゆえんです。

ただ、映画を観る限りだと、彼らが亡くなった経緯がよくわからないんですよね。デビッドは腸が破裂したってことでしたが、なぜそうなったのかまでは映画では描かれていません。ケビンの結婚パーティーのときに体調悪そうにしているシーンはありましたが、それが死の前兆にはなっているものの、死因を特定するものではないですからね。

ケリーはバイク事故で右足を切断し、その後がんばって復帰したんですが、ちょいちょい薬に頼っているシーンがあり、薬物中毒だったのか精神を病んでいた描写がありました。そこからの拳銃自殺です。彼が何に悩んでいたのかまでは明かされていないので、ここもちょっとモヤりますが、やはり以前のように万全な形でプロレスができないことがショックだったのでしょうか。

マイクは試合中に肩を負傷した後、毒素性ショック症候群に悩まされ、後遺症が残る形となってしまいました。それで将来を悲観したのか、ある日書き置きだけ残して行方をくらましてしまい、後日遺体で発見されたようです(劇中では行方不明の後に葬儀のシーンになってしまったので確認はできませんでしたが)。

みんな、例えば「偉大なる父親のプレッシャーに押しつぶされて」とかってわかりやすい重圧を抱えていたのならわかるんですが、そういうわけではなさそうでしたし、本当に事故が重なってという形なのがやるせないところです。

唯一今でも生きているケビンが、物語終盤で自分の子供2人が仲良く遊んでいる姿を目にし、自分にも昔兄弟がいたことを懐かしむシーンは泣けましたね。。。「どうしてこんなことに……」って僕でも思いましたから。なお、ケビンは今でも生きていて、4人の子供と13人の孫に囲まれて幸せに暮らしているそうです。

<ザック・エフロンの肉体がヤバすぎる!>

で、この映画の見どころの2つ目が、そのケビンを演じたザック・エフロンです。『ハイスクール・ミュージカル』(2006)を始めとする学園モノの映画でイケメン青年を演じていた印象が強いですが、近年ではシリアルキラーや超能力を持つ娘の父親など役柄が幅広いです。今回はプロレスラー役ですが、とにかく鍛え上げられた筋肉が凄まじいのなんのって!腕は太いし、腹筋も背中もバッキバキで、全体的にメチャクチャバルクアップしまくってるんですよ。かつての細身の青年の姿からは想像もできないような変貌ぶりと、その役作りの徹底ぶりに驚かされました。言われなきゃザック・エフロンだと気づかないかもしれません。

<そんなわけで>

有名なプロレス一家が直面する度重なる悲運と、それを背負いながらも生き続けるケビンの姿がとても印象的な映画でした。プロレスはあくまでもケビンたちの仕事のひとつに過ぎず、メインは彼と彼を取り巻く環境の変化なので、プロレスを知らなくてもまったく問題ありません!プロレス好きな方ならより一層楽しめると思いますが、そうでなくてもわかる内容なので安心してください。「こういう人たちがいたんだ」って知れるだけでも有意義なので、ぜひ映画館で観てほしいです。


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