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気まずさがあるからこそ、もう一度会ってちゃんとしたい人がいるっていう方にはオススメな『プアン/友だちと呼ばせて』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:80/134
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:One for the Road
  製作年:2021年
  製作国:タイ
   配給:ギャガ
 上映時間:128分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、ロードムービー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

ニューヨークでバーを経営するボス(トー・タナポップ)のもとに、タイで暮らすウード(アイス・ナッタラット)から数年ぶりに電話が入る。白血病で余命宣告を受けたので、最期の頼みを聞いてほしいというのだ。

バンコクに駆けつけたボスが頼まれたのは、 元カノたちを訪ねる旅の運転手。カーステレオのカセットテープから流れる思い出の曲が、2人がまだ親友だった頃の記憶を呼びさます。かつて輝いていた恋への心残りに決着をつけ、ボスのオリジナルカクテルで、この旅を仕上げるはずだった。

だが、ウードがボスの過去も未来も書き換える〈ある秘密〉を打ち明ける──。

【感想】

めずらしくタイ映画です。全体的にいい雰囲気の映画だなとは思ったんですが、個人的にはあんまり刺さりませんでした(笑)うーん、監督が『バッド・ジーニアス』(2018)のバズ・プーンピリヤで、製作総指揮にウォン・カーウァイってことで期待値が高すぎたかもしれません。

<悔いのない人生を送るために>

これまでの人生を振り返って、「気まずさがあるからこそ、もう一度会ってちゃんとしたい人がいる」っていう方、どれぐらいいますかね?恋人や友達とケンカ別れしてそのままとか、家出してそのままとか。この映画は、そこが軸になっています。死を目前に、嫌な別れ方をしてしまった元カノたちにけじめをつけに行きたいというウード。気持ちはわかりますね。人生の終わりが見えてきた段階で、なるべくならすっきりさせて人生終わらせたいってところでしょうか。

ただ、ちょっと嫌な見方をすれば、主人公の自分勝手な行動だと僕は思うんですよ(笑)もうすぐ死ぬから最後にちゃんとしておきたいって、おまえの勝手な希望だろって。相手は二度と会いたくないかもしれないですしね。しかも、自分の病気のことは言わないっていうんですから、相手からしたらどの面下げてやってきたんだ?って思われても不思議ではありません。まあ映画なんでね、観客からしたらそういう事情全部わかって観てるんで、それだけで感動ポイントのスイッチ入っちゃう人もいるかもしれませんが(笑)とはいえ、そういう「突然の訪問」が運命を変えていくことって、現実世界にもあると思うんです。なので、不意打ちに面食らいはするものの、ドラマとしてはアリかなとは思います。

<つながらないストーリーにやや微妙さを感じる部分も>

で、ここがちょっと残念というか、物足りなさを感じたところなんですが、、、元カノが3人登場するものの、各エピソードは何のつながりもないんですよ。だから、物語的には点が置かれている状況で、これが線になることはありません。僕だったら、何か一つの小道具をキーアイテムに、つながりを持たせても面白いんじゃないかなーとは思うんですけど。

<終盤で突然変わる流れにびっくり>

まあ、それはそれとして。この映画の最大の見せ場は、ラスト30分です。ウードの突然の告白から一気に流れが変わりました。これまでのウードの元カノを巡る旅は、すべてこのための踏み台だったんだなって。もちろん、エピソード的なつながりは一切ないんですけど、ウードの精神的な面持ちとしては、これまでの元カノを巡る旅で気持ちを慣らしていて、本番はここからだと。ウードが一番けじめをつけたかったことが明らかになる瞬間で、そこでタイトルの意味もわかります。

<そんなわけで>

総じて楽しめはするんですが、やっぱりいくつかあるエピソードがどれもリンクしていなかったのは引っかかりますね。あと、ボスの家族構成がわかりづらいのもやや難点。それでも、画と音楽はいい雰囲気ですし、各レビューサイトの評価は高いので、好きな人は多そうって感じでした。


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